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カッコいいライブ

今日は2022年9月17日。シルバーウイークの初日。7月27日に開催された、原宿RUIDO「REBIRTH」シリーズ、ゴスペラーズ『The Gospelleres Works2』リリース記念ライブのネット配信が終わったばかりの時にパソコンを開いている。

わずか50人の抽選ライブに幸運にも当選し、私は現地に駆け付けた一人だ。あの時は感染者が爆発的にまた増えていた。まだツアーの途中。結構な緊張感の中で現地に向かったことを思い出す。沖縄の千秋楽前だった。入場前の行列も開演前も、本当に静かでちょっと怖いくらい。席はおそらく60席の椅子を並べたらそれでいっぱいというようなキャパでとにかくステージが近かった。

静かなライブハウス。上手からメガネをかけた人がマイクを持ってどぅんどぅん歌いながら出てくる。

映像でチェックしてほしい。『Gospellers Theme』出だし。ものすごく静かで、拍手も小さい。盛り上がってないのではなくて、「びっ…くりした…。」本当にそれだけ。「誰!!?」くらいの驚きがあった。ゴスペラーズに決まってるやんと、今なら思う。うつむいて微笑む北山さん。本当に、びっくりして立ち上がるのも忘れたという風情だ。

おそらく、立ち上がり禁止ではなく、そんな登場するんだ?!と腰を抜かして、メガネ山陽一をぼーっと眺めている。客席は縦3列くらいであとは関係者席の感じなので、誰を見てても目が合う。『Something In My Soul』のベースは伏し目がち山さんで、その後だいたい横向き山さんで、ずっと睫毛ばかりみてた。

北山さんは「僕は、君を絆しますね」顔で、誰かを見つめて歌うことがあるけど、そういうモードじゃないとき、人とあんまり目が合いすぎるとどうも恥ずかしいみたい。本当に死ぬかと思った。見つめ続けると、スッ目をそらす感じ。照れも隠さず愛を贈る北山さんの少し俯く姿よ。

『Promise』の懐かしい話と映像とデビュー曲と。こんなに大切にされているデビュー曲って本当に幸せだなぁって、ジーンとした。懐かしい映像を見るとき、酒井さんが壁にドンと手をつきながら、ちょっと酸っぱめな顔しているのカッコよかった。

酒井さんは昔からカッコいいけど、経年進化しているので今が一番カッコいいです。

大切なことだから繰り返しますけど、酒井さんカッコよかったなぁ…。

ポケットに親指を突っ込んで、ちょっと眉をしかめて歌う感じとか、足でリズムを刻みながらHBBする感じとか。5人横に並ぶと、ぎっしり感のあるステージで、少しだけ手で顔を覆ったり、手のひらで気持ちが留まることを表現したりする、上品な振り付けも良かった。

昔の映像の我武者羅な侍も見応えがあるけれど、あれから30年近く経って、引き算の魅せ方や余裕のある立ち振る舞いがやっぱりカッコよくて。歳を重ねるって進化なんだなぁと感じた。

ヒゲや長髪も素敵だけど、特に虚勢をはったりすることもなく、目尻のシワが頬の笑い皺とぐるんとつながるような笑顔を見ると、胸がギュッとなる。無理も無茶もしなくても、みんなから尊敬と歓声を集める人になったんだなぁと考えてた。

ウエストマークの白いベルトの位置が高くて、足が長いなぁなんて思いながらカッコいいフォルムを眺めていた。

そして、宇宙初演の例の歌である。

如来みのある『Sounds of Love』の美しい酒井雄二。

あの星が降る映像と、低い音から響かせて入る曲の頭。ここから3分くらい息をとめていた。低音が美しく、甘い歌声の小野大輔こと小野Dへの提供曲ならではの低音始まり。小野Dが歌うならの低音から、やっぱり美しい熱唱の高音まで。

ラストに向けて、音も歌詞もどこか遠くにいる沢山の君に届く、伸びやかで広がりのある世界観が酒井曲のかっくいいところ。

♪そして、笑い合えてる今が

の「て」が、カッッコイイ!

歌詞も提供曲ならと、愛を素直に書きましたとラジオか何かで話してらした。その時に「俺っぽくない。」と語ると、メンバーが「酒井っぽい歌詞だと思うけど??」って言ってたところにも、こっそり悶えたりしている。そう…そうなの…。そう、そうなの…。

『Ashes』の燃え尽きて、憔悴する雰囲気も大好きだけど、優しく内側から温かく照らすような愛の歌も酒井っぽくて、カッコいいのだ。

そして『五時までに』。イントロが流れて、一回袖にはけてた北山さんが後から出てくるのがわかってても、ものすごく緊張した。

あの曲は北山さんがずっと前ではなく妹尾さんを見ながら歌っているので、横顔を見続けることになる。これが本当に美しかった。まつげの先にライトが跳ね、瞳の中にブルーの光が反射する。切なそうに目を伏せると、まつ毛の先の光がまばたきについてくる。

その隣には安岡優。MCから語り芝居になり、北山さんに目配せして歌にスッと入るところからは完全にユタソロだった。顎を少し上げ、歌い上げてから、顎を引き眉をギュッと寄せる。すると頬の高い部分に光が集まって、青く光る。身体の輪郭がブルーに発光してて、夢のように素敵だった。

ハモ職人酒井を見られるのもいい。マイクを横にしたり、少し遠くにしたり。柔らかい音を入れるために、少し目を細めて首をかしげて歌う姿は、カッコよくてなんだかキスシーンを見ているようでドキドキした。

『Keep It Going' On』の黒ぽんの歌声キラキラしていて霧が晴れるよう。なんだか、いつも鬱屈した気持ちをスパーーーーーンとかっ飛ばしてくれる歌声に信用を寄せているところがある。北山さんリードのとき、ほんの半瞬だけタメたのを、妹尾さんがジッと見つめてピアノを合わせてきた。かてぃん君のピアノパートをサラッと弾いてるところにグッときた。シャウトも歌い上げも。製品版とは違うカッコいい酒井雄二が聴けるのも、ライブならではだ。

『U'll Be Mine』
この曲で最後だけれど、とにかくてっちゃんが楽しそうにしていたのが印象的だった。緊張感のあるライブが続いたこの夏。やるやらない、やるならどうするこうするの判断もあっただろうけど、最近のライブはてっちゃんがニコニコしていて、それをみてホッとしている。

懐かしい映像のU'll Be Mineでも、今と変わらず楽しそうに歌う5人。今できる楽しいこと全部、出来ること全てのスタンスは変わってないようだ。

夏が終わり、秋がやってきた。来月は高崎音楽祭。そのあとはオーケストラコンサートが控えている。

少しずつ、少しずつ音楽を取り巻く環境は戻ってきているような雰囲気がある。難しい場合は行きつ戻りつしてもいい。いつの日か、声を出して応援できる日がやってきたら。

大きな声で「カッコいい!」とライブを見て声援を送りたい。

大切なことなので、何度も書くが

酒井雄二は、今が一番カッコいい。

そして、明日はもっとカッコいいのだ。

おしまい。


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