勝手にアニメキャラのセックスを想像してみた

第31回 新沼文世−11

翌朝、二人は夕べのことは何もなかったかのように、私に接したことを覚えている。
地味でおとなしいイメージの母の痴態を目撃した私は、母に気づかれないようにそっと視線を母のいる位置に向けた。
よく見ると、母はまぶたに水色のアイシャドウを塗り、胸にはネックレスをしていた。
そのような装いをしている母の姿を、私はその後も度々目撃している。
私は子どもなりに、母がそのような格好でいるのは、父に無言で
「パパ、今晩も『おまじない』をしてね」
と、無言のアピールをしていたのだろうと受け取った。
母の色っぽい姿を見るたびに、私は
「ママ、きれいだね」
と子供心にお世辞を言った。すると母も嬉しそうに
「あらふみよ、ありがとう」
とニコッと笑った。
「パパ、きっと嬉しく思っているよ」
「そりゃそうよ、だってパパは、ママがきれいだと機嫌がいいんだもん」
本当は
「ママは今晩も『ママがきれいになるためのおまじない』をするのかな」
といいたかったが、母が困る顔を見たくなかったから黙っていた。
……そしてその「おまじない」は、意外なところで御利益があった。
翌年、妹が生まれたのだ。

自分たちの痴態を、幼い我が子に見られるのはまずいと思ったのだろう。
両親の部屋の扉は、しばらくの間閉じたままの状態が続いた。
二人の部屋は防音設計なので、彼らの声が廊下の外から聞こえることはほとんどない。
しかし、たまに「ドン、ドン」という音が響くことがあった。
私は密かに「また、2人は『おまじない』に夢中なのだろう」と思うことにした。

やがて私も、初潮を迎える時がきた。
それについて母は、自分と同じ不安を抱えていたこと、同時にそれは、大人の女性になる第一歩なのだということを私に伝えた。そして、なにか過ちがあったときの時の対処方法を、私に教えてくれた。
だが母の教えてくれたものは、あくまでも初潮を迎えた小学生に必須知識という範疇を超えるものではなく、セックスについては「あなたにはまだ早い」という認識を、頑なに持っていたようだった。
この頃、両親は別居していた。父の新しい赴任先が、自宅から通うには遠いため、任地の近くにワンルームマンションを借りていた。
平日はそこから学校に通い、金曜の夜に帰宅し、日曜の夜にワンルームマンションに戻るという生活を送った。
母はというと、父がいる金・土は、決まってアイシャドウを塗り、色っぽいネックレスをしていた。その日の夜、2人が部屋で何をしていたのかは、おおよそ見当がついた。
だが私は、あえて2人が何をしていたのか、あえてきかなかった。

私立中学の受験勉強に本格的に取りかかって間もない頃、私は再び両親が愛し合っている現場を目撃する。
あの幼き日に目撃した時と同様、部屋のドアは半開きになっていた。
「受験生」であるにもかかわらず、私の頭の中に、「セックスについて知りたい」という衝動が頭をもたげる。
「ひょっとしたら、またあの時と同じことをしていたのかな?」
私はそう思って、両親の部屋のドアを開けた。
そして私は、2人の部屋の中に忍び足で入った。
真っ暗な部屋の中に、ベッドスタンドが照らされているのを確認した私は、ベッドの中で、両親が抱き合っているのを目撃した。
幸い、2人は私が部屋にいることに気がつかないようだ。
タオルケットが父の腰までかかっていたが、2人は全裸で抱き合っていた。
父は母の乳房をゆっくりと揉みしだき、上腕部と腋に丁寧にキスをした。
「ア、ア、ア────────────ッ!!! ア、ア、アナタ ──────ッ!!!」
「ダ、ダ、ダメ────────────ッ!!! イ、イ、イヤ ──────ッ!!!」
父の愛撫に母はよがり狂い、枕の上で頭を激しく左右に振った。
「ハァ……ハァ……ハァ……ダメ……カンジチャウ……」
父の背中をがっしり掴んだ母も、指を使って父を愛撫する。
やがて父は、母の両足を高々と持ち上げ、自分の肩にかけた。
その姿勢のまま、父は母を深々と貫いた。
「アアァ────────ッ!! イヤァ────────ッ!!」
母はたまらず大声を出し、それを合図に父は腰を動かす。
「ヤダ────────────────ッ!!! ヤダ───────────ッ!!!」
「イヤ────────────────ッ!!! イヤ───────────ッ!!!」
父は母に歓んでもらいたい一心で、一生懸命腰を動かす。
そのリズムに合わせて、母の口からは淫らな息づかいがあふれ出る。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
「ウッ! ウウッ!! ウァ──ッ!! イヤァ──ッ!! 」
そして、父が強烈な一突きをお見舞いすると、母の理性は崩壊した。
「イッチャウゥゥゥゥゥゥ──────────────────────ッ!!!」
母は背を伸ばしてベッドの上で絶叫した。
そして父の背中を掴んでいた掌は、ゆっくりとベッドの上に滑り落ちた。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
快楽と情熱から醒めないのだろう。母は父の隣で、はげしく喘いでいた。
喘ぎ声が治まった頃を見計らって、父母はに視線を向けると、優しくキスをした。
「よかったよ……」と父は呟く。
母はニコッと笑うと、両手を父の背中に回して
「あなた……凄かった」と、父の耳元で囁く。
「お前、今晩の燃え方も激しいな……」
母の身体を優しく触りながら、父が母に言う。
「あなたが悪いのよ……私、寂しいんだからね……」
父の髪を触りながら、母も返す。
「だって、2日しか一緒に過ごせないのよ。いろいろ相談に乗ってもらいたいことだってあるのに……」
「だからって、2晩連続でベッドを共にするのは、この年になったらさすがにきついよ」
「あら、あなただって楽しんでいるじゃない」
「どちらか1日だけだったら、キミを十分に楽しませてあげられる自信はあるんだけどね」
「ねえ、アナタ……今度の休みに、2人で出かけられないかな」
「その時に、たっぷり楽しみたいってか?」
「ええそうよ。だからお互い、両親との同居を避けているんでしょ? 私はアナタとの楽しみを、他人に奪われたくないの」
母はあけすけに、父に対し自分の欲望をストレートにぶつける。
さすがに父は「もうこれ以上は勘弁」というニュアンスで母に返す。
「おいおいやめてくれ、2人とももう若くないんだからさ。今晩だって、たっぷり楽しんでいるだろ?」
「フフフ。あなたが単身赴任してからは、それが数少ない私の楽しみなんですからね。だから、あなたが家にいる日の夜は、さっさと子どもたちを寝かしつけて、アナタに身を任せて、ベッドの上で思いっきり燃えたいの」
「明日の朝お寝坊するから、早く寝なさい」と母が私たちに注意していたのは、それが理由だったのか。
母のセリフを聞いた私は「私も大人になったら、お母さんみたいになるのかな?」と、心の中で独りごちる。
「以前いっていたよな。あなたに抱かれている時は、誰にも邪魔されず、思う存分楽しみたいって」
「そうよ。5年前のこと、あなただって覚えているでしょ? 今だって、子どもたちに見られているのかと思うと……」
あのー、今も私は一部始終を見ているんですが……
「僕は、別に構わないと思っているけどな。大きくなったら、誰でもこの問題は避けて通れないことなんだし」
「あら、私はイヤよ……恥ずかしい」
「それはそうと、僕が単身赴任してからお前、以前に比べたらかなり激しくなったな。30代になると、女性は性に貪欲になるという話はあちこちで聞くけど、お前を見ているとそれは本当なんだな」
「あら、いけない?セックスでストレスを解消するのが?」
「僕は、ストレス解消のためにキミを抱いたことはないぞ」
「ほんと~? あやしいな~」
「そりゃそうさ。家庭円満のためだったら、僕はどんなことだってやるさ」
そう言うと、父は母のほっぺたにキスをする。
「ねえあなた……また、おっきくなってきたじゃない……」
どうやら母は父と話しながら、父のものを掴んでいるらしい。
こりゃ2回戦は確実だな……と思っていたら、誰かが私の寝間着の裾を引っ張っている。
「おねえちゃん……おしっこ……」
後ろを振り向くと、妹がいた。
尿意を感じて起きたものの、そばに私がいなかったため探していたらしい。
「はいはい。それじゃ、お姉ちゃんと一緒にお手洗いに行くか」
そう言って私は、妹の手を引いて部屋を出た。
妹のトイレに付き合ったあと、私は妹を寝かしつけるために、子ども部屋に戻った。
幸い妹は、用を足すとさっさと寝付いてくれた。
妹の寝顔を見ていると、私も眠くなってきた。
とはいえ、両親がどうなったのか気になったのも事実だ。
妹が寝入ったのを確認した私は、再び両親の部屋に忍び込んだ。
あんな会話をしていた2人、特にセックスに貪欲な母が、あのままおとなしく寝入るとは思えない。そう思いながらドアを開けると、案の定私の耳に飛び込んできたのは、母のあられもない声だった。

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