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アップルパイは母の味🍎

自営業の家に育った私は

外から帰ると
誰もいない家に帰るのが当たり前だった

誰もいないと言っても
本当は違っていて

同じ建物の中に
両親の営むお店があり
そのお店の横にある
階段を上って
住居部分である家に帰宅した

お店が営業しているので
父はもちろん
母もいない住戸部分

廊下の先の部屋に
曾祖母と
祖父母がいるけれど

ほとんど部屋にこもっているので
帰宅の挨拶をすることもなく

独り言のように

「ただいま」

といって
自分の部屋に向かっていた


帰宅して
おなかがすくと
階段を降り

両親のいる事務所へ行って
お小遣いをもらい
隣の駄菓子屋へ行って
好きなお菓子を買って食べていた

母は料理も裁縫もできる人で

大人になって驚いたのが

母の作ってくれた
アップルパイだった

子どものころは何とも思わず
たいして何とも思わず

それでも

忙しい母が作ってくれた
アップルパイが嬉しかった



今では
ケーキ屋さんはさんはあるし
スーパーに行けば材料もそろう

アップルパイの
パイ生地も
冷凍食品売り場にある


私が子どものころはなかった
冷凍食品があったことも
買い物をするようになってから
気にするようになったから

いつ頃からあったかは知らないけれど

パイ生地を見たことはないかった

母は

パイ生地から作って
アップルパイを焼いて
私達に食べさせてくれた

おいしかった

嬉しかった

とっても嬉しかった


アップルパイは

パイ生地が編み込まれていて

その形も綺麗で・・・・

味の事はそんなに覚えていないけれど

母が焼いてくれた
アップルパイの
表面の模様は

私の中での「アップルパイ」として
しっかり定着していった


大人になり

結婚して
子どもが出来て

専業主婦として
時間をかけて何かを作ることが出来たので

何かと来ることはしていた

材料を買うのも
農薬などを気にした
生協などで購入した

生協のカタログでは
季節になると
「紅玉」が載る

紅玉=アップルパイ

紅玉が出ると
まとめて買って
コンポートを作っておき

長男の誕生日には
アップルパイを焼いていた


長男は
なぜか
ショートケーキが苦手だった

ショートケーキの
生クリームが苦手だった

両家にとって初孫で
仕事の仕入れで
来てくれることの多かった両親が来て
長男の誕生日に外食をした時にも

お店で出されたサービスのケーキが生クリームで
上に乗ったいちごすら手を付けず
機嫌を損ねて帰宅したあとで


これなら食べるかな・・・

そう思って焼いたアップルパイを思い出す

出先から帰宅して
冷凍のパイシートからのアップルパイ

長男が喜んで食べてくれたのを思い出す

長男にとっての誕生日ケーキも
私の作るアップルパイならいな・・・(笑)


長男にアップルパイを作りながら

母が作ってくれた
アップルパイを思い出す

ショートケーキとかじゃなく
アップルパイだった

忙しい仕事の合間に
母が作ってくれた
パイ生地からのアップルパイ


アップルパイは母の味

アップルパイは私にとって母の味

アップルパイは母の味

紅玉=アップルパイ

アップルパイは母の味

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