ミュージシャンのリアル第2回

この物語は最後まで無料で読めます。値段設定は投げ銭と思ってください。

「地方ツアーで出会った恋物語」

僕らミュージシャンは知っての通り地方に巡業をしに行くんだよね。イベントライブやワンマンライブ、CDを出した時にプロモーションに行ったりもする。

地方巡業は僕にとっては無料で旅行できてるようなもんで、とっても好きな仕事の1つでさ、空き時間で名物食べに行ったり、街の女の子眺めて「この街はおっぱいの大きな女の子多いんだなぁ」なんて下衆な統計を密かにとってみたり。

忘れもしない2012年の初夏、僕らはCDのプロモーションの為に大阪でゲリラストリートライブをやるって企画をしたんだよね。演奏直前にtwitterで場所を告知したにも関わらず、何百人も人が集まってくれてストリートライブは大盛況。歩道橋にまで人だからりが溢れて、警察に怒られた時はひやっとしたよ。

計3カ所でやったんだけど、1カ所めにファンです!と話しかけて来てくれた紫色のニット帽を被ったどこか田舎っぽい色白の女の子がすごくかわいくて、好みだった。飲み行こうよ!なんて声かけたかったけど周りに人もたくさんいるしファンをナンパするのも気が引けたってのもあって、後ろ髪引かれながら次の場所へ向かった。

2カ所めの事はよく覚えてないんだけど恐らく難波周辺の川沿いだった気がするな。

そして日も暮れ始めた最後の場所、大阪城公園で僕らはその日最後のストリートライブを開始した。

直前告知なのにまたもや大勢の人が駆けつけてくれて本当に嬉しかったし、俺らこのまま日本一になれるんじゃない?なんて思ったりしたなぁ。そんな甘い世界じゃないってわかるのは数年後の話。笑

演奏も終盤に差し掛かる頃、僕の目に最前列でとっても楽しそうに笑顔で踊ってる紫色のニット帽のあの娘の姿が映った。なぜだかわからないけどあぁ、運命だなって思った。

その瞬間、僕はその娘の笑顔に人生最大級の恋をしたんだ。

演奏が終わりファンサービスの時間が来ると、その娘はまた僕のところに駆け寄り握手を求めた後、目をじっと見つめてきた。本当に都合のいい解釈でしかないのかもしれないんだけど、ニットの君も僕と同じ気持ちなんだなって悟った。

彼女は去り際に一言

「今日はお兄ちゃんと一緒に来ました!」

とだけ言い残して帰って行ったんだ。

僕は、その後ずっとその娘の事ばかり考えてた。もう一度街で偶然出会わないかな?って山崎まさよしみたいにいるはずもないのに梅田の街でキョロキョロとずっと街ゆく人を見回してた。

そして夜になり、もう僕はさすがに諦めてtwitterのリプを見ていた。その時、奇跡が起きたんだよ。

リプ欄にはこんな一言が書かれていた。

「お兄ちゃんと一緒に観に行ったんですがストリートライブとっても楽しかったです!」

続きは次回!!

ここから先は

0字

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?