キッチン🍴三重の恵み🌿『二年宿谷』リレーコラム⑥ 伊勢志摩冷凍さん訪問

2月7日に伊勢志摩冷凍さんにオンライン訪問させていただきました。
そこで伊勢志摩冷凍の石川さんに実際の加工風景や衛生管理、そして石川さんの思いについて教えていただきました。
その後は商品開発について魚や可能な加工方法についても教えていただきました。

■自己紹介

相可高校食物調理科2年の宿谷です。
中学生の頃まごの店へ行った時、そこで調理･サービスされている先輩方の姿に憧れ相可高校へ入学しました。
三重県の出身ではないのですが、三重県の食についてはとても興味関心をもっています。
今回のプロジェクトでは三重県に来て感じた魅力について深く掘り下げ、発信し知ってもらいたいです！

■伊勢志摩冷凍とは

三重県志摩市にあり食品の加工、冷凍、販売をされています。浜から20分と海と近い環境にあります。
石川さん自身も海に出て漁業にも携わっておられます。

■食品の加工について

実際の加工作業をビデオで見せていただきました。

その時加工されていたのは三重の恵みの商品である『伊勢まだいのかぶせ茶漬け』です。
普段は8人ほどで作業されており、ほとんど人の手でされているそうです。
伊勢まだいの素早い3枚卸しはまさに職人技でした。
うろこや内臓などを除く部屋、刺身に切り出す部屋、そして最終パック詰めをする部屋はそれぞれ別の部屋にわかれています。
1日で最大伊勢まだい200キロ分が加工できるそうです。

そうして衛生的に調理されたものを真空、冷凍していきます。
こうして冷凍するときに、おいしさのための大きなポイントがあるのです。

■時を止める魔法

真空した食品を冷凍する際、ある機械をつかいます。その機械は数分で食品を凍らせることができます。これが時を止める魔法の1つのポイントです。
0℃から-5℃の温度帯が1番細胞が壊れやすく、うまみなどが流出しやすいのです。
しかし、-60℃まで一気に温度を下げることでそれを最小限に防ぐことができます。それにより1番おいしい状態を保ち冷凍保存することができるのです。

以前、相可高校で行われた三重の恵みの講演会のときに『伊勢まだいのかぶせ茶漬け』を試食させていただきました。とてもおいしく、一度冷凍されていたのものだとは思えなかったです。冷凍技術の進歩や伊勢志摩冷凍さんの冷凍、加工に対するこだわりも感じることができました。

こうして鮮度抜群＝おいしさの頂点で時を止め、いつでも一番おいしい状態の魚を食べることができます。

みなさんは冷凍にどのようなイメージを持たれていますか？
あまりおいしくない、臭みがあるなどの悪い印象が大きいと思います。
しかし、伊勢志摩冷凍さんがされている瞬間凍結などの技術により魚のおいしさは守られています。
旬のものを一番おいしい時においしさの頂点で時を止め、遠い所まで流通させることが可能になっています。今のコロナ禍にはこうした冷凍技術が活躍しているのではと感じました。

■未利用魚

前回の記事で紹介した銀馬（ギマ）とは別の未利用魚も今回のオンライン授業の中で話題にのぼりました。

こちらの小魚です。
小アジ、イワシ、ヒイラギ、キビナゴなどたくさんの種類の小魚がこうして一気に獲れます。
なぜ、未利用魚とされているのでしょうか？

理由としてこれらを選別するのには多くの時間がかかり、大変手間となってしまいます。もちろん鮮度も落ちることになります。

このようにたくさんの種類が大量にとれることで未利用となってしまう魚もあります。

■まとめ

「私たちの食の安心･安全はこうして守られているのだ」と今回伊勢志摩冷凍さんの実際の食品加工･冷凍、衛生管理を見てとても心に残りました。
その中でHACCPシステムのお話もしていただきました。
HACCPとはNASAが考案した食品の衛生基準の事です。食品を製造する中で食中毒など、危険が起こる可能性を排除するということを念頭に置いています。
加工の際、納豆や漬物などの生きた菌も作業する部屋には持ち込み禁止です。手洗いなども徹底され、部屋ごとに長靴も変えておられます。

時を止める魔法
徹底した衛生管理

これらにより私たちの安心できる食卓は成り立っているのだと感じました。

それに石川さんのお話の中で
「自然の中に生きている、そういう価値観を料理で表現する。そうしたら一次生産者の方たちも救えるのではないか」
ということを仰られました。
自然の中で料理をし、食事をして生きているということを改めて考えてみました。
持続可能な社会 これがキーワードであると思います。
このプロジェクトが広まる事で未利用魚が知られ、認知されることで未知の魚ではなくなります。
活用魚になることで漁業に携わっている方の収入も増え、就業人口も増えるだろうと予測されます。
すると未来へと日本の漁業は繋がり、持続的な供給が可能になります。
これが持続的可能な社会だと考えました。

■今回のプロジェクトの大きな柱

まず、私たちがこのプロジェクトにおいて1番の課題としているのは“全ての魚を最大限に使う”です。そのためには未利用である原因を一つひとつ取り除いていかないといけません。
そうして私たちが活動していく中で前提が一つあります。それが『伊勢志摩冷凍さんだからできること』です。
このnoteをここまで読み進めてくださっている方の中にはすでに特別な部分に気づいた方もおられるのではないでしょうか。

・衛生管理
・時を止める魔法、瞬間冷却機
・手作業で魚を加工
・海から近い加工場
・石川さんの未来の漁業に対する特別な思い

この5つが伊勢志摩冷凍さんの大きな魅力です。
これらの特別な所は私たち料理人と消費者のかたとの安心と安全、おいしさの橋渡しをしてくださってます。

■石川さんの思い

「売れる、売れないを基準にしてはいけない」と石川さんは何回も言って下さりました。
安乗漁港さんへの訪問で私は実際に魚が取引されてるところを初めて見ました。そして魚の値段の付き方や変動についても教えていただきました。もちろんそれは“売れる魚”のみです。どうしても価値の付きにくい魚は誰かに見てもらうことができません。
これは石川さんが危険だと仰った基準に沿っているからだと感じました。
私たちはその基準によっていただく事ができる本当はおいしい魚を知らない間に無駄にしているのです。
そして「地元からおいしさを発信することで持続可能な水産業に繋がる」ともお話もしていただきました。
三重県の漁業について深く考え、魚やそれに関わる人達にとって良くない状況にあるいまから脱却しようとされています。こうした熱い思いを持たれている石川さん率いる伊勢志摩冷凍さんだからこそより良い商品化に繋がるとも感じました。

私たちのプロジェクトによってこれからの未来がより良くなると思うととてもワクワクします。
食を通しての人との繋がりを大切に、未来へ繋がる商品開発を行っていきたいです！

■次回予告

次回のリレーコラムは田中さんによる訪問の振り返りです。その次は、これから本格的に始動する商品開発の各班会議と2月の11日に行う訪問報告、商品開発案発表の様子をお届けします！
各班で、商品案を出しそれについて議論を行います。そしてスケッチにまとめプレゼンテーションを行う予定です。
どのような商品が出来上がるのでしょうか？
ぜひお楽しみにしてください！

2021.2.10
相可高校食物調理科2年宿谷