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痴漢、ダメ。絶対。絶対だ。

これは遠い昔の実際にあったお話……。

東急池〇線の終電に乗っていたのは、田舎から出てきたばかりの19歳女子大生。大学は夏休みだったため部活動をした後、劇場のチケットもぎりのバイトをして家に帰っているところでした。
電車内は終点に近づくにつれ空いてきて同じ車両には10数人しか乗っていない状態で、私は椅子に座って目を瞑っていました。異常が起こったのは電車に乗って少したってから。
座っている私の膝になにか固いものがガンガン当たってくるのに気づきました。車内はガラガラなのにおかしい、と思って目を開けると、目の前にスーツのおじさん(40代くらい?)が吊革を持って立っていました。
日サロ行ってます?ってくらい色黒で、背が高くて、俳優の阿〇寛さんを深海から引き揚げて水圧の差で目が飛び出しちゃった、みたいな感じの見た目です。例えに出してしまった俳優さん、すみません。

おじさんは吊革を握って私の前に立っていて、膝に当たっていたのはおじさんの膝でした。酔っぱらい関わるなかれと思い、私は座っている位置を移動してもう一度目を瞑りました。
そして次の駅に着いた時、急に体を強い力でぐいっと引っ張られました。さっき目の前に立っていたおじさんに肩を組まれる形で立たされ、そのまま降りる方向に引っ張られていきます。
突然すぎて混乱する私はとっさに声が出ず車内の他のお客さんを見つめながら口をパクパク。(悔しい)やばい、荷物が、と余計なことを考えて、自分のカバンを片手で掴み、もう片方の手でドア横の手すりを掴んで降りれないようにしていると「もう降りる駅だよ、飲みすぎだよ」と色黒おじさんが言いながら、強い力でその手を引きはがしてきました。
おじさんに肩を組まれる形でホームに降り(無理矢理立たされてからここまで数十秒しかたってなかったと思います。ほんと一瞬の出来事でした。)電車のドアが閉まったのを見て、「あ、家に帰れないかも」と涙が止まらなくなり過呼吸ぎみになりました。(悔しい)改札に向かいながらもおじさんはずっと「飲みすぎ注意だよ~、ほらちゃんと歩いてよ~」と大きな声でしゃべりながら、片手で服の上から体を触ってきていて足ががくがくしちゃって怖かったのを覚えています。その駅で一緒に降りた別のサラリーマンのお兄さんが「ちょっとおかしくないですか?」とおじさんに話しかけてきてくれて、最初は「いや、この子飲みすぎちゃってさ」と話していたおじさんでしたが、だんだん周りに人が集まってきたのを見ると猛ダッシュで逃げていきました。駅の改札を陸上のハードルのように飛び越えていく背中を見たのがそのおじさんの最後の姿です。

あの時千〇町駅のホームで声をかけてくれたお兄さん、本当に感謝してもしきれません。ありがとうございました。
その後は駅員さんが来て、警察がきて、警察署で色々調べてくれて(似顔絵書いたり、おじさんの様子を再現したり、上着を提出したり…)朝の6時ごろにやっと家に帰れました。
痴漢、ときくと被害者側の服装について言ってくる人がいるらしいので一応書いておくとその日の私はバドミントン部のユニフォームの上に薄めの夏用ウィンドブレーカーを着ていたので、露出度が高い服を着ていたわけではないです。下は短パンでした。というか、例え被害者側が露出度の高い服を着ていたとしても悪いのは絶対的に100%痴漢をする側だと思いますけどねっ!!!(大声で言いたい。)

一人ではなにも出来なかった自分が本当に悔しいです。時間がたった今では、怖かった思いはだいぶ消えていて、悔しさと怒りの方が強いです。犯人にも逃げられて、捕まえられなかった……。
私が大きな声を出せればよかったのに……逃げられないようにどこかを掴んで離さなければ、何か証拠になるものを掴んでいれば……終電で帰っている他の方にも心配と迷惑をかけてしまって、悲しくて悔しい。

痴漢といえば満員電車という思い込みもあったので、こんな手口もあるよ、と記憶に留めておいて自衛にお役立ていただけますと幸いです。
おわおわり。

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