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絵を描かない美大生

「いながわさん、絵は描かないの?」
美大出身ですと話すと絶対に聞かれるこの言葉、結構グサっとくる。

普通の人よりは描くと思う。年賀状は絶対自分のイラストだし、息抜きに落書きもする。受験のためにデッサンなどもみっちりやって芸大の一次試験も突破したので世間一般的に見たら下手でもないと思う。

中学高校の頃は死ぬほど絵を描いていた。むしろ授業そっちのけで描いていた。特に漫画を描くのが好きで今読むと小っ恥ずかしい内容の少女漫画が山のようにある。なぜせっかく美大に入ったのに描くことをやめてしまったのか。理由はとても明確だった。

自分より上手い人がわんさかいた。

以上。よくある話だと思う。これは完全に私のコンプレックスの問題でそんなこと無視して好きなようにやっていればいいところなのだが、私の心は折れてしまった。もう一つ理由があるとすれば私がよく描いていたのが少女漫画だったこと…。なんとなくの肌感でサブカルなものの方が地位が高い気がして、恥ずかしくなってしまった。(私は割と美大生にしては王道寄りのものが好きで、そのことにずっと劣等感を抱いていたところがある。いざ社会に出たら私も変な人だったのだが。)

同級生が描いている漫画雑誌「すいかとかのたね」がある。

卒業してもなお描き続けている彼ら・彼女たちは本当に尊敬する。最初の方こそあんまり上手ではない人もいたのだが(ごめん)描き続けているうちにみんな本当に上手くなって…読むたびに私のコンプレックスは若干刺激される笑。私も描き続けていればこんな風になれたかな〜って。

ただ絵から逃げたことによって私は映像とかアクセサリー作りという分野にも出会うことができたので今こうなったことに後悔はしていない。「続けて努力ができること」は才能の一つだと思う。今やっていることだって私より上手な人はたくさんいる。それでも続けられるのは私に才能があるからだと思う。少なくとも絵を描くことよりは。あと単純に大人になってハートが強くなったのもあるかな。歳をとるのも悪くない。

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