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【PdM実録】日本製品をアメリカ向けにローカライズして学んだ9つのこと

こんにちは、アメリカでプロダクトマネージャーをしているミホです。

日本とアメリカでのプロダクトマネジメント歴は8年以上。下記のような経歴を経て、現在はアメリカのフィンテック企業でB2B製品の製品開発を行っています。
🇯🇵で研究者&事業化に失敗 → 🇯🇵B2B製品開発 → 海外MBA → 🇺🇸 B2B製品の販売促進(PMM) → 🇺🇸 travel B2C製品開発 → 🇺🇸 fintech B2B製品開発

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ある企業で働いていたときに、日本で製造された企業向けのIT製品(B2B)をアメリカのお客様に展開するという仕事をしていました。実際にローカライズの仕事に携わってみてわかったことがあったので、実例とともに紹介していきますね。

日本人英語はダメ、必ずネイテイブチェック!

当然ですが、Webサイトやマニュアルの英語が怪しいと売れません。アメリカでは一般的に怪しい英語があったらスパムや詐欺だと疑うようにと言われているので、いくら外国の企業といえども、英語が怪しいと売れません。

実際に日本語の場合を考えてみるとわかりやすいです。怪しい日本語でセールスメールが届いたら、速攻で削除ボタンを押してしまいませんか?それと同じことです。

私もですが日本人の英語は文法的には(大体)正しくても、使っている単語が違っていたり、言い回しがおかしい傾向があります。必ず、その業界のことがわかるネイティブスピーカーに英語をチェックしてもらうことをおすすめします。

私が、日本で作成された英語マニュアルをアメリカで展開する際には、私とアメリカ人上司&アメリカ人同僚の3人で読み、ときには日本語マニュアルと照らし合わせて意味を考えながら、英語をかなり修正する必要がありました。

たかがマニュアルですが、お客様はマニュアルの英語からも製品の品質をチェックしています。手を抜かずに、ネイティブとチェックしていくことをオススメします。

アメリカでも文字離れ!ビデオ必須

日本でも活字離れが歌われていますが、アメリカも同じです。アメリカの人たちも、商品の仕様がわかるサイトを用意していても、基本あまり文字は読んでいない印象を受けました。

特に、商品の概要を理解してもらうためにはビデオは必須です。イケてるアメリカのスタートアップは必ずと言っていいほど、商品や会社の概要がわかる3分ぐらいのビデオを作って公開していました。知人の投資家も大学生も、まずはビデオを見ると言っていたので、ビデオが必須なのは間違いないと思います。

また、製品のデモやマニュアルも、ビデオが好まれる傾向にあると感じました。アメリカでB2Bビジネスをしていると、かなりの頻度で動いている製品を見てみたいと言われることがあります。大きな取引であれば、製品デモを行うのもやぶさかではないですが、小さな取引のために製品デモを行うのは効率が悪いです。やはり、一般的な使い方を示す製品のデモビデオを作成しておくとかなり便利だと感じました。

実際にアメリカでの営業活動を経験して、3分ぐらいの概要ビデオと、製品デモを用意しておくと良いと思いました。できれば、マニュアルもすべてビデオ化できると更に良いと思います。

使いにくいポータルNG!アメリカではUXが超重要

前の章とも関連するのですが、今まで日本のお客様もアメリカのお客様もサポートしてきた経験がありますが、アメリカのお客様はマニュアルを用意していてもあまり読んでいない印象を受けました。逆に、日本のお客様はその国民性かマニュアルを比較的読んでくださる印象を受けました。

アメリカでもマニュアルがあることは重要です。しかし、実際に読んでいるかというと別問題という感じでしたね。

アメリカのお客様は少し使ってみて、直感的に使いにくいと感じると他のものを探す傾向があるようです。だからこそ、ポータルのデザインが大事!

少し前までは、一般顧客向けの製品は企業向け製品よりUXがより重要という印象でしたが、今は企業向け製品であってもデザインや使い勝手は非常に重要です。生活の中でC向け製品のデザインに慣れてしまっているからこそ、同程度の使い勝手を期待しているという印象を受けました。

デザインや使い勝手が悪いと、最悪の場合には契約解除になります。私も、ポータルの使い勝手が悪いとのことで契約が解除されてしまった経験があります。

なお、日本のデザインは細々して難しい、かつ色使いも独特になっている場合もあるので、かならずUXデザインもネイテイブを巻き込んでチェックすることをオススメします。

誰もイキナリお金を払わない!お試し期間の設定が重要

アメリカのお客様は、比較的新しい製品を試してみたいという傾向が強いです。ただし、いきなり有料のサービスを試してみるということにはなりません。1ヶ月ぐらい試し使いをしてみて良さそうであれば、有料でも使い続けるという流れになることが多かったです。

日本の製品で困ったのは、そもそもお試し期間がなかったり、お試し期間が短かったり、さらにはお試し期間で使った環境を有料サービスへの移行後にもつかえないことがあったことです。

私自身の経験からも、これらはかなりアメリカのお客様から要望があったので、サービスの作りとしてお試し期間を設定しておくことを強くおすすめします。

意外!中小企業はクレジットカード決済あり

中小企業であればクレジットカード決済も多かったです。したがって、中小企業のお客様も購入する商品であれば、クレジットカードで決済できる機能が重要だと感じました。VisaとMastercardは必須です。

一方で、大企業は請求書決済を好む傾向にあります。

製品のターゲットにあわせて、支払い方法を用意し、社内のプロセスを準備しておくことをオススメします。

日本のプライシングは難しい!簡単な価格設定が命

アメリカ製品は簡単なプライシングが求められます。一般的に日本のプライシングは難しいです。ある部分までは料金込みでそれ以上は追加料金と言った複雑なプライシングは、お客様はもちろんのこと、アメリカ人営業からも嫌われます。

日本のプライシングをそのままアメリカに持ってきたときは、アメリカ人の営業がその価格体系を直感的に理解できず、かなり不評でした。日本とアメリカの教育が異なるので、一般的にはアメリカは少し数字に弱い印象があります。だからなのか、私の経験では、アメリカ人の営業に価格体系を説明だけでかなりの労力を使いました。

アメリカ人の営業は理解できないとその製品を売ってくれません。だからこそ、彼らが理解できる価格を設定してあげることが重要です。

とにかく選択肢を少なくして、価格体系はシンプルにすることがグローバル市場を戦うのに必要だと学びました。

アメリカの営業向けトレーニングでは営業用のセリフも提供

アメリカで働いてびっくりしたことのひとつですが、アメリカの営業向けの製品トレーニングでは、営業が実際に話す営業トークを書いて渡していました。

営業はこのセリフを丸暗記してお客様のところで話すということだと思いますが、ここまで用意するのかと驚いた記憶があります。

実際に、アメリカ人営業がこのセリフを話しているのを聞いたことがないので、効果の程は不明ですが、営業向けトレーニングもかなり違うという印象を受けました。

アメリカの営業に売ってもらうには、わかりやすい製品とインセンティブが必要

日本はどうかわかりませんが、アメリカの営業は、「自分が売りたい製品」「簡単に売りやすい製品」「自分が儲かる製品」しか売りません。

もちろん凄腕の営業さんは別ですが、アメリカのIT系企業の営業はあまりIT系に詳しくありません。一般的なことは話せても技術的なことはほとんど会話ができない人が多かったです。

彼らは、まず自分が理解できる製品しか売りません。製品の概要や価格体系、契約体系を彼らにいかにわかりやすく説明してあげるかは非常に重要です。私も、営業の方々に売っていただけるように何度も説明しました。

そして、彼らは評判が良い製品しか売りません。実際に売ったあとに品質が悪いと、お客様からのクレームが営業にくることになるし、アップセルの機会を逃すためです。また、彼らは会社を変わってもお客様の担当者とつながっていることが多いので、信用をなくさないことを非常に重視しています。だからこそ、社内の営業どうして、あの製品は評判が悪い、パフォーマンスが悪いといった噂が広がると、営業はもう売ってくれなくなります。プロダクトマネージャーとして社内の評判をどうコントロールするかは非常に気を使っていました。

最後に、アメリカ人営業は自分が儲かる製品を売りたがります。アメリカ人営業は、基本給の他に、売上に応じてもらう成果給(インセンティブ)をもらっていることが多いので、必然的に自分が儲かる製品=インセンティブがたくさんもらえる製品をうる傾向にあります。もし会社の中に複数の製品がある場合は、会社の戦略に応じて、製品ごとのインセンティブが異なるはずです。そのインセンティブを上げると、とたんに営業は頑張ってくれるようになるので、社内での根回しとして、営業のトップとインセンティブについて相談するのもアメリカでは有効な手段のひとつでした。

お客さんが好むサポートへの現地化が必要

アメリカのお客様は、問題があったらすぐに解決したいという要望が強く、例えば電話サポートがほしいという方が多かったです。特に、私のIT製品は基幹に関わるものがあったので、サービスダウンは避けたいからすぐにでもサポートしてほしいということだったのだと思います。私のサービスは、チケット(電子メール)、電話でのサポートを行いましたが、他にもチャットでのライブサポートを求めている方も多くいました。

日本のお客様と求めているサービス形態が違い、サポート体制や、何かあったときの日本へのエスカレーション体制に関して、プロダクトマネージャーとして調整をかなり行う必要がありました。

まとめ|アメリカ向けローカライズは翻訳だけでなく、契約・料金・オペレーションまで多岐にわたる現地化が必要

製品のローカライズ化というと、翻訳作業が大きいかと思いますが、実際に現地化を担当して企業向け製品であれば、翻訳だけでなく契約や料金体系、オペレーションまで現地の嗜好に合わせるのが必要だと感じました。

これからローカライズを考えている方の参考になるとうれしいです。

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