新春アンビエント特集

こんな極低頻度更新ならわざわざやらなくていいんじゃない?でお馴染みの身代亜土夢です。2022年明けましておめでとうございます。

ここ東京砂漠にも雪が積もったりと真冬真っ只中な昨今ですが、そんな冬によく合うアンビエントアルバムをご紹介させていただきます。前置きでなんか書こうと思ったけど特に書けるようなことも無いので早速いきましょう。

Biosphere『Substrata』(1997年)

冬のアンビエント、といえば真っ先に思い浮かぶのがこの作品。

まるで吹雪の吹きすさぶ極寒の雪山でテントを張りじっとしているかのような、孤独且つ荒涼とした世界観を堪能できる一枚です。アンビエントの極北ともいえるべき傑作として名高い本作ですが、あまりにもハードコアすぎてアンビエントやエクスペリメンタルといったものへのリテラシーが無い人には「こんなの音楽じゃない」「退屈すぎる」と斬り捨てられて終わる危険性も多分に孕んでおります。つまりこれに少しでも心地良さを見出せるならばあなたは素質ありと自覚して問題ないでしょう。なんの素質?

GAS『Pop』(2000年)

アンビエント史における重要レーベルKOMPAKTの主宰・Wolfgang VoigtによるプロジェクトGASの、やはりその筋では名盤とされている作品です。GASの作品はどれも浮遊感たっぷりの幻想的音世界でありながらどこか聴きやすさも併せ持ったものばかりで、収録時間の長さに関わらず一度再生を始めてしまえばそのままするっと最後まで聴けてしまう不思議な魅力を持っていると個人的に思っています。

bvdub『The First Day』(2012年)

Brock Van Weyによるプロジェクト『bvdub』は良質なアンビエント/エレクトロニカ作品を次々と発表しており、ビートのしっかりした四つ打ち的トラックから音響的なドローン大作までそのスタイルも様々です。その中でもやはりこの人はやっぱりどこか郷愁的で物語性の籠った美麗なアンビエントが真骨頂だなあと、この作品を聴くたびに思わされます。20分越えのトラック三曲に10分のトラックが一曲となかなかにこってりした構成ではあるものの、聴き終わったころにはまるで映画を一本観終わった後のような清々しい充実感が味わえる一枚。

Chihei Hatakeyama『Heavy Snow』(2017年)

東京在住の音楽作家Chihei Hatakeyamaによる雪景色をテーマとしたドローン作品。こちらもまたかなりの多作でありながらどれも素晴らしい完成度を誇るアーティストで、その中でも彼の良さがとてもよく出ているのが本作だと思います。とにかく日本的な侘び寂びのようなものが、一聴すると無機質にさえ感じられる音の中に確かに込められている所が個人的にとても好きです。

Solar Fields『Until We Meet The Sky』(2011年)

このnoteではかなり「推し」のアーティスト・Solar Fields。シネマティックなアンビエントを身上とする彼の作品群の中でもとりわけ叙情的な本作は、トラックタイトルが示す通りひとつのストーリーを楽曲ごとに区切って展開させていくという手法で構成されています。ジャケットアートとアルバムタイトル・楽曲タイトル、そして音、すべてを総合してひとつの作品とするこの感覚はアンビエントを楽しむ上で重要な感性の一つだと個人的に思っています。

V.A『[Oxycanta] Winter Blooms』(2007年)

Solar Fields、Carbon Based Lifeforms、その他にもたくさんの優良なアーティストを輩出したフランスのエレクトロニカレーベルUltimae。その豊富な作家陣が一堂に会するレーベル発コンピレーションも良盤揃いで、本作はまさに冬をテーマにコンパイルした作品。年末年始も過ぎ去り一息ついたタイミングで、こんな音楽をBGMに家でまったり過ごすのはいかがでしょう?


ではこのへんで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?