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ミレーナ体験談〜装着から現在の状態〜

2022年5月、
自分の中で決めていたことを実行した。

もともと重かったPMS(月経前症候群)PMDD(月経前不快気分障害)が30歳を越えた頃からさらに重くなり、それと同時に生理中は殺人現場かと思うほどの経血の量に悩んでいた。

今後、自分はこの陸上界でどうなっていきたいのかを考えた時に、後の選手に多くの選択肢を広げてもらうため、ミレーナを入れた変化と経過を自分の体を使ってみてみようと考えた。
本やネット、産婦人科の先生の話を聞くだけではなくメリットもデメリットも自分で体感し自分の言葉にして伝えられたらと思った。
ミレーナというと、避妊リングというイメージがあるが装着することにより経血量を減らせるし、人によっては経血が完全に出なくなる。
マラソン練習をしていると汗や水を被ることによりナプキンが擦れたり水を含んでしまう場合がある。その問題解決として1番身近なのはタンポンの使用だが、ミレーナも使ってみなければ比較が出来ないので装着し、レビューとしてまとめた。
だが、記事を書いたからといって【おすすめ】ということではない。
【このような選択肢もある】ということを知っておいてほしいということだ。

【ミレーナ装着当日のこと】

ミレーナを入れるためには生理期間終盤の経血量が少なくなった時に産婦人科に受診しなければならない。

生理が始まると同時に相談していた産婦人科の先生に連絡し病院の予約をした。

生理7日目、
経血がほとんど出なくなった日に病院へ。
事前説明を受け、処置。
最初に子宮がん検診で使うようなイスに座り子宮内をカメラでチェックする。
その後、器具を使って装着のために子宮口を開いていく。これがかなり痛い。
4〜5回に分けて少しずつ小さな管から大きな管に交換していく。何かの棒で耳の鼓膜を破ろうと突かれているような感覚。
それが下腹部で繰り返し起こっているような不快感だった。
圧迫されるような痛みが続き、痛みから呼吸をすることを忘れてしまうので看護師さんが2人がかりで両側の腕を抑えたり手をさすって呼吸をすることを促してくれた。
6回目くらいでようやくミレーナを装着。
適切な位置への装着が絶対なのでそのために何度も小さな管から大きな管に変えていく必要がある。
この痛みは出産経験があると多少違うらしい。

この処置自体は10分程度だが、なぜミレーナを入れようと思ったか後悔するほどの痛みで、
またもう一度これを入れるかと言われたら、
「もう一生絶対にやらない。」と断言できるくらいには痛かった。これまで競技で骨折や肉離れを何度もしたことがあるが比ではないくらいの痛みだった。

施術後は下腹部に痛み・違和感があり、生理は終わっているはずなのに生理痛(重め)のような感覚だった。
施術後、15分くらいでお会計。
今回は経血量の減少(排卵はありつつ生理を止める、コントロールする、PMS・PMDDの改善)が目的のため保険適用となり、約1万円の支払い。
避妊のみの目的であれば自己負担で約3万円程の支払いとなる。
装着したミレーナは5年間は何事もなければ体内に入れたままでよい。
1.3.6.9.12ヶ月の定期検診がある。
6ヶ月の検診以降は違和感がなければ受けなくても大丈夫と言われて以降の検診は行っていないが1年検診は行く予定にしている。

お会計後、
座っていたい、横になりたい、というような動けない程の腹部の痛み。
先生が言うには生理の経血同様、体が異物を外に排出しようとして反応している。
ひどければ2-3日は続くとのことだった。
帰宅時の電車もとにかくお腹が痛くて、トイレを探し見つけたら入って休むようにして帰った。
途中、経血と一緒にミレーナも出てしまっていないか心配になるくらい体が拒否していた。
ミレーナ装着は生理終盤の経血がほぼ無い時だが、施術後の出血を想定して大きめのナプキンを持っていくことと、もしもの時のために白や薄い色の服は避けた方が良い。

帰宅後はほぼずっと横になっていた。
子宮(下腹部)が突っ張る感覚。
タンポンを入れたことがある方は分かるかもしれないがタンポンの違和感が縦だとすると、ミレーナの違和感は横。子宮の左右に突っ張り棒をしているようなイメージだ。
正面で上を向いて寝るより左右どちらかを下にして横になる方が楽に感じた。
施術後は食事や日常生活は可能だが、すぐ自宅などに帰り体を休める方が良い。
人との約束や大切なレース、仕事の前にはやらない、オフシーズンやマラソンレース後の長期休暇が取れるタイミングが良い。

その後、2日程で下腹部の違和感もなくなったが不正出血が思わぬ時に出るので1ヶ月くらいは小さめのナプキンかおりものシートは必須。

そこから月日が経つうちに安定してきて不正出血はほぼ出なくなり、
半年以降は生理周期での経血が少量、気にならない程度になり、1年経った今ではほぼ出なくなった。

普段の生活ではとても楽になったし、最初にも書いた通り練習中の汗でナプキンが擦れることや、気にせず水を被ることが出来るようになった。
デメリットとしては、ピルなどでホルモンを調整するものではなく、経血を止めているだけ。
私は以前よりはPMS・PMDDによる気分の起伏の振り幅が無くなった気がするが、なぜか月に2回短期間の気分の浮き沈みがくるようになった。
それを気にして見てみると2週間ごと。
そこから考えたのが、生理周期と排卵周期の2週間ごとなのではないかということ。
ミレーナは経血量は減らす(止める)ことができるが体内ではホルモンの活動は続いている。
PMS・PMDDへの反応は人それぞれ、と考えた方が良いかもしれない。
ミレーナを検討している方でやっておいたほうがいいことは装着するまでの生理周期の把握だ。
不正出血か生理周期の出血なのか、周期を把握していないと体の不調が起きた時になにが原因か分からなくなるからである。

女性アスリートは競技だけではなく日常生活にも戦いがある。
PMS・PMDDの症状や経血の量、生理期間の長さ、頻度には個人差がある。
競技も生理も体づくりも人それぞれ違う。
太りやすいことに悩む選手もいれば筋肉がつかないことにコンプレックスを持つ選手もいる。
しかし、「この大会で結果を出したい」と思ったらスタートラインは1つしかないしゴールも1つしかない。自分だけでなく自分以外と戦わなければならない。体の不調や体質は言い訳にしかならない。
なので自分の最大のパフォーマンスが出せる準備をすることが大切だ。
辛いことに耐えるのはトレーニングだけで良い。
それ以外のことは頼れるものに頼る。
今回はミレーナをテーマに書いたが、
トレーニング以外では「耐える=美学」ではない事を女性アスリートには理解してほしい。


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