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読書メモ「戦略の要諦」(2)

前回(1)では、戦略ではないものを特定することで、戦略に関する理解を深めようとしました。

今回は、戦略の策定方法を確認していきます。紹介されている戦略策定の流れは、下記の通りです。

  1. 課題を収集する

  2. リソースの制約や競合状況を分析する

  3. 課題の最重要ポイントをみつける

  4. 解決方針と計画の設計

  5. 計画の実行

3番目にあげた「最重要ポイントをみつける」とは、組織の直面する様々な課題を構成する要素のうち、最も重要かつ解決可能な(正確には、妥当な確率で解決できそうな)ポイントを見つけることです。組織が直面する状況は、非常に複雑です。これをしっかりと解きほぐし、問題の構造の理解を深めながら、ひたすら考えるというプロセスのなかで、勝負どころとして浮かび上がってくるものです。狙いの的を絞り、手持ちの能力でそこを叩く現実的な計画を見定めることです。

困難な課題に最重要ポイントという概念を導入すると、注意がまさにその一点に集中するという効果がえられる。戦略とは、困難な課題を解決するために設計された方針や行動の組み合わせであり、戦略の策定とは、克服可能な最重要ポイントを見きわめ、それを解決する方法をみつける、または考案することにある。

Kindle版14ページ

ルメルトは、この最重要ポイントを見極めるステップを省くと成功は望めないと強調しています。(Page 19)対して、戦略に関する他の書籍などでは、このステップが含まれないケースが多く見られます。代わりに、テーマ性を持った目標を戦略として定め、その目標に向かったアクションを挙げていくなどの方法をとります。この場合、組織が直面している課題に対する確たる見解が練られることなく、選択された仕事の実行に邁進してしまうリスクがあります。実際、最重要ポイントをみつけることなく仕事が進んだ場合、実行段階でそれぞれの部隊が良かれと思うこと、または出来ると思われることを実施していくため、全体としての一貫性をかき、また労力や資源を効果的に活用することが難しくなります。

混沌とした状況を整理して最重要ポイントを見定め、ここをアタックすれば成功すると呼びかける役割をはたすのが、戦略的リーダーである。

Kindle版 63ページ

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