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マカロン少年体験記〜ファミレス編〜第10話

こちらは調理をすることが好きな高校1年生男子マカロンのファミリーレストランでの接客アルバイト体験記。マカロンとその仲間たちのお話です。

<登場人物>
マカロン  ホールスタッフ
さくらもち ホールスタッフ マカロンのクラスメイト
小学生時代の恩師

お盆の間は久しぶりに揃ったであろうご家族の方が来られます。
10名前後のオーダーも取れるようになったマカロンとさくらもちでした。

ある日、さくらもちはたくさんのお客様の中にある人を見かけました。
懐かしいお顔でした。

マカロンとさくらもちは、小学生の頃剣道のスポーツ少年団に入っていました。
高校生になり偶然同じクラスになったのですが、顔見知りではありました。

さくらもちは、小学3年生の頃、幼稚園の頃から仲良しだった友達に
「一緒に剣道やろうよ」と誘われました。両親に話したところ
「武道というものはそんな簡単にできるものではない」と反対され
1年間言い続けても良い返事はもらえませんでした。
4年生になり見学会があり、それは「行ってもいい」と言われたので参加しました。
行ってしまえば、こっちのものです。
そのまま入団してしまいました。
けれども、最初の頃は「人の頭を棒で叩くなんて出来ないわ」と言っていました。

人のいないチームでしたので、高学年になると試合に出ていましたが、いつも1回戦しか勝てませんでした。
優勝したのは、合同合宿の時の親睦会でのジャンケン大会だけです。

当時は、近隣のスポーツ少年団が集まり合同練習もありました。
その主催のチームの先生は、その方が来られるだけでピリッと現場の空気が引き締まるほどで、子どもたちは少し怖がっていました。
練習の後、子どもたちはその先生に挨拶に行くのですが、帰り道ニコニコしているさくらもちに母が「怖くないの?」と聞きましたら
「怖くないよ。あの先生にっこり笑った顔がかわいいの!」
と言っていました。
そんなさくらもちは、試合では勝てませんでしたが、指導してくださる先生方にはかわいがられていました。

当時所属していたチームの先生がご夫妻で来店されていたのでした。
なかなかお声かけ出来ず、お会計の時を見計らってレジに入りました。
名札を見せてアピールしましたら、奥さんに
「あーさくらちゃん!大きくなったわね」と言われ
さくらもちはうれしくなりました。

その指導部長の先生の言葉の中に
「暑い時や寒い時稽古に来るのは嫌かもしれない。クーラーの効いた部屋でテレビ見ながらお菓子食べてる方が楽しいに決まっている。けれども、稽古に来たら、来た分だけ得るものがある。そのことを忘れないで欲しい」
というものがありました。
さくらもちは、時々この言葉を思い出していました。

小学生の頃のスポーツ少年団では、卒業生の中学生や高校生、大学生が夏休みなど小学生に稽古をつけてくれるために来てくれていました。
小学3年生のマカロンは
「高校生の面は高くて竹刀が届かない!」と悔しがり、本気で一本取りに行っていました。
                          〜つづく〜

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