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豆腐屋のおばあちゃんと、思い出した大切なこと

心身ともにどっと疲れていた、この頃。
毎日仕事、ワークショップ、確定申告、結婚式の準備などをしながら、いつのまにか冬が終わりかけていることに、ふと気づく。


季節の変わり目に気がつかなかったのは、どうやら最近は"外"をあまり歩いていなかったからみたい。

うちは駅まで徒歩1分の距離にあるし、朝は電車に駆け込む。そして降りた駅では、地下から直通でビルの中にあるシェアオフィスへと歩く。

真冬の寒さを感じることもなく、室内から室内への移動が続くのが当たり前になっていたせいだ。立春を過ぎても、季節が移り変わるのに気がつかなかった。


加えて朝から晩まで頭をフル回転にしながら過ごし、忙しかったから、尚更"きせつ"を忘れていた。


でも、久しぶりにお休みだったので、今日はのんびりと用事も兼ねて近所をお散歩していた。

たまたま携帯電話も家に忘れたので、どの店に行こうなども調べることができない。なので、今日は足が赴くままに進み、ピンときたお店で立ち止まり、過ぎてしまって場所がわからなくなったらご縁がなかったということだね、と思いながらお買い物。

そんなときにふと思う。

そういえば、最近、ちゃんと歩いていたっけ。

慢性的に疲れていたので、駅では必ずエスカレーターに乗る。動く歩道があればそこに乗る。ビルの中ではエレベーターがある。歩いてる距離といえば、家のアパートの階段と、駅から目的地へのわずかな距離くらい。


田舎みたいに車生活じゃないから、田舎に住んでいるよりは歩くけど、それでも一日何メートル歩いているのだろう、というくらいしか歩いていないんじゃないか。



スマホも手放し、イヤホンも手放し、周りの景色を見ながら歩いていくと、近所にまだ入ったことのない小さな可愛らしいお店がたくさんあった。

まずは、コーヒーやさんでカフェオレをテイクアウトしたが、あんまり美味しくなかった。もうここには来ないかもな。

次に、オーガニックパン屋さんで食パンが欲しくなる。


昨日買ったりんごバターを塗ったら最高に美味しいだろうと思い、日持ちを聞いてみたら、『明後日までに食べてください』と言われて悩む。


悩んでいたら、『ハーフもできますよ』と言ってくれたので、通常の値段の半分でゲット。なんて良いお店なんだろう。また来よう。


帰りに、『このあたりでオススメのスイーツ屋さんはありますか?えっと、駅近のケーキ屋さん以外で、、』と尋ねたら、『駅前のケーキ屋はうちの系列なんです(笑)でも他にはおしゃれなどら焼き屋さんがありますよ』と教えてくれた。


あ、系列だったんだ。と苦笑しながら、どら焼きは、餡子が食べられないから別のお店に行こうと決めてパン屋さんを出た。


またぶらぶらしていたら、豆腐屋さんを見つけた。

窓の外から、お店の中にいるおばあちゃんのにこにこした顔が目に入ったので、のぞいてみた。


『こんなところに豆腐屋さんがあったんですね。知らなかった。うちの近くのお豆腐屋さんも少し前に潰れちゃったんです。』と言ったら、

『このあたりは昔は何十軒の豆腐屋があったんだよ〜。でももう数軒しか今はないねえ。みんな後継ぎがいなくてね。』と教えてくれた。


そのままおばあちゃんにお豆腐について教えてもらってたら、豆腐を買うはずなんかなかったのに、豆腐をいつのまにか買ってしまった。

しかも、日の出納豆がある!

あの潰れたお豆腐屋さんでしかみたことなかったのに、と伝えると、『このあたりに工場があって、昔豆腐屋さんに置いてくださいと回っていたからね。うちやほかの豆腐屋には結構あるんだよ』と教えてくれた。


思わず日の出納豆まで買ってしまった。

そして帰り際、おばあちゃんは、
『うちは息子が継いでくれたから、まだしばらくは潰れないからね、またきてね。』と声をかけてくれた。また絶対に行こう。



そして、しばらく歩いて、隣駅に着いた。
歩いている途中に色々な景色が目に入る。


ベビーカーをひくお母さんが2人、ママ友みたい。ママ友って、なんかいいな。でも、同じくらいの歳の子どもを産んだという共通点だけでちゃんと仲良くなれるものなのかなあ、なんて考えたり。

ペアルックで歩く10代そこそこのカップルを見て、ペアルックって自分はしたことないけど、なんだかよく見てみると可愛いね、いいね、と思ったり。


なんだかいろんな人たちを見ながら、自分の頭の中で流れてくる声が可笑しかった。




そして、大好きな八百屋さんで野菜を沢山買って。オーナーのおじちゃんに、『ライン毎日見てますよ。お野菜の情報めちゃくちゃ丁寧に載ってて、いつも買いに行きたい!って思います』って伝えたら、『昨日はサボっちゃったんですけどね、大体毎日頑張って書いてます』って少し喜んでくれた。


最近おうちでご飯も作れていなかったから、こんなに豊かな野菜を買えて幸せだー。



そんな思いで満たされていたら、ふとチーズタルトのお店を見つけた。心が疲れていたら自分の分だけを買って帰るんだけど、少し余裕があったので、家にいるシェアメイトの分も買って帰ろう、と思って、ふたつ買った。

よろこびから誰かを思ってお金を払うのは、本当に気持ちがいい。



うん。総じて今日はそんなことを感じていたかもな。消費してる!って感じじゃなくて、気持ちよくお金をお支払いさせていただいた、と思える買い物ばかりで。(最初のコーヒーやさん以外)

お金が全てではないけど、そんな風にお金をエネルギーとして回せるのはなんて幸せなことなんだろう。



そして、小さな名も知られていない、けどあたたかい物語を持ったお店がこんなにあるんだよね。それってほんと、すごいことだよね。たぶん私は、大きなチェーン店だったら、同じような物は手に入っても、こんな風に今日みたいなあたたかさを持ち帰ることはできなかった。



心に、よゆうがある、って大事だ。
身体が健やかである、って大事だ。

感じるためのスペースを、自分の中につくること。それをして初めて、幸せや喜びを味わえる。


そんなことを感じた日。
良い月曜日。


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