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#5 ロックバンドじゃなくてよかった


いつにもなく攻撃的で消極的。
バイオリズムのせいなんだろうけど、そんな簡単な話ではない。


4月になった。
エイプリルフール、私は誰にも嘘をつかなかった。
そして本当のことも言えなかった。
情けない自分が惨めで、愛おしくも思えた。


最近、SNSを見ていると
「男を沼らせる〇〇3選」だとか
「愛される女になる方法!それは…」
みたいな投稿がよく流れてくる。

初めは興味津々で開いていたけれど
大体のやつが「ちなみに共有から4番目の〜」とか言い出すし
どう考えても美男美女の世界でしか通用せんだろ
みたいなことを平気で言い出すから、
今ではうるせえ黙れと思ってそっとアプリを閉じるようになった。


一人が好きだった。
一人っ子だし、幼稚園に入るまではずっと家に一人だったから。
厳密に言えば、
ばあちゃんと、寝たきりのじいちゃんと3人だったけど
ばあちゃんは子供と遊ぶような人ではなかったし、
じいちゃんはずっと寝てるし、一人で遊ぶしか手段はなかった。

だから、一人で過ごす術は大体心得ているし
割と何でも一人でできる。
ライブに行く、映画に行く、カラオケに行く、焼肉に行く、
田舎から都市部まで特急列車や夜行バスに乗って行くことだって
高校生の時からできていた。

一人は気楽だから。
自分のことをわかってあげることができるのは
自分しかいないから。

思っていることは言えないし、
迷惑かけたくないし、
誰も傷つけたくないし、

一人でいる時だけ、
自分が人生の主役になれたような気がしたし。


身勝手な振る舞いをしていたあの時も、あの時も
私は一人だったから身勝手だった。


そんな思いを抱えて四半世紀生きてみた。

ここにきて一人に飽きている自分に気づいた。



私は、自分がロックバンドを組んでいなくてよかったと
心底思う。
きっと、卑屈な自分を、どうしようもなくて情けない自分を
恥ずかしげもなく晒した歌ばかり歌っていただろうから。


全然一人なんかじゃなかった、
たくさんの優しい人に出会えた
恵まれた自分を、信じてあげることができなかった
そんなかっこ悪い自分のことを。


もう桜は散ってしまったね。

今日の私は、えらく騒人だな。


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