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駅メモレジェンドステーションマスター達成記念、5年間の旅行振り返り

「現在位置から一番近い駅を記録できる。日本全国、もう存在しない駅も含めて9300を超える駅を登録しておいたから、行ってこい」

 冷静に考えると無茶苦茶ですが、これが駅メモです。
 厳密に言うと日本全国の駅を制覇する遊び方もあれば、地元の駅を死守する(キャラを居座らせてスコアを稼ぐ)遊び方もあります。とはいえ前者は移動しながらスマホを連打するだけ、後者は深夜2時であっても駅を取られたら取り返しにいく根性で相手を諦めさせたら勝ち、果てには相手とアプリのコメント欄で罵り合った結果、これ以上コメント不可になる「変更が制限されています」の表示を運営から与えられたりと、どの道ゲーム性とかそういうのから縁遠いのが駅メモです。今日日、アニメーションやボイスはほぼなく、きれいな一枚絵も皆無ですからね。僕が時々駅メモをクソゲーと呼ぶ所以はこういうところです。

 後者の遊び方は永遠に終わらない戦いで、モチベが切れるかアプリが寿命を迎えるその日までソマリア内戦ばりの泥沼の戦いを繰り広げることになるんですが、前者は一応のゴールがありまして「9300は無理?しょうがねえな、9100駅記録できたら「レジェンド」みたいな称号をくれてやるわ」というご慈悲が与えられています。ありがたいですね。幸い前者の遊び方をしていたので、ようやく駅メモに一応の終わりを見ることができました。

 2018年6月、株主総会の準備で疲れ果てていた土曜朝にインストールしてしまったのがすべての始まりでした。なお僕は鉄道オタクでも旅行オタクでもなく仕事やアニメイベントで東京に行くのがせいぜいで、このゲームを始めるまでは本州で行ったことのある最西端は新大阪、それから西はピンポイントで友人の結婚式で行った宮崎だけという有様でした。今考えてもこの地獄に足を踏み入れた理由がわからない。
 ということで、この5年にわたる旅の思い出を印象に残ったところ含めて振り返ってみようと思います。順番は「その都道府県の駅をすべて取得(制覇)した順」、カッコ内はすべて取得した月です。なお、何回にも分けて行っているので、書いたエピソードが制覇月にあったわけではありません。また、駅メモには「自分の位置に近い一定範囲の駅を取得できるアイテム」みたいなものもありますから、制覇したといってもすべての駅や路線に行っているわけではありません。


1 滋賀県(2018年8月)

 最初に制覇した県です。週末に路線図を見ていたら「大回りすれば(注)1日で回れるんじゃない?」と思ってササっと回ってしまったので、写真もエピソードも特にないです。半日もかからなかったんじゃないかな。
 8月のとんでもないクソ暑い日だったこと、近江鉄道の駅に「蒲生氏郷を次の大河に!」とかいう垂れ幕があって「無理やろ」と思ったことくらいしか記憶にありません。しかし日本全国行きましたがよほど町おこしのネタに飢えているのか、地方は「誰それを次の大河に!」が本当に多い。一番衝撃的だったのは徳島で見た「三好長慶を次の大河に!」でしょうか。弟を次々に亡くして一番下の弟に至っては自害に追いやって、最後は重度の鬱で亡くなったのをどうやってやるんだ…。
 1日で終えてしまったので、日本全国旅行したのに未だに宿泊したことのない数少ない県の一つになってしまいました。

(注:大回り)
 大回り乗車。解説してるウェブサイトは腐るほどあるので詳細は省略。目的地まで複数ルートある場合、最短距離の路線を使わなくても運賃は最短距離分でOKにしてくれる、鉄道会社の温情(諸々の決まりあり)。この時は、米原から彦根の切符を買った後、琵琶湖を反時計回りに回りました。こんな記事を読んでる人は知ってそうな気もしますが、一応。

2 奈良県(2018年9月)

 この頃から週末にフリー切符を買って近畿地方の駅を取るという「そんな週末の使い方でいいのか」みたいなことをしていました。
 天理駅なんかは多分駅メモやってなかったら一生行ってなかったと思いますが、天理教のお膝元ということもあって巨大な瓦屋根の建物が多くて印象的でした。
 写真はブレブレですが近鉄奈良駅近くで食べた天丼です。これがまあ大変美味しかったです。

天丼まきの。店構えは小奇麗ですがお手軽に入れてなかなかボリューミー

 店員さんが山下七海さんに似ていましたので、WUGオタクの亡霊たちは是非行ってください。バイトさんだと思うので流石にもういないと…って書いたところで調べたら、2022年で閉業してますねこれ…。

3 徳島県(2018年11月)

 余談ですが、駅メモには「同電」という概念があります(「徳島には電車がない」とか言い出す鉄オタがいそうですが、面倒なので本稿はすべて「電車」で通します)。駅メモは仕様上、同じようなタイミングで駅にアクセスしている人がわかるようになっているので、これが連続すると「あ、同じ電車にクソゲープレイヤーがいるな」と気付くのは割りと早いです。そして新幹線や都会の電車なら「同じ電車かな」くらいで済むのですが、乗客も車両も少ない田舎の過疎路線だと、次第に「あの人かな」と見当がついてしまうんですね。
 この日も僕は牟岐線というローカル線を終点に向けて朝っぱらから乗っていて「同電」の存在に気付いて一人でスタンドバトルみたいになってたんですが、終点の海部駅(2018年当時。今は終点が変わっています)に近づくにつれて乗客がどんどん減り、残すは3人くらいになっていました。

牟岐線、徳島から南に伸びる路線です。途中で阿佐海岸鉄道になります。
(出展:地理院地図vector)

 一人は地元の女子学生でもう一人は「いかにも」な男性なんですね。僕は車両の後方にいたので「あー、あれだわ」と割と早めに目星がついてしまい、いかにして接触せずに降りようかだけを考えていました。知らない土地で知らないオタクと話すとか苦痛でしかないですからね。そもそも僕鉄道オタクですらないから、話しかけられても多分会話にすらならないですし。
 ところが悲しいかな、牟岐線は終点で降りなければなりません。極力タイミングをずらそうと座席で粘った後に降りた僕を出迎えたのは、出口付近で待っていた彼によるクソデカボイスの「おはようございます!」でしたダッシュで逃げたわ。

 ちなみに徳島は、かつてマチアソビというイベントの際に、とあるうどん屋さんで声優さんが行った直後の…うん、書こうとしたけど気持ち悪すぎるからやめましょう。調べりゃ出てきます。とにかくうどん屋さんにも行きました。

流石に5年も前なので店名を忘れてしまいました。こう見るとうどんも美味そうですね

 うどんはもう少しコシがある方が好きですが、蛸のから揚げはぷりぷりで美味しかったです。まあ、電車内でスマホをポチポチする旅のついでに来てる僕の横では、高校生らしい団体さんが部活かなんかの打ち上げをやってまして、眩しすぎて目がつぶれるかと思いましたが。

4 山梨県(2018年12月)

 母の実家があって何度も来ている県なので、特段言うことはありません。
 甲府駅南口のほうとう屋さんはカウンター席が多めなので、おひとり様でもお気軽に利用できると思います。

ほうとう。安牌と分かっていても小作に行ってしまう。美味しいと思うがちょいとお高い

 また、その近くの「PRIVATESTAY HOTELたちばな」は、部屋も大変広くておすすめです。覚えておいてください。なお、一人で予約したのにベッドが3つある部屋に通されることもあってちょっとシュールです。ラブホでも改装したんじゃないかな。

 クリアだけ考えれば、山梨県は関東圏に近く最も簡単な県の一つだと思います。小海線は山梨県内の駅は中央線からアイテムで届きますし、富士急行も往復するのにそんなにかかりませんから、せいぜいゆるキャンにも出てきた身延線に乗る算段だけつければどうにかなるでしょう。僕が駅メモのために身延線に乗ったときは、前日浜松で食べたイカ納豆で腸炎ビブリオに感染していて地獄でしたけど。

富士から甲府に伸びるのが身延線。僕の中では身延線=腸炎ビブリオ。
(出典:地理院地図vector)

5 愛知県(2019年1月)

 居住県なので思い出も何もありません。他の地方出身の人は旅行に来ても味噌汁だけは飲まない方がいいと思います。人生で味噌汁を残したことがあるのは後にも先にもこの県だけです。
 これだけだと味気ないので、豊橋で食べた「もち鰹」が美味しかったので載せておきます(死後硬直する前の釣りたての鰹。豊橋とか浜松あたりで春先に食べれます)。なおこれを食べた飲み屋さんがちくわ店(豊橋はちくわが名物)が経営するお店でセルフでちくわを焼くサービスもあったのですが、酒の席で友人と2人で無言でくるくるちくわを回して焼く絵はすごいシュールでした。ちくわ焼くのむっちゃむずいぞ。

もち鰹。当然死後硬直する前に食べないといけません。

6 石川県(2019年3月)

 こちらもあっさり数時間で終えてしまった県です。JR七尾線で和倉温泉駅まで行けば、のと鉄道は乗らなくてもアイテムで届きますし、北陸鉄道の各線もJR北陸本線に乗りながらアイテムで届きます。山梨と並ぶ簡単な県の一つではないでしょうか。のと鉄道で当時から考えても8年前のアニメである「花咲くいろは」のラッピング電車が走っていてびっくりしましたね…って今調べたらまだ走ってるのか…

和倉温泉駅でJR七尾線車内から撮影。咄嗟に撮ったのでろくな写真ではありませんね。

7 岐阜県(2019年3月)

 地味に私鉄が多くそのうえ盲腸線というかなり面倒な県です。隣県でなかったらかなり大変だったと思います。週末ごとにちょこちょこ回ったのであまり思い出らしい思い出がありませんね。
 長良川鉄道、養老鉄道、樽見鉄道と盲腸線のオンパレードのため、終点まで着いたら一旦改札を出て折り返しの電車に乗るといった方法をとらざるをえず、駅員や車掌に「こいつ終点で何もしないでもう一回乗るの?」みたいに思われていたと思います。まあその筋ではそういう人たくさんいそうですけど。

8 京都府(2019年4月)

 天橋立には駅メモの機会に行きました。名勝とはいえ、京都駅からかなり外れていることもありこういう機会は貴重です。個人的に百人一首で一番好きな小式部内侍の歌碑も見れたので満足です。

天橋立。リフトに乗って登るのでアトラクションみたいである。
小式部内侍歌碑。景勝を歌った歌でもないのに歌碑があるというのも不思議ではある。

 あとは、京都制覇した後ですが夏にふらっと行った瑠璃光院の写真でも。紅葉の季節にも行ってみたいですが、外国人観光客が戻りつつことを考えると京都行きもしばらくいいや、って感じになりますね。コロナ禍のうちに色々回っておいた方がよかった感は強いです。

夏の夜の瑠璃光院。無言でシャッターを切りまくる人たちしかおらず、異様な雰囲気でした。

9 和歌山県(2019年4月)

 紀勢本線という、和歌山駅から三重県の亀山駅まで海沿いに紀伊半島をぐるっと回る路線があります。和歌山と三重で最後に残ったのがこの紀勢本線だったため、和歌山から名古屋まで紀伊半島回りで帰るという地獄みたいなことをする羽目になりました。新大阪まで戻るルートなら2時間もあれば帰れるのにね。ただ、この路線は特急があるのです。駅メモで痛感するのは「特急のあるローカル線はマシ」ということに尽きます。なんだかんだ1日で和歌山から名古屋まで行くことができますからね。ただ特急に乗っている時間だけでも7時間くらいですが…。

和歌山からぐるっと紀伊半島を回って津から北に延びるのが紀勢本線
(出典:地理院地図vector)
紀勢本線のぐうかわ特急。白浜のパンダさんのイメージ。写真は大阪駅にて。
車内の注意事項リーフレットもかわいい

 まだ当時はコロナもなく外国人旅行者も多かったため、この手の地方の特急に乗ると外国人ツアー客に囲まれるようなことが多かったんですが、この時も日本人添乗員に連れられた集団に囲まれました。熊野古道でも見てたんですかね。この手の皆さんは結構ワイワイされるんですが、まあ本来旅行とはそういうものですからね。ひとりでスマホを凝視しながら駅に近づく度にポチポチして電車乗る旅行とか常軌を逸してるわ。
 でまあ、僕の隣が添乗員でいかにも学生時代ラグビーやってましたみたいな兄ちゃんだったんですが、乗った瞬間から「意地でも真ん中の肘掛けは渡さねえ」みたいな感じなんですよね。ガイドしてる外国人の質問に答えるときも弁当食べるときも、頑なに肘ついてるの。お前は「肘をついてご飯を食べちゃいけません」と躾けられなかったのか。別にルールもないと思いますが、個人的には映画館とかでもあるこういう間の肘掛けは、国境というか不可侵スペースというか「どちらのものでもない」みたいな感覚なんですが、時々「肘掛けを渡したら負け」みたいな人を見るとびっくりします。あれかな、肘掛けを奪われて恋人を失った悲しい過去でもあるのかな。
 結局添乗員は乗った瞬間から弁当を食べて降りるまで、徹頭徹尾「お前の肘掛けねえから」みたいな感じでした。ツアーの皆さんが降りるときに、一行にいた白人のおっちゃんがちょっとうるさかったと思ったのか、降りるときに僕に向かって「ゴメンネ」って片言で謝ってくれたんですが、あれ多分添乗員のことも謝ってたんじゃないかな。

10 三重県(2019年4月)

 三重県も紀勢本線が残っていたため、和歌山と同じ日にクリアとなりました。こちらも昔住んでいた県であり、かつ近県のため週末ごとにちょっとずつこなしていましたので、特段言うことはありません。駅メモの機会では行けませんでしたが、紀伊長島駅が最寄りの「道の駅 紀伊長島マンボウ」ではマンボウの串焼きとか食べれます。珍しいので是非食べてください。東京からだと鉄道で4時間くらいかかると思います。
 ちなみに味は「鶏肉と白身魚の間くらい」という、どこかで聞いたような非常に陳腐な例えしかできません。

 2024.4追記

 長くなったので一旦ここで区切りましょう。
 続きはこちらから。


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