辞令交付式。

新居を出ようとした時、それまで晴れていたのに、急に雪模様になった。4月に雪か。挑戦されているな、私。急遽、準礼服のジャケットの上に、レインコートを羽織った。傘なんか、さすものか。

職場の裏の駐車場に、車を初めて止めた。建物に入ると、行きたい部署がどこなのか分からなくなり、迷った。一度、建物の外に出てから、正面玄関に回り、内階段を上っていると、名前で声をかけられた。定刻を少し、過ぎていたのだ。

既に、他の新任者には何か配られているようだった。席につき、待ってみても、私に書類が配られることはなかった。そばを通りかかったスタッフに声をかけると、新任時提出書類一式を渡してくれた。

辞令交付式。リハーサルはなし。３週間前の卒業式を思い出した。あの時は、予行練習から子供たちを見守ってきた。今度は、私の番だ。子供たちの卒業証書授与よろしく、人事異動通知書を受け取った。

自分の机に着くと、現代社会の習いとして、職場内メールのパスワード設定。できるだけ簡単に覚えられるパスワードを、瞬時に決める。メールアドレスも複数あるのが、普通。それぞれにパスワードが要る。

職場の方々は、思いのほか、温かかった。地元の言葉を喋れない私に、親切にしてくれた。当地で桜が咲くまで、あと２週間。それまでには、少し職場に慣れていきたい。長くて短い、4月1日だった。

写真：3月16日の地震で、新幹線が不通に。代わりに航空便を利用して、現地入り。

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