「チック症」という病気と症状について

まず冒頭に、いちばん大事な事を書かせて頂きます。
この記事で書いている内容は、あくまで僕個人の経験を根拠としているものであり、医学的臨床的な有効性や再現性が確認されたものではありません。
科学的な証明などもなされておらず、
「あくまで個人の感想です」
というレベルのものです。

ただ、今現在チック症やトゥレット症候群で苦しんでおられる方の参考の一つになればと思い、記事にまとめてみました。

チック症の症状

僕が最初にチック症の症状を自覚したのは9歳の頃で、普通に呼吸をする途中、呼気の途中で
「ンッ」
という喉がなるような音、咳払いのような声が出てしまうというものです。
これの他にも不規則に首を小さく縦に動かしてしまう、という運動症状が出ています。
トゥレット症候群という診断は受けていませんが、現在チック症として脳神経内科の医師の診察と投薬を受けています。

このチックの症状は、「ただ声が出る」「ただ首が動いてしまう」というものではあるのですが、非常に苦しいものです。
息を吸って吐く、という生きていく上で必要な動作が、自分の意思でコントロール出来ないため、酷い時には
「息を吸いたくても吸えない」
という状況に陥り、酸欠のため目眩を起こすこともあります。
また、声を押さえつける事も出来ないため、博物館や美術館など、静かで人が集まる場所は行きたくてもなかなか行けません。

小児科での診察などを早めに受けられれば、思春期までに自然に症状がなくなるケースも多いのだそうです。
が、僕の場合は両親に
「その変な癖、いい加減にしろ」
と叱責されるばかりで、小児科で相談するといった事が出来ないまま大人になり、結果的に50歳を目前にした現在もこの症状に悩まされています。

ごくごく限られた時間、症状が止まる事もありましたが、
「あ、そういえばチック止まってる?」
と思い出してしまうと、その瞬間にまた症状が再発するという状況。

また、眠っている間は症状が出ませんが、呼吸の最中にいきなりみぞおちを強く押されるような状態が続くため、慢性的に眠りにつくまで3~4時間程度かかっていました。

脳神経内科での診察と、今まで色々試したもの

幸いなことに身内が医師で、このチックの症状について相談したところ
「それはチックかトゥレットというもので、脳の中の『本来発火しない場所が何らかの原因で異常発火を起こす』事が原因なのでは」
という事でした。

この内容をもとに脳神経内科の先生にも相談し、色々な薬を試して見ることになりました。
睡眠導入剤など、「脳の活動をある程度コントロールする」作用の薬を服用しましたが、一部の薬は異常に効いてしまい、翌日夕方まで起きられなかったりと影響が大きかったので、医師と相談し服薬をやめています。

その後も色々と試して、現在落ち着いているのが漢方薬です。
内科の専門医をしている家人や、脳神経内科の主治医も驚くくらいの効果があったのが
四物湯+抑肝散
という組み合わせでした。

漢方服用後の効果について

もっとも酷い症状の状態を100(この状態だと、意識が遠のくレベルで呼吸のコントロールが出来ず、酸欠のために目眩を起こして立っていられれません)として、全く症状が出ていない状態を0とすると、

・脳神経内科受診前は、通常60~100の症状が毎日、覚醒時は常に発現

・睡眠導入剤(ベルソムラなど)などを服用していた時期
…50~100程度に軽減?
→ほぼ効果が実感できなかった。さらに終日酷い眠気が続く

・抗てんかん薬のリボトリールを服用していた時期
…30~80程度に。
→効果は少々実感できたが、「頭に靄がかかったような状態」が続いた
これは体質(薬との相性)の問題であったようです

という具合でした。この状況から、
・四物湯+抑肝散を服用した場合
…服用後3~4日は目立った効果はないが、2ヶ月程度は5~20程度
…2ヶ月経過後に徐々に効果は薄れて、3ヶ月経過後は30~50程度
という状況でした。

また、3ヶ月程度で効果が薄れた後、
・四物湯+半夏厚朴湯
・四物湯+柴胡加竜骨牡蛎湯
と、抑肝散と似た効果がある漢方薬に切り替えたところ、抑肝散と同様の効果がありました。

効果の減少も抑肝散と同様でしたが、やはり服用する薬を変更することで顕著な効果を実感しています。

なので、1年を通して四物湯を軸に
抑肝散→半夏厚朴湯→柴胡加竜骨牡蛎湯→抑肝散→半夏厚朴湯…
というようにローテーションをしています。

漢方薬服用時に症状が抑えられている状況では、チック症状のことを思い出しても症状が再発しない、という非常にありがたい状態になります。

現在、5年程度この漢方薬のローテーションでチック症の症状をコントロールしていますが、脳神経内科の主治医の先生も驚かれるくらい、症状が軽減しています。

また、定期的な診察の際も
「最近どうですか、チックの症状は出ますか?」
「最近また出始めました。前回のローテから3ヶ月ですんで、そろそろ次の薬に切り替えてもいいかもです」
「わかりました、そしたら今は半夏厚朴湯ですんで、次は柴胡加竜骨牡蛎湯にしましょうか」
と言った具合で、ある程度漢方薬の種類と効果についても共有出来ています。

チック症の苦しみ

チックはその症状自体も非常に苦しいのですが、それに加えて
・症状を抑える、コントロールする術がない
・治す方法がない
・周囲の理解が得られにくい
という点も非常に大きな苦痛です。

僕自身、この症状のために奇異の目で見られたことや、
「その声、何とかしろよ。出来ないならどっか別の場所行ってくれ」
といった事を言われた経験は、もう数えるのを諦めるほどあります。

その状況が40年続き、
「この地獄があと何十年も続くのか」
と思うと、
「もういっそチックの症状を息の根ごと止めてくれ」
「こんな地獄なら生きている意味がない」
と、本当に死を考えるような事もしょっちゅうです。

それだけに、今チックやトゥレットで苦しんでおられる方のなかには、症状を軽減できる方法があるなら藁にもすがりたい、と考えている方もおられるかと思います。

最後に、繰り返しになりますが

今回ご紹介した漢方薬での対処は、あくまで「僕個人の経験に基づくもの」であり、科学的医学的に証明されたものでもなく、効果を保証できるものでも何でもありません。
健康食品のCMなどにある「あくまで個人の感想です」というものと同様の情報だと考えて欲しいレベルのものです。

もし現在、チックやトゥレットで主治医の先生の診察や投薬を受けられている方は、効果が確認できる状況であれば、現状を維持されるのが良いと思います。
が、現在の対処で症状のコントロールが出来ない、という方や、漢方以外のあらゆる対処を試したがどうにもならない、という方は、主治医の先生に漢方薬の処方について、相談されるのも良いかもしれません。

僕の事例についてはまだ症例報告などはされていないと思います。
が、漢方薬の服用を始めてから、僕のQOLは劇的に向上しています。

この情報が、現在チックの症状で苦しまれている方にとって、何らかの助けになれば幸いです。

【追記】

脳神経内科や総合内科の先生の中には、漢方の処方をあまり出さないケースがあるようです。
このようなケースでは、漢方専門医への紹介などを主治医の先生に相談するのも良いかと思います。

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