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Norma Hardy



Norma Hardy, 2002.9.9

2002/9/9 9.11の一周年セレモニーで警護及び参列するNormaを撮影した、友人Valの紹介だった。

2019/10/19 9.11Memorial MuseumのMemorial Poolにて17年ぶりに再会をする
彼女は今59歳、26年半務めたNY Port Authority Policeを早期退職(リタイア)して、NYキャッツキルの山で暮らしている
早期のリタイアは、日々がストレスと不安の連続だった警官の彼女にとってはようやく得た心休まる時間になっている。もっと若いと思っていたから聞いてみた「リタイアちょっと早いんじゃない?」という私の質問に、警官の仕事は毎日が本当にストレスとの戦いだから、早期退職をPort Authorityは勧めていると教えてくれた。そして、立ち止まっては写真を撮る私を守らなくちゃと、自分の荷物を車に置いて、手ぶらで歩き始めるNormaを見て、彼女は誰かの立場に立って、誰かのために一生を捧げる人生を貫く人なんだと、彼女の生き様を垣間見た気がして、心があたたかくなる。

若い頃の夢は弁護士になること。
でも、正義感が強いNormaにとって罪を犯した人でも「正しい」と弁護しなくてはいけないという仕事は、自分にはできないとわかって、Army National Guardに入隊しEMT(emergency medical technician)救命救急士として働く。その後夢だった警官になり、NY Port Authority Police Departmentの当時数少ない女性警官の1人となる。配属はWorld Trade Center。とにかく人の役にたつ仕事がしたかった。それは、自分に厳しく、いつも働き続け、11人の子供達を育て上げたお母さんの影響が大きくあったからで、自分にとってのメンターであるお母さんのようになりたいと思って大人になったから、何があっても警官を勤め上げることができた。

1993年、ツインタワー爆弾テロにより6人が亡くなり(1人は妊娠していたので、7人)、1040人以上が負傷した。
その時に任務中だったNormaは閉じ込められ、閉所恐怖症になり、しばらく仕事から離れるが、この最初のテロの体験から人を思いやることができる警官になろうと決心した。2001年再びテロが起こって今度は37人の仲間を失う。


911が起きてからの1年は過酷だった。Ground Zeroで亡くなった人の捜索、土を掘ることが仕事の毎日。そのうち仲間たちがどんどん病気になって、がんになる人も出て、1年の間に何人の葬儀に参列したかわからない。911当日死んだ仲間は37人だったけれど、その後たくさんの仲間を病気で失ったし、離職する人、精神的に不安定になる人、自殺してしまう人…たくさんの仲間を見送った。でも、自分は決してこの仕事を辞めようとは思わなかった。自分は人に貢献するためにこの仕事に就き、自分の仕事に誇りを持っている、そして、自分がこの惨事をきちんと伝えていかないといけないと信じているから。でも、やはり正直言えばこの出来事は凄く悲しく、悔しい。仕事の一部ではあるけれど、毎日遺体を探して、穴を掘り返すことは本当に辛かった。911の後、自分も体を壊しGround Zeroではなく通常の任務に就くことになったがそれでも、仕事を離れるということは一切思わなかった。1年後のセレモニーを境に、掘り起こす作業は中止されたけれど、アスベストやガソリン、有害物質、などで健康被害を受けた仲間たちがたくさんいる、そして、Normaもその一人。しかも911後、閉所恐怖症も再発して、今でも狭いところは苦しくなることがあるし、喘息やその他の病気の定期検診は欠かせず、これからも病気と共に生きていかなければならない。

離職後の彼女は穏やかな日々、近所にも友人ができて楽しい毎日。今の夢は、本を執筆すること。自分が影響を受けてきた人たちのことや育った環境、事件のこと…自分が書くことが誰かのためになるのであれば残したいと思っている。そして、依頼があればどこででも講演活動を続けている。

Norma, 2019
Port Authorityの仲間たち たくさんの人がNormaを慕っている

二つの惨事の当事者であるNormaには人のために尽くすという母から受け継いだ意思があり、亡くなった人たちのためにもこの二つの事件のことを風化させないというmissionがあるから、彼女は仕事を全うしてきた。そして、女性初Port Authority PoliceのCaptainになり、最後は400人束ねる要職Chiefとなる。

彼女のポリシーは常に、
”Be true to yourself, be honest, and always try to do the right thing”(自分に正直に、誠実に、そして、常に正しいことをする)

911 MEMORIAL&MUSEUMの近くに NY消防士のLee Ilepiさんやその他の人たちの呼びかけで完成した9/11 Tribute Museumがある。そこには二つの惨事の当事者の声としてNormaのビデオを聞くことができる。人々の記憶からこの事件が消えてなくならないように、彼女はいつまでもこの話を伝え続けると教えてくれた。退職する前にインタビューを受けたABCニュースの番組はNormaの人柄がとてもよくわかる番組になっている。

Don’t Forget 911.


Museumの中のビデオでNormaの語りが聞ける
9/11 Tribute Museumの中のメッセージたち


9/11 Tribute Museum
https://www.sightseeingpass.com/en/new-york/attractions/911-tribute-museum?aid=66&gclid=Cj0KCQjw6KrtBRDLARIsAKzvQIEtc8G_Im5nD6zgXr5yj5gXeuVZelPXi1kOj2EBlc8RsbbUNQ8O7wcaAiXCEALw_wcB&fbclid=IwAR2hvL_tUOF8bDk0FHX2rCT2rKNN529txRH8bgTNvzUP13sV_5FN5X3xgvQ

Norma Hardy on ABC news:'Trial by fire’: Retiring PAPD Assistant Chief Norma Hardy reflects on her life, career
https://abc7ny.com/society/trial-by-fire-retiring-papd-assistant-chief-reflects-on-career/3823135/?fbclid=IwAR21nKD4f-QMcCrQJLFv6W0G5K7z282MOw0Nljd08_0FJDJ6Mq8MKV__0hQ

The Men: Val Ghentとのコラボ We’ll Carry Onに収録曲の詩
http://valghent.com/music/well-carry-on/well-carry-on-lyrics/?fbclid=IwAR0ag2Oumz6iTNHi1mQe_NMfrlm9sdYOSDyZQE-cAbpnrT1ctGgqizZeylI


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