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精進が足りない
数年前、近しい人が健康を害し、心配のあまり、私も心身に不調をきたしそうになったことがあった。
辛い日々の中、以前読んだ冊子に、女性僧侶の方が心に残る文章を載せておられたのを思い出した私は、その方の名前を検索してみた。
するとHPが見つかり、そこには、
「いつでも悩みをお寄せください」
「必ず目を通しているので安心してください」
「あなたの傍にいますよ」
というようなことが書いてあった。
私はそれにすがるように、どういった心の持ちようで過ごしたらよいのか、相談メールを送ってみた。
気持ちを落ち着け、少しでも前を向けるような一言を期待して。
しかし、何か月待っても一向に返事は来ない。
「返事には時間がかかるかも」と注意書きにあったけれど、いつまで待てば良いんだろう。
どうでしょうか…とお伺いを立ててみようかと思い、まずHPに載っていたそのお坊さんのブログを読んでみたら、
「私にも生活があるのに、返事を急かす人がいて困っている」
「自分の都合しか考えられないようではだめですよ」
というふうなことが書かれていた。
おっと危ない。督促したらこんな風に書かれるんだ。厳禁厳禁。
そう思って待つこと更に数か月。やはり返事は来ない。
その間、お坊さんのブログには「○○さんとご飯に行きました」「△△へ旅行してきました」とキラキラした楽し気な日々が綴られていた。
マスコミにもたびたび登場する方だし、お付き合いも忙しいから仕方ないのかな…と私は寂しく思っていた。
月日は経ち、相談したかったことは、もう無くなっていた。
近しい人は亡くなってしまったのだ。
プライベートの時間すべてを犠牲にしてまでの対応を望んでいたわけではない。ただ、放置するなら、期待させるような書きぶりはやめてほしかった。
あれは悩み事受付ではなく、本や講演会のネタ収集BOXだったのだ、きっと。
本質を見抜けなかった私は、まだまだ精進が足りないんだろうな。