Oathにおける王冠泥棒オーコについて

皆さん、おはようございます。冬宮みはるです。
普段はYoutubeにヴィンテージ(とパイオニア)の動画を投稿しているVtuberです。
今回は何故か書かないといけないような気がしたので『Oko Oathおける王冠泥棒オーコ』について紹介することにします。

ヴィンテージでオーコが使用され始めたきっかけ

そもそも「《王冠泥棒、オーコ》がヴィンテージでも使われている」というのは最早周知の事実ですが、それが有名になったのは何がきっかけであったかはご存知でしょうか。
きっかけはMagic OnlineVintage Playoffというそこそこ大きいイベントで《王冠泥棒、オーコ》を入れたOathデッキ、後の通称Oko Oathがマッチ勝率100%で『優勝』を飾ったのが始まりです。
そして、そのデッキをLuis Scott-Vargasさんがツイートしたり、公式の記事で取り上げられたりして、ヴィンテージでも《王冠泥棒、オーコ》が使われていると皆さんに周知されていきました。
しかし、有名になったのはそのタイミングですが、それ以前にも《王冠泥棒、オーコ》はヴィンテージで結果を残していました。
エルドレインの王権がMOに実装されてから約二週間後の2019/10/13、先程紹介したVintage Playoffで優勝を果たしたデッキと『全く同じデッキ』がVintage Challengeトップ8という実績を残しています。
どうしてそこまでのことを知っているのかと言いますと、このデッキを作って結果を残したのはこの私『冬宮みはる』だからです。
Vintage Playoff SEの試合の動画投稿しているので、興味があればご覧下さい。

オーコとOathの歴史について

さて、前置きが長くなりましたがここからが本題です。
Oathにおいて《王冠泥棒、オーコ》はどれほど強いのか、どのような経緯を経てデッキに投入されたのか、ですね。

まずは《王冠泥棒、オーコ》が存在する前のOathについて少し触れておきます。
《オーコ》が存在する以前のOathは『《墓掘りの檻》でドレッジのついでにメタられる』『《封じ込める僧侶》でも同様』といった、ヴィンテージ界最強のデッキであるドレッジに対するメタカードの煽りを受け、あまりよろしくない立ち位置に居ました。
中でも《封じ込める僧侶》は《ドルイドの誓い》を止めつつクロックを刻んでくるため、このカード1枚だけに敗北することもあります。
これらのメタカードに対しては《削剥》や《暗殺者の戦利品》といった除去でどうにか対応はききますが、《封じ込める僧侶》に対抗するためだけにOathにクリーチャー除去を入れるという行為そのものが弱く、デッキコンセプトと真逆の行為をしなければならないため本末転倒も甚だしい事態となっていました。

そんな背景もあり、勝ち筋を《ドルイドの誓い》一本に絞った構築は環境的にかなり厳しいものでした。そのため、《ドルイドの誓い》とはまた別の勝ち手段をデッキに投入することとなります。
その勝ち手段というものが問題で、通常のデッキであれば《僧院の導師》や《マナ喰らいのハイドラ》等のクリーチャーを数枚入れるということができたものですが、《ドルイドの誓い》を使用する以上、余計なクリーチャーは一切デッキに入れることができません
即ち、プレインズウォーカーに頼ることとなります。
しかし、そのプレインズウォーカーも適当なものではなく、『《封じ込める僧侶》に対抗できて、単体で使用するに値するスペックで、重くても4マナで、着地して数ターン後に勝ちが保証されるものでなくてはならない』といった条件をクリアしなければ勝ち手段とはなり得ません。
例を挙げると、《精神を刻む者、ジェイス》は強力なカードであり、引いてしまった大型クリーチャーもデッキに戻せる能力を持ち合わせているため、デッキに合っていると思われるかもしれませんが、結局《封じ込める僧侶》に何も対処することができないため、勝ち手段としてカウントするには厳しいです。
《ダク・フェイデン》もほぼ同様ですが、《ジェイス》よりも1マナ軽い点とMUDに対して強いという点から《ジェイス》よりは採用されていました。

結論から言うと、その条件に該当するプレインズウォーカーは存在しませんでした
そもそも4マナのプレインズウォーカーともなると、唱える際に《禁忌の果樹園》を使用しているケースが非常に多く、ただでさえ厳しい条件にもかかわらず4マナのプレインズウォーカーにはそのスピリットトークンすら苦としないスペックを求められる以上、仕方ないことだと思います。
一時期は《アーリン・コード》という、恐らくは殆どの方が能力を覚えていないであろうプレインズウォーカーでさえ試されていましたが使いづらさが目立ち、すぐに解雇されていきました。

そんな試行錯誤の中、エルドレインの王権のプレビューが公開される時期となりました。
近頃のエキスパンションは《レンと六番》《覆いを割く者、ナーセット》《大いなる創造者、カーン》といったヴィンテージ界に影響を及ぼすレベルのプレインズウォーカーが次々と登場していたので、エルドレインの王権に対しても多くのヴィンテージプレイヤーが期待と警戒を持ってプレビューを眺めていたことでしょう。
そして、ついにそのカード《王冠泥棒、オーコ》が姿を見せることとなりました。
このカードは先程述べた、Oathの追加の勝ち手段の条件である全ての要項を満たした上に、さらには《墓掘りの檻》にまで対処できるといったまさしくOathの為に生まれてきたといっても過言ではないスペックを誇っていました。
《内にいる獣》ですら採用しようと考えていた矢先に、まさか実質的に《内にいる獣》を内包しているプレインズウォーカーが登場するとは思いもしませんでした。
そこから先は、皆さんがご存知の通りの結果を残し、エルドレインの王権発売後1ヶ月を待たずして《王冠泥棒、オーコ》は全てのフォーマットで結果を残すという偉業を達成しました。

Oath視点で見るオーコの能力

さて、先程大雑把に追加の勝ち手段としての《オーコ》について説明しましたが、ここから更に詳しく触れていきます。

+2で食物を生み出す能力ですが、これはそのまま次のターン以降の+1能力と-5能力への布石となります。
また、滅多にやりませんが3点回復することによって《グリセルブランド》の能力起動コストを確保することもできます。
また、《修繕》のコストに当てるといった使い方も可能だと思います。Oath以外のデッキだと、アーティファクトの数が増えるので《トレイリアのアカデミー》から出るマナが増えたりもします。

続いて一番重要な能力である+1です。
ヴィンテージの世界は《Mox》を始めとしたアーティファクトがありとあらゆるデッキに入っているので、+1能力の対象に困ることはありません。
相手の《Mox》を鹿にしてマナを縛ったり、こちらの《Mox》を鹿にして殴ったりと、他のフォーマットに比べると+1を最初に起動する機会が多いのではないでしょうか。
勿論、+2と+1を交互に使用して鹿を量産する動きも強いです。
また、ヴィンテージは他のフォーマットと比べるとクリーチャーのサイズが貧弱なので3/3というサイズは十分に脅威となります。
(ヴィンテージのクリーチャーは基本的にパワーやタフネスが4以上のクリーチャーが《タルモゴイフ》くらいで、他は1/3や2/2等の貧弱なものや、7/7や15/15等の極端に大きなクリーチャーばかり)
特に、Oathにおいては相手の《墓掘りの檻》を無力化するだけでなく、同時に《ドルイドの誓い》の誘発条件も満たすことができます。
《封じ込める僧侶》に対しても同様で、この2枚を無視してこちらの場に鹿を量産して、そのまま《ドルイドの誓い》無しで押し切ることすら可能です。
なんなら、《ドルイドの誓い》を引いていなくても《オーコ》だけで勝つことすら日常茶飯事です。最早《ドルイドの誓い》が主軸なのか、《オーコ》が主軸なのかどちらなのでしょうか。
それと、ご存知かもしれませんが、《オーコ》は初期忠誠度の高さと+能力ばかりであるが故に
+1で相手の《タルモゴイフ》を鹿にして(返しで殴られて忠誠度2)
次のターン+2で食物を出し(返しで殴られて忠誠度1)
その次のターンで+1で食物を鹿に変える(返しで殴られたのを鹿でブロック)
といった動きをしても落ちません。
要は相手の場にクリーチャー(あるいは対処しなければならないアーティファクト)が1枚だけならば、後出しで対処できるといった異常すぎるスペックを誇っているわけです。スタンダード禁止になるのも当然ですね。

では最後に-5能力ですが、これはあまり使用することがありません。
とはいえ、能力自体は弱いわけではないので『こういう能力も存在する』ということ自体が強みです。
例えば、こちらは《Mox》から2ターン目に《オーコ》を唱えて+2で食物を生み出した返しのターン、相手は土地も《Mox》も置かずに前のターンに《定業》で見つけた《死儀礼のシャーマン》を唱えるだけでターンを返してきた場合に、-5能力で食物と《死儀礼のシャーマン》を交換してしまえば相手はマナスクリューに陥ることとなります。
このように限定的ではありますが、ただでさえ他の能力が強いプレインズウォーカーにそういう選択肢も取れるといったオマケが付いていると考えれば悪いことではありません。
勿論、対戦相手にとってはたまったものではありませんが。

《オーコ》の能力については以上となりますが実はもう一点、《オーコ》の強みが存在します。それは色です。
青という色は言わずもがな、レガシーでもお馴染みの《Force of Will》のコストに当てられる色なので、青いというだけで他の色よりも価値があります。
さらに、ヴィンテージにおいては緑という色も重要です。
これは他のフォーマットではあまり馴染みがないカードかもしれませんが、《活性の力》という強力なカードのコストに当てることができる色が緑です。
皆さんもご存知の通り、ヴィンテージはアーティファクトが非常に強力で、サイドボードのカードは殆どがドレッジ対策かアーティファクト対策に枠を割かれています。
そんなアーティファクト対策の中でも《活性の力》はかなり強力で、マナも必要ない上にアドバンテージすら失わないといった他の対策カードではあり得ないスペックのカードです。
ただ、《Force of Will》と併用するとデッキ内の色のバランスが難しくなるのが難点なのですが、《オーコ》はそのどちらのコストにも当てられるので、どちらか片方を採用する際も、両方とも採用する際も、気にせずにデッキに入れることができます。
また、《オーコ》は基本的に殴られて落とされることはないのですが、青いので《紅蓮破》に当たる点だけは注意が必要です。
そのため、着地してとりあえず《Mox》を鹿に変えておくといった動きも考えておく必要があります。

終わりに

さて、長くなりましたが以上で『Oathにおける王冠泥棒オーコ』の説明を終わりにしようと思います。
最後に、冬宮はほぼ毎日ヴィンテージの動画を投稿しているので、よろしければそちらの方もご覧いただいて、チャンネル登録もしていただけると嬉しいです。

それと、ヴィンテージに興味を持った方は是非ともヴィンテージを始めてみて下さい。
紙は敷居が高いという方もMOなら安く始められます。
MOの導入の仕方が分からないって方のために、MOの始め方の動画も投稿しているので、分からない方は是非そちらをご覧ください。
それでは皆さん、おやすみなさい。冬宮みはるでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?