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生理休暇は女性の味方なのか?利用率が低い背景と今後の課題

助産師 Beniです。
助産師として働く中で、社会全体が女性の身体のことを理解できたら、
考え方や仕組みがアップデートされて、女性がもっと生きやすくなると考え、
日々考えていることや伝えたいことを綴っています。

今日は、「生理休暇は女性の味方なのか?」というテーマで考えていきます。

生理休暇の特徴と利用状況

生理休暇とは、生理中に体調が辛く、働くことが難しいときに女性が取得できる休暇です。
その特徴としては、以下の点が挙げられます。

• 正社員・パートを問わず取得可能
• 法律で認められており、就業規則に明記されていなくても利用できる
• 当日、口頭での申請が可能
• 日数の制限はなく、時間単位での取得も可能
• 生理日以外の月経前症候群(PMS)も対象
• 有給か無給かは事業所によって異なる
• 診断書の提出は不要
• 不正取得の場合は厳しい処分の可能性あり

しかし、厚生労働省の令和2年度雇用均等基本調査によると、生理休暇を請求した事業所の割合はわずか3.3%、女性労働者のうち生理休暇を取得した人の割合は0.9%という低い利用率が示されています。

なぜ生理休暇は使われていないのか?

生理休暇が利用されにくい背景には、診断書が不要であることが影響していると考えられます。
生理痛は個人差が大きく、働けないほど辛い場合には何らかの疾患が隠れている可能性もあります。
この制度が診断書を必須にしていない理由としては、“生理は人によって重さも長さも違うし、働けないくらい辛いときに病院に行かせることは負担が大きい”という理由からだそうです。
しかし、この「診断書不要」ということが生理休暇が利用されにくい構図を作ってしまっているのではないか、と考えます。

もし、仮に生理休暇が必要な女性がいたとします。
彼女が職場に生理休暇を申請するとき、診断書が必要だった場合にいつ受診をするでしょうか?
生理痛の一番辛い時?生理中の比較的楽な時?生理が終わってから?
婦人科で働く助産師の視点から考えると、仮に仕事を休まなければならないくらい辛い生理痛に耐えて生理中に受診をしたとしても、出血が多い時にできる検査には限りがあります。
もちろん、各種検査をしていく中で、生理中に必要な検査があることもありますが、スタンダードな診察をするのであれば、生理中ではない時に受診することが望ましいです。
そういうことですから、そもそも生理真っ只中に辛い体を引きずって病院に行く必要はなく、次回来るであろう生理に備えて受診することさえできていれば、生理中は自宅でしっかり休養に徹することができるのです。
一ヶ月の中でおよそ3週間はある“生理ではない時”に受診し、医師に「〇〇な状態だから、生理が来るとお休みや調整が必要と考えられます。当面○ヶ月は治療していく方針です。」「生理に伴う症状が強いため、今後数ヶ月は生理中(もしくは生理前)に休暇が必要となるでしょう。」など診断書を書いてもらっておく。
職場に対してもあらかじめ伝えておくことで休む側も安心して休めるでしょう。
会社側からしても、業務調整や人員調整をすることができ、また、何より人財を大切にすることができ、結果として利益につながると考えられます。

診断書の必要性と生理休暇の改善点

発熱で会社を休む場合、私たちは受診をし診断書をもらいます。
なぜ受診し診断書をもらうのか?
・熱が出ている原因を明らかにするため
・いつまで休むべきか、いつから就労できるかの判断を聞くため
・仮病ではなかったことの証明をするため
こういった理由が挙げられます。
生理休暇も同様に、「なぜ生理痛があるのか」「生理痛が辛い時どのように就業すれば良いか」「症状が仮病ではないと証明する」ことが必要なのではないでしょうか。

受診することによって自分の体調を把握しやすくなり、将来的な健康問題の予防にもつながります。
生理の問題は妊娠や不妊にも関係しており、早期の対策が少子化対策の一助にもなると考えられます。

生理休暇は本当に女性の味方なのか?

不妊大国と言われる日本にとって、少子化対策をしていくためにも、未来の不妊症の女性たちを減らせるような動きが大切だと考えます。
生理の不具合をきっかけに受診をする、自分の身体のことを理解する。
このような流れが、女性たちが子どもを産みたい時期が来た時にスムーズに駒を進めることができることにつながると考えます。
子宮、卵巣、生理の問題は、少子化にもつながっていると思うからです.

生理休暇は本当に女性の味方なのか?

間髪入れずに「女性の味方だよね!」と言える日が来るよう、小さい声でも諦めずに声をあげていこうと思います。

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