モノクロームの祈り

生きる理由は特に無いし、死にたくない理由もない。
ゼロの感覚。

大事な人と会うとそのときは1に変わる。
今は死にたくない、そういう理由ができるだけ。

ホームは不思議な場所だ。
横断歩道も不思議な場所だ。

そこに身を倒してしまうような自信はないから今日もわたしは生の中に引っこんでる。
死を他人ごとにして、見上げるように眺めてる。
死と生のくっきりした空間を。

行き交う風圧に、ひとつひとつ死が押しのけられていく。死の空間は、次も、また次も、死をもたずしてぽっかりとした軽い空気になった。そんなからりとした空気を次々と受け続ける。


なまぬるい生のなかで。
そんなに居心地も良くないのにね。
今日もなんの自信も無く、死を棚に置いたまま。
生死がとめどなくこすれあう社会を、こんなにも無責任に、生きている。

なんて臆病なんだろうか。
なんて空虚なんだろうか。
この空気も、生も、世界も、わたしも。


銃弾が飛び交う世界もそうなんだろうな。
虚しく行き交うのは銃弾だけで、多くのひとびとはみな、無責任だ。

過ぎ去った穏やかな風が生の道を引いていく。
どうか今日も、空気はからっぽで、ぐずぐずと生かせて。
この世界は、生きるのにはあまりにも難しい。
ゼロの生と、ゼロの死を、ください。

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