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三原神明市2024—アートだるま300体が集結する「DARUMART」とは?

 「日本一の大だるま」のもとに約40万人が集う広島県三原市のお祭り、「三原神明市」が2月9~11日、4年ぶりに開催されます。

 高さ3・9メートルの巨大だるまがお祭りのシンボルとされていますが、市民団体・ミハラスパイスが企画する「DARUMART(ダルマート)」には、小さくて個性豊かな300体のだるまが大集合します!

 それらはすべて、市民や国内外のアーティストが制作したもの。トゲトゲしていたり、はたまた切り開かれていたり。もこもこの毛糸にくるまれて犬のぬいぐるみさながらのものもあれば、「みなさんの願いが叶いますように」と招き猫を描いたものもあります。自由な発想でデザインされたアートだるまに、会いにきませんか?

 前回の記事に続き、三原神明市2024の新たな楽しみをご紹介します。

(取材・構成/ライター 小山美砂)

アートだるまを紹介するミハラスパイスの公式Instagramも要チェック

 DARUMARTの開催はこれで3回目です。新型コロナウイルスの影響で神明市が中止となった2021年以降、「まちを盛り上げたい、元気にしたい」という思いから、JR三原駅構内で開いてきました。今年は、三原市本町の古民家をリノベーションし、2023年9月にオープンしたコワーキングスペース「arica」が会場です。神明市会場と同じく西国街道沿いにあり、三原駅西口から西に歩いて約5分。神明市の大だるまとともに、三原を盛り上げます。

会場の「arica」は2階。1階では三原の特産品を買うことができます
画像出店:https://machi-mihara.info/info.cgi?id=650

「転んでも、立ち上がり続ける」願いを込めて

 300体のだるまは、市民や国内外のアーティストが一つひとつ、制作しました。三原だるまの制作と継承を担う「三原だるま保存育成協会」にご協力いただき、絵付け前の真っ白なだるまを用意し、参加者が自由にデザインしたものです。

 三原市の民芸品として有名な三原だるま。江戸時代に疫病を払うものとして作られはじめたと言われています。一時生産が途絶えたこともありましたが市民の力で復活し、今日まで受け継がれてきました。

絵付け前の白だるま

 その特徴は、「願いが成るように」と、中に鈴や小石が入れられていること。そして、転んでも必ず起きあがるかたちをしていることです。

 さまざまな困難が押し寄せる時代に、その困難をひらくのもまた私たちです。楽しく、時に型破りなやり方で、「転んでも、立ち上がり続ける」精神を三原から発信していけたら……。ミハラスパイスはそんな思いで、300のアートだるまを集めたとのこと。お気に入りのだるまを探しに行くのも楽しそうです。

「だるまが並ぶ風景は大迫力!いずれはギネスも……」渡邉一康さんのお話

 アートだるまを集める作業にはミハラスパイスのメンバーみんなで取り組み、少しずつ数を広げてきました。ミハラスパイスの会長で、同市で美容院を営む渡邉一康さんに、イベントの楽しみ方や今年の見どころを聞きました。

渡邉さん

 新型コロナウイルスであらゆるものがストップし、神明市さえも中止となった2021年、自宅にいながら楽しめて、かつ文化にも触れられる企画として持ちあがったのがDARUMARTです。
 初回はイベント自体が知られていないので、だるまを集めるのには苦労しました。コロナ禍で直接会うこともできないため、知人のつてをたどって、電話やメールでお願いしました。三原に限らず、東京や大阪、オーストラリアでも、送れるところに送りました。
 いただいたアートだるまを見て、僕たちもびっくりしました。すごく個性豊かでかわいくて、面白いんです。特に印象的だったのは海外のアーティストです。そもそもだるまという文化を知らないから、メールで「カットしてもいい?」と聞かれて(笑)。僕たちにはできない発想ですよね。驚きましたけど、「好きにして」と。近未来的な、想像もつかない作品が完成しました。だるま集めは 「こういう風にデザインするんだ!」と、驚きの連続です。市民の方もバイク塗装の技術を活かしたり、耳をはやしたり土台をつくったりと、楽しみながら作ってくださっています。地元の小学校や高校の美術部も参加してくれました。
 今年は会場を「arica」にうつし、和物と和物のかけあわせが見どころになりそうです。立派で歴史のある建造物の中に300体のだるまが並ぶ風景は、迫力があること間違いなしです。
 僕個人としては、DARUMARTでギネス世界記録に挑戦したいんですよね。最も市民が参加した民芸品、とかで(笑)。関心をもってくれる人がふえるとうれしいです。
 「白だるまがこんな風に変身するんだ!」と、子どもたちにも好評です。ご家族やご友人同士でも、ぜひどうぞ。もちろん全作品、撮影OKです。神明市の流れで、ぜひ遊びにきてください。

(次の記事では、主催団体のミハラスパイスについてご紹介します)


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