ハムレット

10月15日火曜日。
ハムレット大千秋楽、観劇してきました。

これは、物語の感想ではなく、
私のただの思いです。
どこがよかったあれがよかったは書くより身振り手振りで話したい(語りたい)…(笑)


ファンクラブ枠が落選し、朝の9時半からセブンの店員さんに了承を得て、(「すみません、あの…とりずらいチケットを10時から取りたくて…コピー機の前で待機させて欲しいんです…」とかいうの、いくら田舎のコンビニとはいえくっそ恥ずかしかった)店員さんやほかのお客さんに変な目で見られること約30分、コピー機の前に張り付いてやっと取れたチケット。

だかしかしBat!シェイクスピア自体、ほぼ未知の世界。


チケットが取れてからは電子辞書と検索用にスマホ片手にハムレットの小説に明け暮れました。(両手じゃ抱えきれない)
小説が読みたくて勤務の移動も車から電車に変えたよ…結構交通費の出費って痛いのよね…。


そこでぶつかる言葉や時代背景の壁。


全てが難しくて何度もめげそうになったし。
それでもめちゃくちゃ時間かけて読んだ分、解説まで読み終わってパタンと本を閉じた途端に出る読み終わった達成感と、物語の面白さに感動した満腹感。
2回目以降はスラスラとではないけど、色んなことに仮説をたててみたり、深読みできるくらいには読めました。(多分5、6回は読んだ)

こんなに難しい物語を菊池風磨という男は
どういう風に表現してくれるんだろう??
そんな期待がいっぱいに詰まったハムレット。

だけど、
「一筋縄ではいかせてくれないのがハムレット。」
初日、大阪2公演と台風に意地悪をされました。
時期的なものだし、天災は誰のせいでもないだけにみんなの気持ちのやり場がなくなってしまって。
そんな気持ちをすくい上げてくれたのもまた、菊池風磨くんで。
彼の紡ぐ言葉から彼の悔しさは痛いほど伝わってきたし、もどかしさみたいなのも安易に想像出来るものだったけど、
それ以上に、私が安易に想像出来やしないような気持ちもあったと思うんです。
いや、絶対あるのは分かってる。
でも、それでも菊池風磨の周りの安全を第1に考えてくれた事、
行けなかったお客さんやカンパニーの皆さんの気持ちまでをも受け止めてくれると…
もういいよ。そんなに背負い込まないで…。
誰のせいでもないから…。
という気持ちもありつつ、初日しか行けなくて振替の日も行けない友人の気持ちを思えば、やっぱり私も悲しくて…。
台風なんかいなくなれ!とニュースを見ながらどうにもならない怒りをテレビに向かって叫んでしまったりもして。
そんな時に「あなたのハムレットより」という言葉でどれだけの人がほんの少しでも救われたんだろう。
Twitterを見ながら、私まで泣きました。(笑)
(泣いてばっかだな…、) 
どんだけ彼は愛に溢れてるんだろう…。
もうこぼれてきちゃうよ…。

話が脱線したので戻します…。


そんな期待が詰まったハムレットの観劇日当日。

なんだろうか…
私はこの公演が最初で最後の観劇だったので、これまでの風磨くんを筆頭にカンパニーの皆さんが作られてきたものを知らなくて、
いざ観劇すると、声は少し変わっているし、なんかシュッとしてて
え?これ私が知ってる菊池風磨?
1幕目の最初の最初はそんな感じでした。

でも、やっぱり私の知ってる菊池風磨ではなくて、そこに居たのは完全に菊池風磨の体を借りたハムレットでした。

喜怒哀楽、人間の感情を作り出すもっと前の、
人間の本質みたいなものを私は感じていて、
強さ、弱さ、憎らしさ、愛おしさ、温かさ、冷たさ、優しさも意地悪さも希望も失望も欲望も、誰もが持っているものを4時間の間に一斉に出してくるのがこのハムレットなんじゃないかなぁと。
全然うまいこと言えないのですが、
それぞれ立場や悩みの種が違うとしても、
みんなある事じゃないですか。
なにかに期待して、裏切られて、
夢を持って、失望して、
誰かを憧れて、誰かを憎んだり。
それに対してじゃあどうする?って
立ち向かうか、逃げるか、解決策をだす、そのどうする?が
ハムレットで言う「生きてとどまるか消えてなくなるか。」って事で、めちゃくちゃ極端なんだけど、そういう人間の世界みたいな物を客観的に見れてしまって
怖くて不安でどきどきバクバクして悲しくなってものすんごい刺激でした。
もちろん楽しいという感情は前提にあってね!

母と息子の心では繋がっている感。
愛しているからこそ、許せない。
恋人同士の儚さ。
大切な人なのに離れてしまう。
そんな切なさに気づけば泣いてました。(笑)

個人的には「おやすみなさい」と何度も言う風磨くんの声が好きだった。
尼寺へ行けは迫真すぎて息止めてた。

尊敬していた元王の言葉にガクンと項垂れて、
母親や叔父を憎んで嫌って
オフィーリアを突き放して。
1番弱いのはハムレット自身だと思うとハムレットを演じた風磨くんが話していたけど、
オフィーリアより純粋無垢なのもまた、ハムレットなのかもしれないと思って余計切なくなった。

現代風の衣装やシンプルな舞台セット、
言葉もそうだけど、本当に分かりやすくて
笑って泣いて、もっと見ていたい。そんな風に思うほど4時間がものすごく短かったです。
とにかく、とにかく面白かった。

演出家の森さんと、翻訳家の松岡さん、
そしてそれを演じるカンパニーの皆さん。
みんなが集まればこんなにも人の心を動かせるような物語になるのか。
最強で最高のハムレットメンバーだったなぁ…。

5月17日だったと思う。
''セクゾ菊池風磨ハムレット''
''初のストレートプレイ"
の見出しをみて、朝っぱらから大きな声を出したのを覚えてる。(笑)

カーテンコールで
「稽古が始まった7月20日。
行きたくないなぁと思った日も3分の2くらい…」って笑ってた風磨くん、3分の2は本音だろうし
本当に過酷な日々だったと思うんだよ…
ドクターストップがかかってしまう程喉を酷使して…
でも「終わりを目指して頑張ってたけど、とにかく寂しいですね…
7月20日時点では終わる事がこんなにも寂しとは思ってなくて…」って言葉を詰まらせてしまうのは紛れもなく今まで頑張ってきた証拠で。
ソロコンオーラスで号泣しちゃうような可愛らしい風磨くんじゃなくて、
凛と立って、泣いてるオフィーリアに寄り添えるくらいに笑ってて、大人になった風磨くんがいて、最後までやり切った彼が本当に本当に素敵で、彼の姿をしっかり見たいのにじわぁと視界がぼやけてしまってダメでした。
「右も左も分からなかったけど、右を見れば森さんがいて、左を見れば松岡さんがいて、振り返ればキャストとみなさんがいて」
そういいながら振り替える風磨くんを
優しい笑顔で頷きながら見守ってくれてた皆さんと、少し照れる風磨くんの空気が暖かくて、
始まりや終わり、全てが当たり前じゃないから、出会いや別れ、一日一日を大切にする人だからそんな彼だから、そんな彼の周りに集まって、彼の傍に居てくださる方もまた、暖かい人達ばかりなんだよなぁと改めて思えばやっぱりどこまでもどこまでも菊池風磨という人間を尊敬する他ないよね…。
「前を見れば皆さんがいた」
風磨くんのこの言葉の中に100億分の1でも私がいればいいなぁと思いながら頭を下げる風磨くんに一生分の拍手したよ…
降ってくるキラキラの下で両手いっぱい広げて笑う風磨くんも
舞台裏にいるキャストの皆さんと客席に向けてガッツポーズをする風磨くんも

どれも間違いなく、舞台俳優の菊池風磨でした。


たくさんのSNSで風磨くんを褒めてくれて、
可愛がってくれて、ハムレットの終わりを寂しがってくれたカンパニーの皆さんに恵まれて、舞台俳優菊池風磨を私たちは見ることが出来ました。
優しくて心地よくて、SexyZone、アイドルのジャンルではなく、もうひとつ新しい類の家族が風磨くんにできたみたいで、それを見れたことがとてつもなく幸せです。

私は少なくともシェイクスピアという知らない世界に触れて、ビリビリっとしたし
これを機にシェイクスピアの4大悲劇全部読もうと思って松岡さんの翻訳したちくま文庫を、ポチってしまいました。
私の中にまた新しい世界が増えたことが嬉しくてたまらないのです。

そして、風磨くんにとっても子の経験が、
大きな糧と素敵な思い出になってればいいなぁと思う次第ですが、
きっともうそんなこと願われなくてもなってるんだろうなぁとも思ってます。(笑)

初めての外部舞台。ストレートプレイ。座長。
大きな重圧や責任感の中で、最後まで全力で走り抜いてくれた風磨くん。
それを支えて引っ張ってくれたカンパニーの皆さん。
本当に本当にありがとうございました。
お疲れ様でした。

殿下。おやすみなさい。またいつか。

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