MSPM0 CCS or Theia?
APS-Web様向け寄稿記事で、
色々なMCU評価ボードでブラシレスモーターを回す
という活動をしています。
TI製の最新MCU MSPM0 を一通り触ってみました。
MSPM0で使用する統合開発環境(IDE)が2つあり、
どちらを選ぶか明確な指標がTIから示されてはいません。
2つのIDEを両方使ってみましたので、
その違いやおススメポイントをまとめてみました。
TIのMCU統合開発環境
TI製MCUの開発は Code Composer Studio を利用できます。
Code Composer Studio は2種類あり、どちらを用いても開発が可能です。
Code Composer Studio (以下CCS)
EclipseベースのIDEです。
2010年以前からアップデートを続けており、TIの幅広いラインナップに対応しています。
Code Composer Studio Theia (以下Theia)
2023年にリリースされたばかりの、新しいIDEです。
"Theia"というVScodeライクなIDEがベースとなっています。
2024年6月時点ではMSPM0等一部のラインナップのみの対応となっています。
CCS vs Theia
UI
CCSはおなじみEclipse系のUIです。
他メーカーのIDEで慣れている人も多いかと思います。
TheiaはVSCodeライクなUIで、Eclipseと比べて使い勝手が洗練されています。
デバッグ
CCSのデバッグ画面です。画面上部のメニューバーにアイコンが集約されています。
Theiaのデバッグ画面です。左側のデバッグアイコンをクリックするとデバッグ画面に移行します。変数のリアルタイムウォッチやブレークポイントの有効化/無効化等一通りの機能が揃っています。
ツール/コンパイラ
TI提供のツール類、コンパイラは大体同じです。どちらのIDEでもコンパイラを選択出来ます。
軽く触った感じですと、ツール/コンパイラに関して差は感じませんでした。
将来性
という事で将来性はTheiaに軍配が上がります。
しかし現状Theiaが対応出来ていないデバイスもありますので、しばらくはCCSも使われそうです。
それぞれのおススメポイント
まず結論として私のおススメはTheiaです。
情報の見せ方、取捨選択が洗練されており使いやすいです。
MSPM0等Theia対応デバイスを使う場合は、Theiaが良いでしょう。
CCSは"馴染みのEclipse、幅広いラインナップに対応済"
TI製の幅広い製品に対応しています。
業務で昔のTI製デバイスを利用する
Eclipseを使い慣れている
という方はCCSが良いかと思います。
Theiaは"モダンUI、将来の主戦力"
UIの使い勝手が良く開発作業のストレスが少ないです。
これからTI製品を触ってみる
使いたいデバイスがTheiaに対応している
という方はTheiaが良いかと思います。
SysConfigはCCS、Theia両方対応
SysConfigはペリフェラルやクロックを設定し、初期設定コードを出力するシステム構成ツールです。
このツールはどちらのIDEでも同じように利用可能です。
SysConfig自体も他社の類似ツールと比較し使い勝手が洗練されており、マニュアルを読み込まなくてもある程度の事は実現できてしまいます。
クイックヘルプ機能も地味に便利です。
まとめ
TIのIDE 2種類をそれぞれ使ってみて、特徴や使用感を比較してみました。
個人的にMSPM0を使うならTheiaがおススメです。
ただSysConfig等のツール類やMCU用ドライバ、コンパイラは共通なので、明確な優劣があるわけではありません。
やっぱり慣れ親しんだEclipseがいい!
という人はCCSを選んでも問題無いと思います