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【凱旋門賞】敗因は明らか…日本競馬のレベル低下とガラパゴスな環境。隠せなくなってきた『現代競馬の大嘘』をいい加減に認めた方が良い【回顧】

かわいそうだったなぁ…と。

凱旋門賞の回顧
日本勢惨敗。でも正直、これも仕方ないなって感じですね。事前予想でも言いましたけど、今回は正直出走前から難しい挑戦であんまり良くないのかな?って印象ありましたし、何よりも外国勢メッチャ強くない?って思ってましたから。個人的には無事に帰ってきて欲しいって想いだけですね。
関係者の皆様、本当にお疲れさまでした<(_ _)>

敗因は諸々言われてますけど、個人的にはもう明らかですね。これオイラはずっと言い続けていますけど、日本のクラシックディスタンスの深刻なレベル低下ですね。

今回に関しては、既に多くの人が…
何で近年はこんなにも凱旋門賞で惨敗続きなんだ…? 以前はアレほど上位に来られたのに…。
ってSNS上でもコメントしています。
理由は簡単で、日本競馬のクラシックディスタンスのレベルが落ちているからです。多くの人がそう思えないのは、競馬界の情報を発信するメディアが日本競馬のレベルが上がったとかいうわけのわからん喧伝をしているから、真相がわからなくなってるってただそれだけの話。

最たるものが…
日本は世界最高のレベルで、実は欧州の方がガラパゴスなんだ!!
とかいうのです。
南極の氷が溶けたら陸は沈むとかいう意味不明な事を言ってるようなトンデモ陰謀論と同種ですからねこれ。そんなわけのわからん言い分じゃなくて、普通にレベルが落ちてるだけです。
そもそも、日本に全盛期の外国勢の超一流馬なんてスノーフェアリー以降は一切来てないのに日本で通用しないとか、通用しないから来日しない、とか傍から聞いてるとただのヤバい人です。
というか、そのスノーフェアリーにすら比較的強かった世代がボロ負けしましたからね。今回某調教師もおっしゃっていますけど、単純に日本馬の力負けとしか言いようがないですね。まず、それを認めることから始めないと。

前々から言っていますけど、そもそも日本競馬のレベルは2010~2014年を頂点としてずっと下がり続けています。下がり続けている原因も明白で、2015年以降に日本の馬場が超高速化に傾いたからですね。何よりこれが大きいです。馬産もそれに合わせた馬づくりをしなくちゃいけなくなったので、原因は100%こういう環境を提供している現状ですね。

メディアとか見ているとよく
日本競馬のレベルは上がった! 海外で勝てるようになった!!
って言ってるじゃないですか?
でも、よくよく考えてみてください。
一体どこの国のどういった舞台で勝ってるんですか?
って。これ、データとして出せる人は自分で調べてきちんと出してみてください。それで答えが出るんで。

調べたら一発でわかりますけど、少なくとも海外遠征した日本勢は凱旋門賞と同じ区分であるクラシックディスタンスで海外馬を圧倒している歴史なんてないんです。つまり、1600~2000の間で勝ってるだけなんですよね。この時点で、大嘘ついてるのがわかります。

そもそも、1600~2000の区分で日本馬が強かったのは今に始まったことじゃありません1990年代から強かったです。それが理解できないのは、単純に日本競馬の歴史を知らないだけです。
実際に、上記の2010~2014で見ても同区分の最強馬はジャスタウェイですが、この時期からですらこの馬を凌ぐ評価を貰った馬はその後にただの1頭も出ていないです。理由は簡単で、その時代からこの区分では強かったからです。

例えば、最近では一番身近なドバイや香港みてみたら誰だってわかりますよ。クラシック区分で勝利しているのはディープ産駒と外国産馬だけで、他の産駒は挑戦はしているものの1回も勝てていません
ドバイジェンティルドンナとシャフリヤールだけ、香港もディープ産駒のグローリーヴェイズと外国産馬のサトノクラウンだけです。じゃあ、勝てなかったときは一体全体どの馬が勝ってるのかっていうと欧州の馬と地元の馬が勝ってるんです。ようは、全体傾向として普通に欧州馬筆頭に外国勢力に完敗しているんですよね。これが事実です。

コレも本当に1度冷静になって考えてみて欲しいんですけど、本当に日本競馬のレベルが上がっているのならディープ系と外国産馬以外、つまり非サンデー系と内国産馬から海外のクラシックディスタンスで勝てる馬を輩出できないとおかしいですよね? これは避けられない絶対的な論点です。
でも、実際には1度も勝ててないわけじゃないですか? つまり、出発点からして間違えてるんです。2010~2014年以後で、日本競馬のレベルは上がっていません

サンデーがディープに変わっただけで、その1強体制に楔を打つことができたのは超強力な外国産馬だけです。実際にこの構図って、1990年代に日本競馬の力を大幅に底上げしてくれたサンデーサイレンスの時代と全く変わっていないです。
1990年代から存在しているサンデー系が日本競馬のクラシックディスタンスを世界レベルに押し上げてくれたっていう絶対的な事実を理解できていないと、上記のようなわけのわからない陰謀論にたどり着きます。

じゃあ、なんでこんなにもスタミナ不足のサラブレッドが量産されるに至ったのかというと日本の馬場が超高速化に傾いたからです。その最大の根拠の1つに、血統界隈でよく見られる大嘘があるって話も何回かしてきました。

オイラがこの手の話をするときに、日本競馬には公にされていない大嘘がいくつか存在するって話をいつもしていますよね。その中でも、そもそも世界的にもうキングマンボ系なんてものは存在しないって言う話はとても重要なポイントです。
よく日本ではキングマンボ系が強い!とかメディアで聞くじゃないですか?
でも、実はキングマンボ系なんてものは既に世界に存在しません。これは、メディアが競馬ファンに付いている大嘘の1つです。もうそんな系統ないんです。

いまキングマンボで勢力を拡大して残っているのは、日本で残存している世界的にマイナーなキングカメハメハの一族だけです。これを、系統と言っていいかどうかはこれからの日本の血統勢力図によるとしか言えません。
キングマンボは、世界のクラシックディスタンスで活躍できるだけのスタミナも持続力も足らなかったので、同じミスプロ系でも世界的に躍進したドバイミレニアムの勢力に敗北を喫しました。これが歴史的な事実です。

キングマンボがかわいそうなのは、血統の多様性を求めるときにクラシックディスタンスに足る超強力な馬がいたにも関わらず、それを血統的に残すことができなかったという点ですね。不幸の連続で。日本でもわかりやすい例ではエルコンドルパサーがいました。
結局、日本のキングカメハメハが父系が残る最後の希望となってしまっています。日本が唯一の希望だと言えるのは、それでもスタミナの後押しがあるトニービンの一族(エアグルーヴ牝系)がまだ残っているためです。

では、なぜ世界と異なって日本だけがキングマンボの血をここまで残すことができたのかというと、日本だけが世界のクラシックディスタンスの主流から取り残されているからです。
ようは、スタミナいらずの極上のスピード馬場ですね。

日本の馬場傾向の変化で最も多い誤解が、スピード特化の馬場はサンデー系に向いているっていう論法です。これは明らかな間違いで、2015年を境に躍進してきた血統はサンデー系ではなくキングカメハメハとアメリカのスピード血統です。これも、調べたら誰だって1発でわかります。
言い換えれば、2010~2014年までの馬場状態でいけてたら間違いなく今でもあの流れで配合を組み立てて育成も進められたので、凱旋門賞で勝負になる馬は産まれていたはずです。
これは断言できますね。

2014年までは、ディープインパクトVSステイゴールドという明確な構図があったにも関わらず、2015年以後はその構図が崩れて2000m~2400mの舞台で一気にキングカメハメハの系統とアメリカのスピード血統が躍進しました。
理由は簡単で、これらにとって走りやすい馬場にシフトチェンジしたからです。ようは、水はけが異常に良くて路盤が固い反発力のある馬場ですね。
実際に、これらの指摘は2015年に中山の馬場改修が終わった直後ですら一部血統界隈で既に言われてたくらいです。
どうやら、馬場が一気におかしくなったらしいぞって話ですね。

ディープインパクトは、そこから母系をアメリカ型にシフトチェンジすることで現状に対応できるようになりました。しかし、ステイゴールドの方はそれまで活躍していたクラシック路線での活躍馬がほぼゼロになります。つまり、今の超高速馬場に対応できなくなったんですね。
それでも、中長距離の圧倒的な適性の高さとスタミナの豊富さからディープとステゴは長距離路線で何度も顔を合わせることになります。春天や菊花賞の結果はわかりやすいですよね。でも、近年ではさらに超高速化が顕著になってそれすら見られなくなりました。
結果、ディープVSステゴの構図は一気に崩れて世界的には既に廃れているキングマンボが台頭するっていう珍現象が起きています。

こう言える証拠がもう1つあります。それが、海外育成のディープ産駒の圧倒的な強さです。同じディープ産駒を育成しているにも関わらず、日本のディープ産駒はスノーフォールのように欧州のクラシックディスタンスを連戦連勝で圧勝できるような怪物を輩出できていません
もう既に理由は明白のように、日本はこういった世界的な大種牡馬の能力を最大限に活かせる環境ではないからです。皮肉にも、海外勢が育てた偉大なディープインパクト産駒自身が教えてくれたわけです。実際に、海外で圧倒的な競馬を見せ続けてきたディープは早々にサクソンウォリアーを筆頭に後継種牡馬を輩出しました

結局、日本のレベルが世界最高峰にあるのは繋養されている種牡馬の方であって、日本競馬そのものは現状その良さをほとんど活かすことができない環境にあるってもう既に証明されてるんですよね。
それを否定できる根拠も結果も、2015年以後は現状1つも残せていないので。

結果、日本の馬場は超高速にしすぎたのでそれに合わせた配合と育成にしなくてはならず、海外のクラシックディスタンスで走れるだけの走法もスタミナも確保できなくなってるんです。
これが、今日本競馬が陥っている負のスパイラルの現状ですね。

そして、こういう状況に陥ったからここ数年は非サンデー系にシフトチェンジして、それに失敗したから凱旋門賞で通用しなくなったって実は簡単な話なんです。
コレも毎回言っててしつこいと思いますけど、そもそも本場欧州から手放されたニワカ仕込みの血統で、洗練された凱旋門賞向きの血統に絶対に勝てるわけない、って話ですね。バゴとかキングマンボとか典型です。欧州は、この手の血統を既に何十年と試していますしそんなに欧州で向いているなら、絶対に海外陣営が放っておくわけないので。

そして、こういった血統的な絶望的な状況を唯一破壊できたのがディープやステゴを筆頭としたサンデー系です。サンデー系は、日本にしか存在しない独自の進化を遂げた唯一無二の強さでアドバンテージだったんですけど、その強みを捨てざるを得ない環境を作られてしまったので、もはやどうしようもないんですよね。
そして、このサンデー系の後継づくりという点からみても、日本は既に海外から遅れています。まさか、クールモアの方が先に後継を作れるなんて誰が想像したのか…w

で、これもいつも言ってるんですけど誤解をしてはいけないのは日本の馬産やホースマンは何も悪くないってことですね。日本の馬産や調教師、そこに携わっているホースマンは現代日本競馬で勝てる馬づくりをやっぱりしなくちゃいけないので、超高速馬場向きの馬になるのが当たり前なんです。
結局、誰が悪いのかって言うとこういう環境を提供している連中、としか言いようがないですね。あえて誰とは言いませんが。

最近、馬場関連の情報発信の大嘘も結構バレてきていますけど、オイラは良い傾向だと思うんですよね。例えば、今回も…
欧州の馬場は反発力が無くて日本の馬場と全然違う
ってやっと本当のことを言ってくれる人が増えてきたじゃないですか?
これ、言い換えれば日本の馬場は反発するって言ってるようなものなので。今まで、日本の馬場は衝撃吸収力の高いクッション性があって脚に良いだとか訳の分からんこと言われてきたんですけど、結局は反発力が高くてスピードが出る馬場だって知られてきてるんです。まぁ物理的に当たり前ですよね、作用があれば反作用で衝撃と負担が来るんだから。

この主張も、特に海外からJCにやってきていた外国陣営が常に言ってたんですよね。明らかに馬場が固いって。オブライエン大先生なんて、結果に納得できないって普通に言ってましたからね。
でも、こういうのって何故か無かったことにされています。

近年の札幌や函館の馬場傾向についてもそうですね。異常に速い馬場になったりして、その理由が『馬場育成の技術が上がった影響』だとか訳の分からない理屈をよく聞いてたじゃないですか?
うん、じゃあもう全場洋芝で良いじゃん、って話に普通はなりますよね。それだけ優れた技術があるなら、野芝にする必要ないだろって話だから。
でも、それはできないって言うんです。明らかに矛盾していますよね。

これも明白で、凱旋門筆頭に普通は雨が降るだけでアレだけボッコボコのズタボロの馬場になるってバレてきたからです。日本の札幌や函館の洋芝と何でこうも違うの?って誰だって疑問に思いますよね。
結局、水はけを良くして路盤を固めてるから速くなってるって知られ始めてきているわけです。何回でも言いますけど、芝が枯れない常に状態を保てる世界もビックリの優れた技術があるなら年中洋芝でやればいいんですよ。それこそ、本山が洋芝の方がクッション性があるって主張してるんだから。
それができない時点で、今まで言ってきた超高速馬場への性善説的なものの考えが間違ってるって何よりの証拠です。

今回のスプリンターズSとかも典型ですけど、暇な人はジョッキーなどの関係者のインタビュー見てみてください。馬場環境に対して不満と厳しいこと言ってる人が増えてるので。
あれだけ内外の差を付けるなら、本当にもう陸上のトラック競技みたいにゲート斜めに置いた方が良いんじゃないの?ってオイラなんかはマジで思いますねw そっちの方が公平だろうに。
公正競馬の理念はどこにいったんだ?って話だからね。

まぁでも、本当に何度も言いますけどだからと言ってそこに携わっているホースマンや関係者、生まれてきた血統や躍進した系統、そしてサラブレッドが悪いわけでは絶対にないので。その中で何とかして勝とうと努力している人達は素晴らしいですからね。
ここらへん、今回も非難されてるのみると本当にかわいそうだなぁって思う。こんな日本競馬の現状で勝負しなきゃいけないんだから、そら難しいて。
今年なんて、皆さんも周知の通り特に春先の東京と阪神は本当に酷くて内馬場トラックバイアス天国超高速馬場のラッシュでしたからね。日本ダービーのタイム見てみろよ、って話だから。今年の事なんだから、あの酷さ忘れちゃいかんよ。
アレに合わせて育成・調教したんだから、現地でたかが数週間から1ヶ月でシフトチェンジしろってそりゃムリだよ。ほんとにね。

今回、凱旋門賞に遠征した馬も人も全部素晴らしかったですよ。挑戦しなきゃ勝ちも負けもないですからね。本当に素晴らしい。
心底、そう思いますね。
ということで、全員無事に日本に帰ってきて欲しいです。
お疲れさまでした(/・ω・)/

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