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世界最大の地理空間情報ソフトウェアのカンファレンス「FOSS4G Prizren」参加レポート🥳

こんにちは!MIERUNEでGISエンジニアをしている久納です。

2023年6月26日〜7月2日にコソボで開催された「FOSS4G Prizren」に、MIERUNEから井口レイ久納の三人で参加してきました。この記事では、たくさんの写真とともにイベントの模様をお伝えします。

FOSS4Gについて🌍🗺️🧑🏻‍💻

FOSS4GとはFree Open Source Software for GeoSpatialの略で、地理空間情報に関するオープンソースソフトウェアのことを指します。同様の名称で地理空間情報のオープンソースソフトウェアに焦点を当てたカンファレンスが世界各地で開催されています。

今回参加したのは、FOSS4G(World)と呼ばれる世界中の人たちが集まる世界最大のカンファレンスです。毎年夏の時期に開催され、FOSS4Gに関わる人々が世界中から一堂に介します。

昨年度は、イタリアのフィレンツェで開催されました。その様子は、弊社イベント「MIERUNE Meetup Mini」での井口による発表や、note記事でレポートしてますので、ぜひご覧ください。

FOSS4GにはWorldのほかにも、地域ごとに開催されているFOSS4G EuropeFOSS4G ASIAFOSS4G OceaniaFOSS4G North Americaや、国や都市ごとに開催されているFOSS4Gなど世界各地で開催されています。

日本においては、FOSS4G JapanFOSS4G HokkaidoFOSS4G Tokaiといったコミュニティが存在します。

コソボへの旅の追憶🛫🚌🚶

まず「コソボ」と聞いた際に、そもそもどこにあるのか、どうやっていくのかわからない方がほとんどなんじゃないでしょうか。

コソボはヨーロッパ南東部のバルカン半島に位置する内陸国です。面積は、10,908平方キロメートルと岐阜県程度の大きさです。
コソボに行くためには、日本からの直行便はないためヨーロッパの都市経由で行く必要があります。

外務省HPより引用

なお、今回は移動日が土日を挟んだということもあり、周辺国を観光しつつコソボへと向かいました。

まずは、羽田空港→イスタンブール空港、イスタンブール空港→ソフィア空港(ブルガリア)という経路でブルガリアはソフィアに入りました。

アレクサンドル・ネフスキー大聖堂
ソフィアの街並み
ソフィアでのランチ

ブルガリアで一泊した後は、バスでソフィア(ブルガリア)→ニシェ(セルビア)→スコピエ(北マケドニア)→プリズレン(コソボ)という経路でコソボに入りました。

ニシュ要塞
スコピエにあるバザール(スタラ・チャルシヤ)
時間を持て余してスコピエのCity Parkでチルしている様子
陸路による出入国!

プリズレンはコソボ南部に位置する歴史的な都市で、美しい中世の建築物や文化的な遺産が豊富に残っています。観光地としても知られ、古い石畳の通りや古城、モスク、教会などが見どころです。

石橋越しのシナン・パシャ・モスク

プリズレン要塞からは、プリズレンの街を一望することができ、とても素晴らしい場所でした。

プリズレン要塞からの眺望

レストランにはテラスがあるお店が多く、夜は多くの人で賑わいを見せているのが印象的でした。

コソボの夜
コソボでのディナー

FOSS4G Prizren🥳🍴

ここから本題のFOSS4Gについてです。

会場はコソボの郊外にある「Innovation and Training Park (ITP)」です。もともとはNATOの軍事キャンプだったようですが、現在は企業や民間等のイノベーション、ビジネス、スキル開発を促進する場所になっています。

メインの会場前のスペース
会場マップ

FOSS4Gでメインなるのは、General Track and Academic Trackのプレゼンテーションですが、それ以外にもワークショップやソーシャルイベントなどたくさんのイベントが用意されています。

FOSS4G スケジュール

また、参加者には特製ノベルティが配布されるなど至れり尽くせりといった感じです。

参加者に配布されたノベルティ

今回、日本からは総勢24名の方が参加(アジアでナンバーワン!)され、Silver Sponsorsの国土交通省PLATEAUチーム、Diamond SponsorのRe:Earth、日本のFOSS4Gコミュニティのメンバーなど、普段日本でもなかなかお会いすることができない方々と交流することができました。

もちろん日本以外のさまざまな国から多くの人が参加しており、総勢約700名の方が参加されたようです。

参加者やプレゼンテーション数
国別参加者マップ

イベント中に提供されるご飯やお酒はどれも美味しくて、ついついたくさん食べてしまいました。

朝食バイキング
ランチ
ランチ中のレストラン

Workshops

Day1-2については、QGISやPostGIS、GRASSといったFOSS4Gを代表するソフトウェアやリモートセンシングやPythonなどのワークショップが開催されました。合計44のワークショップがあったようです。

私は、QGISをPythonで操作できるpyQGISのワークショップ「Scripting with pyQGIS for beginners」などに参加しましたが、充実したテキストも配布され、学びのあるワークショップでした。

ワークショップの様子

General Track and Academic Track

Day3-5については、General Track and Academic Trackです。最大11トラックで同時に開催されているため、到底見切れないほどのプレゼンテーションの数(なんと合計310!)で圧倒されました。

プレゼンテーションのテーマとしては、FOSS4Gに関する技術を中心として以下のようになっています。

  • ソフトウェアの現状

  • FOSS4Gへの移行

  • ユースケースとアプリケーション

  • トレーニング

  • オープンデータ

  • コミュニティと財団

  • AI4EO(地球観測のための人工知能)の課題と機会

  • オープンスタンダード

個人的には、普段から使用しているQGISやGDALといったソフトウェアの技術について知れたのはもちろんよかったですが、フィンランドのGISPOという会社のメンバーによるQGISのトレーニングについてのプレゼンテーションが「世界には同じようなことを考えながらトレーニングをしている会社があるんだ!」と共感が多い内容で、とても印象に残りました。

MIERUNEからは、井口とレイが合わせて5つの発表を行いました。前回のフィレンチェではLT枠が一つだけの発表だったので、世界の人にMIERUNEの名前を少しでも知ってもらうことができたのではないかと思います。

井口によるGTFS-GOの発表の様子
レイによる#30DayMapChallengeの発表の様子

⚫️井口「MIERUNE BASE: The geospatial service for serving and sharing datasets」

⚫️井口「Traffic Analysis with QGIS and GTFS: GTFS-GO」

⚫️井口、レイ「Mapping Japan cultural heritages with OpenSource based architecture」

⚫️レイ「#30DayMapChallenge with Open tools」
#30DayMapChallenge with Open tools FOSS4G 2023
https://drive.google.com/file/d/1146_IiPac5_-Pe5WL4kBDVd39nlZBZ4F/view

⚫️井口「The Survey of Vectortile techniques: Static vs Dynamic」

全てのプレゼンテーションのスライドについては下記のリンクから閲覧することが可能です。発表の動画はYouTubeにて公開される予定のようです(現在はアウトドアステージのみの公開)。

B2Bイベントやソーシャルイベント

Day2以降には、参加者同士が交流するイベントが毎夜開催されました。

Day2の夜に開催されたB2Bイベントは、ビジネスで地理空間情報やFOSS4Gを活用している企業のネットワーキングの場です。
スポンサーによる自社のビジネスの紹介やビンゴ大会などが行われました。

B2Bイベントの様子

日本でよくあるビンゴとは趣きが異なっており、ビンゴのマスには「アジアの会社で働いている人」、「会社でQGISを使っている人」などと記載されており、周りにいる人に話しかけて該当する人の名前を埋めていくスタイルでした。
ビンゴをしながら、多くの方と交流もでき、楽しいイベントでした。

レイのビンゴの紙、もうちょっとでビンゴでした

Day4はFOSS4G恒例のGala Dinnerです。
地元のバンドによる音楽と共に朝5時!まで開催されていたようです。現場の雰囲気はクラブさながらといった印象で、FOSS4Gで最大の盛り上がりを見せていました🕺

地元のバンドの演奏に熱狂する人々

このようにプレゼンテーションやワークショップ以外にも参加者同士が交流する時間が多く用意されていたため、さまざまな方と交流することができ、海外でのFOSS4Gを活用した取り組みについて色々と知ることができました。

政府機関で働かれている方や研究者の方、FOSS4Gを活用してビジネスを行っている方など、さまざまな属性の方が普段の仕事のことを忘れて、話に花を咲かせている様子が印象的でした。
地理空間情報の最前線の技術に触れられる事はもちろんですが、やはり世界中の方々と交流できるというのもFOSS4Gに参加することの醍醐味の一つでしょう。

左からLutra Consultingの方、ニューヨークの大学の方、コソボにある会社giskosのメンバー、レイ

弊社CTOの井口は、憧れのエンジニアと交流ができ、ご満悦の様子でした。

TippecanoeコントリビュータのErica Fischerさん
GDALコントリビュータのEven Rouaultさん

おわりに

私にとっては初参加となったFOSS4G(World)でしたが、地理空間情報に関する最先端のことを知れたり、普段なかなか会えない方々と交流ができたり、コミュニティの力を感じれたりと、とても楽しく充実した時間でした。

年に一回、同じようなことに興味を持つ人々が世界中から集まり、ワイワイできる場があるというのはとても素晴らしいことだなと思います。
そして、コミュニティを継続するために普段から貢献している方々がいるからこそ、このような場があるのだよなと改めて実感することができました。

MIERUNEとしてもFOSS4Gコミュニティへの貢献を継続していければと思います。

この記事を読んで少しでもFOSS4Gに興味を持ってくれた方は、FOSS4G(World)への参加は難しくても、日本で開催されているFOSS4G JapanやFOSS4G Hokkaido、FOSS4G Tokaiに参加してみることで、きっと何かしら得るものがあるのではないでしょうか。

なお、日本や近隣国で開催が決まっているFOSS4Gは以下の通りです。

⚫️FOSS4G Japan
2023年9月17、18日(日、月)に福井県で開催されることが先日発表されました。
ここ何年かはコロナの関係もありオンライン開催だったので、久しぶりのオフラインでの開催をみなさん楽しみにされているのではないでしょうか。

本年度のFOSS4G Japan 準備会のお知らせです! 本年度は以下のとおり行う予定です。 FOSS4G 2023...

Posted by OSGeoJapan on Friday, June 16, 2023

⚫️FOSS4G ASIA
2023年11月28日から12月2日の期間でソウルにて開催されます。
今回、韓国からはGaia 3Dなどから約20名の方が参加しており、みなさんTシャツを着てPRをしていました。

ちなみに来年度のFOSS4G(World)は、ブラジルはベレンでの開催です🇧🇷

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