日本メンタルコーチ協会:介護の未来を変える挑戦 - 現場の声から見える変革の兆し
はじめに:介護の現場から始まる変革
高齢化社会が進む日本において、介護は避けて通れない課題となっています。しかし、多くの人々にとって、介護は「自分には関係ない」あるいは「まだ先のこと」と捉えられがちです。この認識のギャップを埋め、より多くの人々に介護について考えてもらうため、日本メンタルコーチ協会が新たな取り組みを始めました。
介護申請チェックリストプロジェクト
日本メンタルコーチ協会は、医療福祉の専門家たちと協力して、「介護申請チェックリスト」の作成プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトの目的は、一般の人々が介護の必要性を早期に認識し、適切なタイミングで介護サービスを受けられるようにすることです。
プロジェクトの特徴
多様な視点の融合:医師、ケアマネージャー、精神保健福祉士、公認心理師、看護師、理学療法士、介護福祉士など、様々な分野の専門家が知恵を出し合い、総合的な視点からチェックリストを作成しています。
一般の人々の目線:専門家だけでなく、介護経験のある一般の方々の意見も取り入れ、より分かりやすく使いやすいチェックリストを目指しています。
早期発見・早期対応:介護が必要になる前の段階から、小さな変化に気づけるようなチェック項目を設けています。
継続的な改善:定期的に会議を開催し、現場の声や最新の研究結果を反映させ、常にチェックリストの質の向上を図っています。
医療福祉従事者の協力:垣根を越えた取り組み
このプロジェクトの特筆すべき点は、普段は別々に活動している医療福祉従事者たちが、一つの目標に向かって協力している点です。プロジェクトの会議では、様々な立場の参加者が率直に意見を交換し、互いの経験から学び合っています。
現場の声:多様な視点が交差する場
会議での議論から、参加者たちの多様な視点と経験が浮かび上がってきました。
医師と患者のコミュニケーション課題:ある参加者は、医師とのコミュニケーションの難しさを指摘しました。「お医者さんて偉そうで支配的な人が多い」という発言は、医療現場でのコミュニケーションの改善が必要であることを示唆しています。
介護の現実と理想のギャップ:「今まで元気だった母が突然、介護が必要になってびっくりしました!」という声は、多くの人が介護の現実に直面した時の戸惑いを表しています。これは、事前の準備や情報提供の重要性を示しています。
専門家と一般の人々の認識の差:「私みたいに、いざ身内に介護が必要!となると何からしていいか分からず右往左往する人はたくさんいると思います」という発言は、専門家が当然と思っていることが、一般の人々には伝わっていない現状を浮き彫りにしています。
介護申請のタイミング:65歳以上での介護予防申請について様々な議論があり、介護の現場に立つ人達と一般の人達の介護申請のタイミングに関する認識のズレが浮き彫りになりました。
認知症の早期発見:細田夕子看護師は、認知症のチェックポイントとして「お金をうまく使えない(小銭が使えず、札を使ってしまい小銭が増える)」という具体的な例を挙げ、より実用的なチェックリストの作成を提案しています。
フレイルの指標:体重変化についても具体的な数値が提案されました。「一般的にフレイルチェックだと6か月で、2kg以上の(意図しない)体重減少とされています」という指摘は、専門的な知見をチェックリストに反映させる重要性を示しています。
家族の負担:にいどいかおり看護師は、「自分は認知症じゃない」と頑なに検査を拒否する高齢者の家族の負担について言及し、「ご家族のやり場のない気持ちを、受け止めて適切な方法を具体的に書いてあれば、すごく助かるのではないか」と提案しています。
協力の形
オンライン会議の活用:定期的にZoomを使用した会議を開催し、地理的な制約を越えて意見交換を行っています。コロナ禍での経験を活かし、「800人公式LINEに登録いただいてZOOMを毎週毎週やってきました」という成功例も共有されました。
専門知識の共有:各分野の専門家が持つ知識や経験を共有し、互いに学び合う場となっています。「私、看護師ですが介護のことを全然わかっていなかった!」という声や「私は介護の現場にどっぷり浸かり、介護の情報を伝えることを難しく考えすぎていたかもしれない」「現場で働く人と、一般の人とではこんなにも情報の格差があるんだ!と驚くと共に、私たちが伝えていかなければ!という気持ちが強くなりました」など多くの感想がシェアされ、深い学び合いの場となりました。
看護師、公認心理師からの現場の声を反映させる:日々の業務で感じる課題や改善点を直接チェックリストに反映させています。「看護師が行政から調査が入った時にされる質問をチェックリストに入れましょう!」という具体的な提案が出されました。
多角的な視点の統合:佐藤真紀公認心理師は「それぞれの職種の方からの目線での思いをお聞きでき、とても良い学びと気づきがありました」と述べ、多職種連携の重要性を強調しています。
社会変革への挑戦
日本メンタルコーチ協会の「介護申請チェックリスト作成プロジェクト」は、単なるチェックリストの作成に留まりません。日本の介護システム全体を見直し、より効果的で人間中心の介護を実現するための第一歩となることを目指しています。
目指す変革
介護に対する意識改革:「介護=超高齢者の問題」という認識を変え、介護を特別なことではなく、誰もが直面する可能性のある日常的な課題として認識してもらうことを目指しています。
早期介入の促進:「もっと以前から取り組めたんだ」という気づきを広め、問題が深刻化する前に適切な支援を受けられるよう、早期発見・早期対応の文化を醸成します。
地域コミュニティの活性化:「地域包括センター」の存在を広く知ってもらい、介護を個人や家族だけの問題ではなく、地域全体で支え合う仕組みづくりを促進します。
専門家と一般市民の架け橋:「一般の人にも明確なシミュレーションができるシート作成をしてほしい」という意見を反映し、医療福祉の専門知識を一般の人々にも分かりやすく伝え、情報の非対称性を減らします。
若い世代への啓発:尾花沙樹精神保健福祉士は「いつ起きるか分からない『介護問題』若い内から把握しておく必要がある」と指摘し、若い世代からの介護への意識づけの重要性を強調しています。
具体的な取り組み
包括的なチェックリストの作成:認知症、フレイル、生活機能の低下など、多角的な視点から介護の必要性を判断できるチェックリストの作成を進めています。
40歳以上の特定疾病患者への対応:佐藤真紀公認心理師の指摘により、40歳以上で特定疾病に該当する方も介護申請が可能であることを広く周知する取り組みを行っています。
地域差への対応:新土井かおり看護師が指摘したように、「自治体によって介護認定調査が入るスピードも違う」という現実を踏まえ、地域ごとの対応の違いについても情報提供を行っています。
家族支援の強化:認知症の疑いがある高齢者の家族支援など、介護者のメンタルヘルスにも配慮した取り組みを検討しています。
おわりに:みんなで作る介護の未来
日本メンタルコーチ協会の取り組みは、まだ始まったばかりです。しかし、この小さな一歩が、日本の介護システムに大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
「今日は色んな業界の人と深い話ができてとても参考になりました!このリストを必ず完成させたい!」という参加者の声に象徴されるように、このプロジェクトは単なるチェックリスト作成以上の意味を持っています。それは、医療福祉の専門家たちが垣根を越えて協力し、一般の人々の声に耳を傾け、共に介護の未来を考える場となっているのです。
医療福祉従事者たちの熱意と協力、そして一般の人々の参加。この二つが合わさることで、私たちは真に人間中心の介護社会を実現できるのではないでしょうか?
介護は決して他人事ではありません。
今こそ、私たち一人一人が介護について考え、行動を起こす時がきています。日本メンタルコーチ協会は、この取り組みが、より多くの人々に広がり、日本の介護の未来を明るく変えていくことに挑戦し続けていきます。
医療福祉に従事する仲間を募集中
日本メンタルコーチ協会にはたくさんの医療福祉従事者が集い、知識と経験を分かち合い、様々な課題解決に取り組む土壌があります。
病院や施設の垣根を越えて自由に活動できることを望んでいる方、ぜひ仲間になって下さい^^
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