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悩み続ける覚悟

息子が入園してもうすぐ初めての1学期が(幼保園に対してこの言葉が適切なのかはわからないが)終わる。

約4年間一緒にいた息子の入園で、感じることがいろいろとあった。入園したのは息子だが、わたしだって園児の母になるのは初めてだ。そりゃもういろいろと感じることがあったので記録しておこうと思う。


初めての登園の日、息子は泣かなかった。不安気な表情をしていたが、振り返ることもなく、先生と手を繋いで入って行った。もともと人見知りや場所見知りはしない方だったので、それほど意外でもなく、さすがだなとさえ思った。

慣らし保育期間ということで初日は1時間半でお迎えに行った。あれ?目が腫れている。「最初は泣いてなかったんですけど、途中からしくしくと泣いちゃいました」とのこと。

"保育園はかぁかと離れて行くところ" ということを、なんとなくは分かっていたが今日身をもって理解したようだ。
こんな顔を見たのは初めてだ。胸がぎゅっとなった。

夜になると「明日は行かないよ」と早速登園拒否。おぉ…。

翌朝、朝起きても泣きながら「保育園行かない!かぁかと公園行く!」と訴える。困惑した反面、今までの自宅保育での頑張りが報われたような気持ちだった。わたしと公園に行っていた変わり映えのない日々が、息子にとっては安心した楽しい時間だったのだなと。

そんな思いに耽ながら登園するも、まさかの絶叫…。こっち系だったか…。先生は慣れたもので、「は〜い!大丈夫だよ〜行こっか〜!行ってきま〜す!」と抱っこで連れて行ってくれた。

そんな息子だが朝のお着替えはちゃんとするし、園までしっかり自分の足で歩くのだ。きっと "行きたくないけど、どうやら毎日行かなくてはいけないらしい" ということは分かっているのだろう。この小さな体で、そして心で葛藤しているのだと思うとなんとも切ない気持ちになる。

少しずつ時間を伸ばし、3週間目からは通常の保育時間をフルで行くようになり、帰りには楽しかったと笑顔を見せてくれることも増えてきた。


しかし、しばらくすると帰宅後明らかに元気のない日々が続いた。大好きなお絵描きや塗り絵もせず、おもちゃも出さず、ずーっとブランケットにくるまってごろごろとテレビを見ている。遊びを促しても、集中力もなく、すぐにまたごろごろとしてしまう。あんなにお喋りで、時にはおふざけをし、歌ったり踊ったりしていたのに、とにかく静かにぼーっとテレビを見ているのだ。夕飯を食べ、お風呂に入り、眠りにつくまでも、笑顔はほとんどない。

慣れない集団生活に疲れているのかなと思っていたのだが、まるで性格が変わったかのように静かな息子の姿に不安を覚える。

園で何かあったのか?お友達に意地悪のようなことをされたと先生から報告を受けたこともあり、もしやまた…?近頃園での虐待のニュースなどもあるし…など被害妄想が広がり、軽く探りを入れてみたが、特に園生活での問題は無さそうだ。

そんな日々の中で息子がわたしに付き纏うことが増えた。洗い物をするときも、洗濯物を干すときも、トイレに行くときでさえ付いてくる。どうしたのかと聞いてみると「かぁかと一緒にいたいの…」「かぁかのことが好きだから…」と悲しそうに言う。その言葉に、愛情不足なのか?と悩んだりもしたが、はっとした。わたしとの時間が少な過ぎるのでは…?

そういえば、平日の朝は家事やお子たちの支度に追われているし、園から帰ってくると諸々の片付けをして、わたしはキッチンに入り夕飯の支度をしていた。夕飯後は寝かしつけまでのルーティンをこなすのみ。息子と向き合う時間がほぼない。約4年間ずっと一緒にいたのに、突然こんな日々が続き、息子の心は戸惑っていたのかもしれない。母親と離れるという不安に襲われていたのかもしれない。

そこで、少しの時間でもいいので息子と遊ぶ時間を設けることにした。なるべく毎日、少しの時間でもいいので面と向かって遊んだ。折り紙やダンボールで工作をしたり、プラレールをしたり、お喋りをしながら、なるべく明るく、息子の笑顔を引き出す努力をした。すると、分かりやすくみるみるうちに元気になった。

登園時も「今日帰ったら何する?」と嬉しそうに聞いてきたり、お迎えに行くと「帰ったら〇〇しよっか」と、わたしと遊ぶのをとても楽しみにしてくれているのだ。

言葉数も増え、笑顔も増え、おふざけも増えて怒ってしまうことも増えたが、あの寂しいくらいに静かな息子を思い出すと、元気にふざけている息子の方が断然良い。

子供にとって "向き合う" ことの意味はとても大きい。目を見て話しましょう、たくさん抱っこしてあげましょう、スキンシップをとりましょうなど、育児書や子育てリーフレットなどにもよく書かれていることだが、綺麗事ではなく、本当に大切なんだな、本当にそうすることで子供は安心しているのだなと思わされた出来事だった。

今回のことで、これから先、いろんな壁が待っているんだろうなと思った。
園から制作物を持ち帰ってくると、息子が何かを頑張っているところを、わたしはもう近くで見れなくなったことを実感する。そしてそんな時間はこれからどんどん増えていく。何かあっても直接助けることはできないし、その度にどう対応すればいいか悩むだろう。

育児は大変だ。今は身の回りのお世話が大変だが、自分のことが自分でできるようになったとしても、形を変えて大変なのだろう。

その時々にどうすればいいか、たくさん悩もうと思う。
例え何もできなくても、わたしの手で何も解決することができなくても、我が子のことをたくさん想い、たくさん考え、たくさん悩もうと思う。苦しくても、悩もうと思う。


もうすぐ夏休みだ。息子には思う存分羽を伸ばして欲しい。たくさん一緒に笑えるように、頑張りたい。

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