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ラウドネス問題のマイアンサー

配信用のWAVファイル。ラウドネスは-13後半から-14LUFSを目指して作れば良いと考えていました。

-8LUFS説

が、mabanuaさんの動画で、マスターファイルがラウドネスペナルティー上で「spotify ー6dB」と表示されていました。つまり、spotifyで再生する際、6dB下げるということです。
これは「ヒット曲にはPLR8(ラウドネス値とトゥルーピーク値の差)が多い」説や「-8LUFSぐらいのラウドネスが、CDで迫力がある音圧」説と一致するものです。

spotifyのラウドネスノーマライゼーションは「オーディオファイル自体の音量を調整するのではなく、メタデータとしてラウドネスレベルをファイルに記録し、再生中にゲイン補正。ユーザーが必要に応じてラウドネスの正規化を調整する」というものです。

私もそうですが、「音量のノーマライズ」を選択しなければ、ゲインは下げられないようです。ユーザーが「大音量」を選択した場合は、-11LUFSにノーマライズされます。

Youtubeの場合

一方、Youtubeはユーザーが調整する項目がないので、強制的にノーマライズされます。-13LUFSと言われていますが、、Long termではなく、Short termの方を重視しているようで、何度か試してみたところ、Short termで-12~-11ぐらいにするとちょうど良いという結論に達しました。(結果的に、Long termで-13LUFSぐらいになります)
ちなみに、プロの音源を調べてみる(右クリックで詳細統計情報が見れます)と、4~8dBぐらい下げられています。

(ノーマライズされないギリギリを目指した私の動画です)

「プロは-8LUFSのマスターデータを作っている」説が、濃厚になってきました。理由については、
1:CD用のデータを流用している
ー8LUFSとー14LUFSでは、料理で皿の大きさが変わるように、調整を大掛かりにやり直す必要があると思われます。

2:音にこだわるリスナーを意識している
spotifyやamazon musicなどは、ノーマライズを切ることが可能です。強制的にノーマライズされる配信サービスは、ラフに聴く用途のものが多く、厳しいラウドネス規定が課されているテレビやラジオで、シビアに音質にこだわらないことと同じでしょうか。ダウンロード型のサービスは、ラウドネス規定はありません。

Electronic musicのラウドネス

適正なラウドネスとは、どのくらいなのか。音量はユーザーが変えられるので、適正な「音圧感」というべきでしょうか。今回、調べたのは、アルバムを配信する際に、どの大きさの皿に盛れば良いのか、はっきりさせたかったからです。私は、主にspotifyで音楽を聴きます。好きなアーティストたちの楽曲は、多少のバラツキはありますが、邦楽ヒット曲ほどうるさくなく、-14LUFSよりは大きいように感じます。

「Long termで-11~-12LUFS、トゥルーピークは2dBTP」
としたいと思います。
音を破綻させずに-8LUFSに持っていくのは、難しいですし、ヒット曲のような、元気な曲を作っている訳でもありません。
今回、LUFSより、トゥルーピークの方が重要だと思いました。ここが破綻すると、皿からこぼれるので、元も子もありません。
リミッターによりますが、私の場合は、2dBにするために「2.3dB」の天井にしています。

Electronic musicは、皿にある程度のボリューム感をもって盛ることが大事です。-11LUFSというのは、いいサイズ感だと思います。

配信映え

リミッターを差さない状態で、音割れしないように2MIXを作って、最終段でコンプ1、コンプ2、リミッターの3段階で各2dB程度音圧を上げて、-11LUFSに持っていく、という調理法にたどり着きました。

参考文献として、チェスター・ビーティー氏の書かれた「配信映えするマスタリング入門」という本が、大変役に立ちました。spotifyが44.1khzということも分かりました。「44.1khz 48khz どっちが良い問題」も解決しました。

ただ、私の考えは、チェスター・ビーティー氏とは異なる点が多いので、ボーカル曲やギターメインの方などは、本を読んでいただいた方が良いと思います。作っている音楽を考えた上で、自分なりに納得のいく結論を出したまでのことです。

ジャンルによって、ちょうど良い音圧感は異なるように思います。ロック、ジャズ、Electronic music、クラシックなど、ジャンルごとに、LUFSの上限と下限を幅をもたせて設定し、外れるものだけゲイン調整されるような仕組みはどうでしょう。あとは、配信サービス間の統一ルールも大切だと思いました。

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