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■エピソード2「ぼくが放火の犯人!?」

パトカーで最寄りの警察署に到着し、警察官の人から「着きましたよ。降りて下さい。」と声をかけられ、パトカー後部座席のドアを開けようとするも開かず。
「あ、すみません。今、外から開けますね。」とドアを開ける警察官の人。その状況に、ぼくは「ナニワ金融道」の1エピソードで「犯人に間違われてパトカーに押し込められた先輩社員・桑田さんがパトカーから降りようとするさま」に「お前、何しとんねん。パトカーのドアは内側からは開かんのやで。」と警察官に笑われるシーンを思い出しましたが、嫌なシンクロニティを感じずには、いられませんでした。

そして警察署内。警察官に言われるがままに案内された先は「取調室」……!!  取調室の中に入ると「じゃあ、ポケットの携帯電話と財布と鍵は、こっちのカゴに入れて。」と言われ、すぐさま「……あのねえ、ご主人さん。言いたくないけれども、出火元、ご主人さんのお部屋なんですよね……。」「それで、ご主人さん、……タバコ、吸われますよね…?」え……、何、この「お前が火元の犯人だ」みたいな扱い……。
その嫌な予感は的中。「お前が火災の原因だ」という決め付け路線で取り調べはスタートしたのでした。
いやいや! 最後に煙草を吸ったの、朝6時だし! 吸い殻は水かけて消火したし! ていうか、家を出てから約9時間後に出火って、おかしいだろ! その間に、家の一階と二階の部屋の間取り図を描かされ、沢山の質問、というか、尋問をされ、最後には「取り調べ調書」に拇印を押させられる始末。取り調べで降りかかる嫌疑を逐一反論し、長い取り調べの後、結論は「恐らくコンセントからの漏電」というものになり、濡れ衣は晴れたのでした。
……ちなみに「吐けば楽になるぞ」と、カツ丼の出前は出ませんでした。夕食時間、とっくに過ぎてたのに。ちぇっ。

警察から解放されたのは、午後8時を回っていました。帰る家も無い。今夜の食事も、入浴も、着替えも、明日からの生活も、何も無い。無い無い尽くしで放り出された、ぼく。「元」自宅付近に帰って来たぼくの顔を見た嫁さんは、その憔悴ぶりを察して「……お疲れ様。その様子だと、落ち着くまで時間がかかるでしょ? お父さんとお母さんは近くの老人ホームに避難してもらったから。私は子供たちと実家に避難するから、とにかく貴方は独りで泊まれる場所を探して? また連絡ちょうだい。」と言い残し、車で去って行きました。

……さあ大変だ。車のガソリンも、スマホのバッテリー残量も、後わずか。
縋る思いで駅前のビジネスホテルに電話すると、ラッキーにも空き部屋は一つだけ残っておりました。速攻で事情を説明し、ホテルを予約。その後は、近所のコンビニをハシゴし、スマホの充電器・下着・菓子パン数個を買い込んでホテルにチェックイン出来たのでした。車のガソリン残量は、後わずかでした。……こうして、出火一日目の大ピンチは、何とか凌ぐ事が出来ました。……ちなみに、ホテルでお風呂に入る事は出来たものの、その日の夜は混乱と不安で一睡も出来ませんでした……。

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