車を持たずに大崎上島を訪れる人向けのメモ
2月に訪れた大崎上島にはもっと前から行ってみたいと思っていたのですが、徒歩旅行者の私には計画立案の難度が高く、今まで先延ばしにしてきました。せっかくなので今回旅行するにあたって色々調べたり、実際に行って分かったことをメモにしておきます(どのくらい需要があるかはわかりませんが)。
なお、身もふたもないことをいうと「フェリーで島に車を持ち込む」ことができる人は、これが最良の手段だと思います。その場合は特に悩む必要もないでしょう。
また、基本的な情報は大崎上島の観光協会ホームページに記載されています。ここではホームページに載っていないようなところを紹介したいと思います。
大崎上島の旅行を計画することの難しさ
理由その1:広すぎる
瀬戸内海の離島の多くはあまり大きくありません。島外からの車の持ち込みが困難な場合も多く、その場合は島内の交通手段が徒歩に限られるか、せいぜいレンタサイクルを借りるくらいしか選択肢がないのです(例えば家島諸島や魚島諸島など)。
また、島が小さいと港が一つか二つしかないため、どこの港で降りようかということも考える必要がありません。つまりは、小さな島を旅行する場合は考えることが少なくて済むのです。
大崎上島は徒歩やレンタサイクルでまわるには大きすぎるし、フェリーが停泊する港だけでも垂水、白水、大西、天満、明石と5か所あり、高速艇だけが寄港する港も加えるとめばる、一貫目、沖浦が増えてしまいます。まず島へのアクセス、そして島についてからの交通手段を考えるのが一仕事となります。
理由その2:狭すぎる
たとえば佐渡島や対馬、小豆島くらいまで大きいとレンタカー店が存在するのですが、大崎上島はレンタカー店が成り立つほどには大きな島ではありません。また、タクシーはごくわずかに存在するのですが、これも需要が少ないようで、台数が極めて限られているそうです。
そもそもの前提条件
3人以上で訪問するなら、車を持ち込む以外ないでしょう
いろいろと後述しますが、そもそも島内の交通手段としてレンタルできるものは台数が限られており、3人以上で広い範囲を回ろうとすると台数の不足は避けられません。レンタサイクルでまわることは不可能ではないですが、島の面積がちょっと広すぎるような印象です。
3人以上で旅行する方は、フェリーで車を持ち込むしかないと思います。
1人または2人で訪問する場合
基本的には竹原から白水港を目指すべき
竹原港から白水港への時刻表は下記を参照ください。
白水港をお勧めする理由は大崎上島観光案内所があるからです。ここでいろいろ情報を仕入れつつ、パンフレット類をもらうのがよいでしょう。または、「ホテル清風館」に宿泊する場合は、翌朝に白水港まで送迎してもらってから観光を始めるのも一案だと思います(他の民宿に宿泊なさる場合は、送迎の可否を事前に宿泊施設にご確認ください)。
大崎上島観光案内所ではレンタサイクルやスクーターが借りられます。また、土日なら近くで「C+Pod」と呼ばれる超小型車をレンタルすることが可能です。このあたりについては後述します。
なお、白水港へのフェリーが出航する竹原外港は、竹原駅から徒歩20分程度離れており、意外とアクセスが悪いです。
1時間に数本程度、竹原駅からのバスも出ているので事前に調べておくとよいでしょう。(下記サイトの<竹原管内>「フェリー線」または「竹原-広島線 高速バス「かぐや姫号」」を参照ください)
広島空港からは、2時間に1本程度ジャンボタクシーが運航しています。
実は竹原にはもう一つ「竹原内港」が存在します。こちらのほうが駅から近く、うっかり行ってしまいそうになるのですが、内港からは東邦亜鉛が所有している契島への通勤渡船しか発着しておらず、大崎上島にわたることはできません。くれぐれも間違えないように注意しましょう。
レンタルスクーターはお勧めですが、神峰山には登れません
私はレンタルスクーターを借りたのですが、よい選択だったと思います。
ただ、一つ問題があります。
大崎上島の観光地は島内に分散していますが、人気のある順に並べると
神峰山
ホテル清風館周辺(露天風呂、中ノ鼻灯台、木江ふれあい郷土資料館)
大望月邸
木江港周辺の町並み
上組隧道
権現山
という感じだと思います(独断ですが)。この中でも2、3、4をめぐるくらいならスクーターがよいと思います。しかし、このスクーターはとにかくパワーがなく、平地でも40kmが限界ですし、上り坂ではすぐにオーバーヒートするような代物。とても神峰山や権現山、そして内陸にある上組隧道を訪れることはできないでしょう。
神峰山に限って言えば、足に自信がある方は、ふもとのかもめ館にスクーターを置いて登ることは可能です(往復2時間くらいかかります)。
なお、ホテル清風館の露天風呂は、日帰りの場合平日は21:00まで受け付けしてもらえるのですが、土日祝日は14:30受付終了なので注意が必要です。
C+Podが最適解?土日しか使えず、1台しかないことがネック
ということで、白水港近くでC+Podを借りるのが一番よさそうです。しかしこのC+Pod、平日は町が公用車として使用しているのでレンタルできません。また、1台しか存在しないので予約が被るといきなり使用不可となります。
また、事前にトヨタのカーシェアサービスに登録して、アプリを入れておく必要があるなどそこそこ面倒です。かなり早めから準備できる方向けのプランだと思います。
さんようバス、おと姫バスはGoogleマップ非対応
便数が少ないとはいえ、思ったよりも島内をくまなくカバーしているのが路線バスです。民間の「さんようバス」(「山陽バス」とは無関係)とコミュニティバス「おと姫バス」がありますが、「さんようバス」は日曜運休、土曜も便数大幅減なので平日以外の利用は困難でしょう。なお、「さんようバス」「おと姫バス」ともにGoogleマップは対応していないようですが、ジョルダンの「乗換案内」なら検索可能です。
メインの交通手段としては不足ですが、たとえば白水港でスクーターや車を返却したのちに民宿に向かうのに使用することは、十分考慮に値すると思います(民宿で送迎があるなら不要ですが)。
宿泊について
島内の宿泊施設を楽天トラベルなどで探すと「ホテル清風館」のみが検索に引っかかると思います。私は泊まりませんでしたが、島内の方に聞いても評判がよい宿です。
しかし、とくに一人旅などで豪華な宿が不要だという場合は、民宿に泊まるのも選択肢としては良いと思います。
大崎上島に限らず離島の宿泊施設にありがちなことですが、電話のみ予約が可能な場合がほとんどですが、格安でおいしい料理が食べられる宿もあるので、面倒がらずに電話してみましょう。
その他もろもろ
進水式
大崎上島にはいくつか造船会社があるのですが、完成した船が初めて海に浮かぶ際の「進水式」はだれでも見学が可能だそうです。観光案内所のページでお知らせがあるので、チェックしておいてタイミング合えば訪問してみるとよいでしょう。
すみれ祭り
地元の方向けのお祭り?のようであまりネット上には情報が出てこないのですが、毎年2月には「すみれ祭り」が開催されて出店やステージなどでにぎわうそうです。残念ながら私は時間が合わずに見ることができなかったのですが、こちらもタイミング次第ではというところです。
岡本醤油醸造場の見学
これも私は訪問できなかったのですが、しょうゆ醸造所の見学が可能です(要事前予約)。あまりネット上で感想をみかけないのですが、やはり会社に予約の電話入れるのはハードル高いですね…。私の経験上、こういう面倒な手続きが必要なものは、行ってみると楽しいことが多いので、だれか見に行った人は感想を聞かせていただけると嬉しいです。
最後に
私自身が島内をスクーターで周り、神峰山には徒歩で登りました。そのため、やや記載が偏ったところもありましたが、おおむね選択肢は示せたのではないかと思います。一泊二日もあればほとんど島内を巡れてしまうと思いますが、とても良いところです。どなたかの参考になれば幸いです。