しゅうかつのはなし②


いわゆる、"お祈りメール"。


すべてがゼロになった。
わたしの手持ちのカードは一切ゼロに帰した。


やっとこさもらった内定も、
それなりには積み上げてきた苦労も。

しかも8月にしっかり入ってからね。


父の誕生日がちょうど8月7日だったけれど、祝ったか祝ってないか、記憶がない。
その頃大学の課題とかテストも山場で、ただひたすらに目の前のことに打ち込むことで頭がいっぱいではあったのだけれど、こびりつく虚無感とゼロの圧迫感、そして母の心配も相まってほんとうに辛かった。

それなりに覚悟はしていたけれど。
完全にすべてがわたしの責任で引き起こされたことだったので、何も、ほんとうに何も言うことが無かったし、ことばはほとほと無力と感じたし、何よりどこにも逃げ場がなかった。物理的にも、精神的にも。

コロナじゃなかったら、
友達と分かち合えていたかもしれない。
ライブとかフェスに行って、音楽やアーティストにこころを洗い流してもらえたかもしれない。
誰かとキャンプとか合宿をして、泣いて、笑って、パワーをもらえていたかもしれない。

選択肢はただひとつしか与えられなくて、
“就活を続ける”
しか道はなかった。
やめたらただただ時間と可能性が消えていくだけ。


わたしは休めなかった。
いや、休まなかった。

ただ、全ての選択にわたしは、後悔していなかった。


そんな状況だったから、ただ「後悔はしていない」というメンタルだけを抱きかかえるようにして、またわたしは進み始めた。

いや、進みはじめたなんてきれいすぎる。
淡々とやるべきことを始めた。くらいかな。


次々と新たな予定を刻んでいく中で、ふとあの場所が気になった。

C社だ。

A社が受かったから、本気で受けられないと思って、選考をドタキャンしたC社。(しゅうかつのはなし①参照。)


前日に断るという大変失礼で、迷惑なことをした。
でも、もう一度、ダメ元でももう一度だけ、挑戦したい、と祈るようにメールを送った。

選考を受け入れてくれた。

8月7日から再出発をして約3週間後、C社に内定をもらった。
それをもってわたしは就活を終わりとした。
つまり、そのC社というのが今のわたしの職場。


2回目の就活でやっと得た内定を受けたっていうことは不本意だったの?とか、それで他は諦めたの?とか、思うかもしれないね。

たしかに就活を早く終わらせたいとは思っていて、就活にはほんとうに疲れていたから、内定にすがりたい気持ちはあった。


でも、どう考えても明らかにC社は、わたしが昔から見慣れている社名であったし、他に申し込んだどの企業よりもすべての肌馴染みがよかった。


これで良かったんだ、と思ったよ。
そのときも、今までの選択に後悔していないと改めて感じていたよ。

最終的には着くべき場所に着いたんだな、と。


これがわたしの就活の話のすべて。

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