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散った命の上で乱舞し続けたこの世界

茨木のり子  
73歳の時の作品
 
倚りかからず(よりかからず)

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もやは
いかなる権威にも倚りかかりたくない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立って
なに不都合なことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ

 
19歳で迎えた終戦
それが彼女の感受性を育てた

 

死んだ男の残したものは 森山良子



誰が被害者で
誰が加害者なのかわからぬまま

誰もが被害者で
誰もが加害者だと納得しながら

ただ
散った命の上で
乱舞し続けたたこの世界
その片隅に立ち
命の尊厳を
次の世代に伝えたいと願う

終戦の日に、誰にむけるでもなく


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