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マカロン少年体験記〜ファミレス編〜第15話
こちらは調理をすることが好きな高校1年生男子マカロンのファミリーレストランでの接客アルバイト体験記。マカロンとその仲間たちのお話です。
<登場人物>
マカロン ホールスタッフ
ラスク店長
マカロンの家族
クラス担任と副担任の先生
冬休みが近づいてきました。
マカロンの働くファミリーレストランでは『お正月のメンバーに数えられると一人前』という独特の認識がありました。
大人たちは、クリスマスまでにマカロンをもっと育てておきたい、と夏休みの頃から思っていました。
そんなことを知らないマカロンは、社会に出て初めて会った上司がラスク店長だったので店長を慕っていましたし、ラスク店長もそんなマカロンをかわいがっていました。
マカロンの家族はマカロンがラスク店長の話をする度に
「卵から孵ったヒヨコが一番最初に見たものを親と思う、あれと同じね。」
と感じていました。
実際マカロンはラスク店長をみて、大学進学する方向に考えが変わってきていました。
店長は独学でパソコンを学び、業務がスムーズに運ぶよう色々工夫していました。
高校では、2年生になる時に希望者は進路変更してクラスをかわることができました。
マカロンは冬休み前の三者懇談で、調理科から進学コースにかわりたいと担任の先生に伝えました。
マカロンの家族は本人の進みたい方に行けば良いと思っていました。
副担任の先生は調理科の先生だったので、マカロンは事前にそのことを伝えていました。
副担任の先生はとても悲しそうな顔をしましたが、マカロンのことを応援すると言ってくれました。
担任のヨウカン先生は、マカロンがそのまま調理科に上がると思っていたのに、この時その話を初めて聞いたので慌ててしまいました。
「そんなこと言ったってなぁ、進学コースに入って、調理科クラスの教室の横を通った時に調理科のみんなが楽しそうにしてたら気になるだろう?それよりはなぁ、そのまま調理科にいて進学コースの放課後の課外授業に行かせてもらったらどうだ?先生進学コースの先生に言っといてやるから。」続けて
「調理科が好きで入ったんだろ?だったら調理の勉強しながら大学進学の勉強もしたらどうだ?せっかく調理科のみんなと仲良くなったのに、それでいいのか?」
そう言われたマカロンは進路変更するのを考え直しました。
マカロンの担任のヨウカン先生は野球部の顧問でした。
特長のないマカロンのことを覚え切れないのか?朝廊下で会ったマカロンが挨拶しても「おーマコロンおはよう!」と言ったり
放課後マカロンを呼び止める時も
「おーダックワーズ、あのなぁ」と
もはやマカロンとはかけ離れた呼び方をしたりしていました。
授業中は生徒名簿を見ているのか?授業中だけはマカロンと呼ばれていました。
2年生になった時、ヨウカン先生は違うクラスの担任になったのですが、朝廊下で会った時マカロンが挨拶しても、違う名前で返されました。
マカロンは今までの学校生活の中でこんなことは初めてだったので、深く傷ついてそれが怒りになっていました。
名前を覚えてもらえないというマカロンの不満を聞く度に母は
「ヨウカン先生は野球部の先生でしょ?甲子園に行くことで頭がいっぱいでマカロンの名前が覚えられないのよ。でも挨拶は自分からするのよ。」と言っていました。
〜つづく〜
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