オースにおける変態/Metamorphoseの有用性

皆さん、おはようございます。冬宮みはるです。
皆さんは《変態/Metamorphose》という謎のカードをご存知でしょうか。
普段から冬宮の動画をご覧になってくださっている方々はこの動画でその存在を認知していると思いますが、今回はこの《変態/Metamorphose》というカードを2枚も採用したオースが3週連続でVintage Challengeのトップ8に入賞するという謎の事態が発生しているのでオースにおける《変態/Metamorphose》の有用性について解説しようと思います。
ちなみに当然ながらその3週連続で入賞したのは冬宮本人です。

そもそもどんなカードなの?

まだテキストを知らない方のために説明をしますと、相手にだけ《実物提示教育》を与えるデメリット付きの2マナのインスタントでパーマネントをデッキトップに戻すという能力です。正確なテキストは以下の通りです。

変態/Metamorphose 1青
インスタント
対戦相手がコントロールするパーマネント1つを対象とし、それをオーナーのライブラリーの一番上に置く。その対戦相手は手札からアーティファクト・カードかクリーチャー・カードかエンチャント・カードか土地カードを1枚戦場に出してもよい。

デメリットに一切目を向けなければ、ありとあらゆるパーマネントをたった2マナで対処できる上にインスタントであるという非常に強力なテキストです。とはいえ、このデメリットを無視できないからこそ、このカードは今まで日の目を浴びてきませんでした。
しかし、オースにおいてはこのデメリットは非常に些細なものとして考えることができます。その理由については後述します。

どうしてこんなカードを見つけたの?

そもそも、大抵のMTGプレイヤーが(多分)知らないようなこんなカードをどうして見つけられたのかと言いますと、オースに対して飛んでくる対策カードである《墓掘りの檻》と《封じ込める僧侶》を同時に対策できるカードを探して見つけました。この2枚を対処するのであれば、他にも《削剥》や《プリズマリの命令》も存在しますが、《削剥》はWillのコストにならないがためにDoomsdayやブリーチ等のコンボデッキに対して完全に無力であり、《プリズマリの命令》は単純に重たい上に《タルモゴイフ》どころか《戦慄衆の秘儀術師》すら倒せないといった欠点が目立ち、いまいち使い勝手が良くなかったため「青くて」「2マナ以下のインスタントで」「手札ではなくデッキに戻す(《封じ込める僧侶》に瞬速とかいうわけわかんないキーワード能力が付いてるせい)」カードを検索した結果、《変態/Metamorphose》に辿り着きました。

デメリットについて

このカードが全く使用されてこなかった理由の主な部分がデメリット能力のせいだと思いますが、これは前述通りオースにおいては非常に些細なデメリットにしかならないと考えています。
そもそも、このカードは「オースの対策カードを対策するためのカード」として採用されているという点を考えれば分かりやすいと思います。つまりは《封じ込める僧侶》や《墓掘りの檻》を除去さえすれば《ドルイドの誓い》が誘発するという状況であり、その状況であればこのカードのデメリットは気になるでしょうか?
クリーチャーは出されようとも《ドルイドの誓い》によってこちらの場には《グリセルブランド》や《パルン、ニヴ=ミゼット》が出るので一切問題になりませんし、アーティファクトやエンチャント、ましてや土地に至っては脅威にはなりません。《王冠泥棒、オーコ》や《覆いを裂くもの、ナーセット》等は脅威になり得ますが、このカードからプレインズウォーカーは出せません
そもそもそういった対策カードが場に出ている状況であるならば、手札のクリーチャーやアーティファクト、エンチャント、土地は既に強い順にプレイされていく筈です。つまり手札に強いカードは残ってない場合が非常に多く、《ドルイドの誓い》とその対策カードが同時に盤面に存在している状況においてはデメリットは存在していないに等しいです。(《封じ込める僧侶》とか《墓掘りの檻》を複数枚持ってても全部場に出してる筈です。《オーコ》+《Time Walk》が負け筋になるので。)
それに、レガシーでは《実物提示教育》を主軸にしたデッキが存在しており、そのデッキがコンボを決める際に《実物提示教育》のデメリットは一切気にしていないということからもこのカードのデメリットは存在していないのと同義です。
とはいえ《ドルイドの誓い》を引いていない場合はデメリットが辛いんじゃないのかと思われるかもしれません。ですが《ドルイドの誓い》を引いていようと引いてなかろうと、基本的に手札のクリーチャー等は強い順に出てくるので、やはりデメリットはあまり気になりません。こちらのデッキがオースである以上、クリーチャーを出すのであれば弱いクリーチャーから出すわけがありません。それで返しに《ドルイドの誓い》を通されたら洒落になりませんからね。
つまりは今出せる中で一番強いクリーチャーから順番に出てきます。勿論、これはクリーチャーだけの話なので、アーティファクトやエンチャントはカウンターをケアして弱いものから唱えてくる可能性はあります。とはいえ、アーティファクトを主軸にしたデッキに対してはオースは比較的有利であり、エンチャントに至ってはそもそもヴィンテージの環境にほぼ存在していません。土地は《不毛の大地》とかでなければ基本的に無害ですし、そもそもそれもあるなら既に置かれてます。
以上の理由から、オースにおいては《変態/Metamorphose》のデメリットはほぼ存在していないと言えると思います。ちなみに当然ですが、ミラーではデメリットがヤバすぎるので《ギタクシア派の調査》でもない限りは絶対に唱えません。ただ、ここまで語っておきながら実は9割は《Force of Will》のコストにされます。でもこれでも《削剥》なんかよりはよっぽど活躍してます。腐らないメタカードはそれだけで強いので。

強いところ

今度はこのカードの強い部分について説明していきます。
まずは第一に青いことです。《Will》のコストになるのは対コンボデッキにおいて非常に重要なことです。《削剥》を非常に弱く感じたのも《Will》のコストにならないことが原因でした。また、今までは相手の《鋼の風のスフィンクス》に触る手段が存在していませんでしたが、このカードならば触るどころか普通に除去できます。
次に対象が相手のパーマネントと非常に広いことです。土地やプレインズウォーカーに対しても撃てるので《Karakas》や《レンと六番》といった、オースが苦手とする上に《オーコ》でも触れなかったカード達にもメインボードから対処することができるのは他のカードにはない利点です。
そして、デッキトップに戻すというのもこのカードの強みです。相手の手札が0枚の時に土地をデッキトップに戻せば実質的に《Time Walk》ですし、《封じ込める僧侶》もすぐには出し直せません。また、《暗黒の深部》に対してマリットレイジの破壊不能を気にすることもありません。
また、言わずもがなインスタントであることは非常に重要です。《ドルイドの誓い》の誘発にスタックして《封じ込める僧侶》や《墓掘りの檻》を除去するのは勿論のこと、《Bazaar of Baghdad》の能力にスタックして《Bazaar》を戻すことで発掘を躊躇わせたり、《タッサの神託者》にスタックして《タッサの神託者》をデッキトップに戻すことで1ターン延命したりもできます。(《タッサの神託者》以外も戻せますけど、そのままだと信心2あるので負けます。)

絶対に流行らせるという想いと絶対に流行らせたくないという想い

ここまで読んで頂けた方々には十分に《変態/Metamorphose》の強さが伝わったと思います。
めちゃくちゃ前にオースに《オーコ》を入れるOko Oathを流行らせて現在のオースのテンプレにしたように、この《変態/Metamorphose》も未来のオースのテンプレにしようと企んでいます。

わざわざこの記事を海外向けに翻訳してくださってる方はこの先のくだりは一切翻訳しなくて大丈夫です。

ただ、一つだけ懸念点があります。それは他ならぬ日本語名が不穏すぎるという点です。この記事も全て《変態/Metamorphose》というようにわざわざ英語名も合わせて記入しているのは、絶対に日本語名で流行らせるわけにはいかないという鉄の意思によるものなので、皆さんは是非ともこのカードは英語名で呼ぶようにしましょう。
発音が分からない方のために一応説明しておくと、英語名はメタモルフォーゼです。そもそも皆さんは《思案》のことをわざわざ《Ponder》と呼んでいる筈なので、英語名で呼ぶのが普通の筈です。
なんなら日本語名は忘れて大丈夫です。誰も《秘密を掘り下げる者》の裏面の名前が分からないのと同じです。

さいごに

ここまで読んでくださってありがとうございました。
普段はYouTubeでヴィンテージを中心に毎日動画投稿してるのでよろしければご覧になって是非ともチャンネル登録をよろしくお願いします。最近はモダンもちょろっとやってます。
また、普段は滅多にMTGの配信をしないんですけど近いうちに配信しようと思ってるので、それも観に来ていただけると嬉しいです。(今週末の金曜日か土曜日にやりたいという気持ちはあります。)
長くなりましたがこれで終わりにしたいと思います。
それでは皆さん、おやすみなさい。冬宮みはるでした。

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