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ミドマガWeekly番外編 『僕たちがエールを届けながら考えていること』 【vol.3】

順調に大きくなるクラブ。関わる方も多くなりました。
熱心に応援する人・家族ぐるみで楽しむ人・支えるスポーツを実践する人。
となりの人がどのようなことをしているのか。
身近なコミュニティがどのような取り組みをしているのか。
見えづらくなってきたのも事実です。
素晴らしい活動や、多くの方に知っていただきたい考え。
そんな モノ や コト を不定期に紹介していきます。

『 僕たちがエールを届けながら考えていること 』

今回は、コールリーダー 新関さん と リズム班 古池さん のお話を皆様へ。
広島戦からの投入された「エドゥアルド選手」のチャント選考会にお伺いしてきました。リーグ戦 ホーム開幕となった浦和戦の翌日にあたりましたので、あの歌の意図などもお届けします。コールリーダーとリズム班が大事にしていることをお伝えできればと思っていましたが、途中から同席者も加わり、豪華メンツとなったインタビューをどうぞ。(取材日:2019年3月10日 )

■松本山雅に関わる切っ掛けと昔話

―― さっそくですが、よろしくお願いします。いまさらにはなりますが、ULTRAS MATSUMOTO に関わった経緯から教えていただけますか?

古池 えーと。14年前になりますね。サブグラウンドで当時、北信越2部の松本山雅が試合をしていて、その時に声をかけられたんですね。ドラム経験者と言ったら、叩いてみてと言われて。サッカーで来たわけではないところで誘われて、それからずっと叩いています。
今は、スタジアムで一緒に戦う皆さんが、リズム隊のリズムに乗って少しでも大きく声を出せられるように、選手を少しでも鼓舞出来るように、UMが示してきたものを自分が行動して守っていきたいと思っています。モチベーションがあるうちに、できることはやりたいですね。

―― いきなりタイコ叩けってすごい勧誘ですね(笑) 抵抗はなかったんですか?

古池 全くなかったですね。音楽が好きだということもありましたし。最初はアウェーなんて全然行きませんでしたから。2007年くらいからですかね、行くようになったのは。それまでは、ごめんなさいをしていました。アウェーに行くとスネアがないって言われるようになっちゃって(笑)。

新関 僕は埼玉にいたんです。西武ライオンズの試合に通っていました。少年野球をやっていて、ライオンズファンクラブは小中学生無料だったんで。そこで、その時大学生だった、現在の事務局長に出会いました。
中学二年生の時こちらに来て、そのタイミングで、Jリーグを目指しているクラブがあるから見に来ないかと彼に誘われて。それが始まりですね。2006年くらいからだと思います。

―― 野球からサッカーに切り替えたってことです?

新関 野球は、やっていたから観ていました。野球もあれば、サッカーもあるのが埼玉。野球に特別な熱を持って応援していたわけじゃないです。身近にプロスポーツがあったってことです。無料でしたし。
「アマチュアからJリーグを目指していく」って言うのが、当時なりに面白いと感じたんだと思います。埼玉には野球もサッカーもありましたけど、出来上がったものでしたから。
あとはいろいろと紹介してくれた人が良くて、その先の環境も良かったのだと思います。

―― 野球のスタイルが沁みついているようなところってあるんです?

新関 なくはないでしょうけど、こだわっているようなところはないです。野球は野球。サッカーはサッカー。応援にしても、表現の方法が違うだけだと思っています。

―― リズム班の最初ってどんな感じだったのですか?

古池 最初は現 TEAM VAMOS 代表の豊岡さんと組んでいました。メンバーの入れ替わりがあり、二代目コールリーダーの小原くんがスネアを入れたいと言い始めて。そこでスネアに自分が移籍して、小松くんがはいってきました。しばらくは3人体制で回していましたね。

―― 小松くんはタイコから入ったの?

小松 そうです。

古池 小原くんが東京へ行くことになり、小松くんがコールリーダーに。そのあとに何人かの担当者を挟んで新関くんがリズム班に入ってきたんです。

―― コールリーダーになるには、リズム班を経ないといけないんですかね(笑)。 登竜門的な。

小松 小原くんがコールリーダーをやっている頃、僕はタイコを叩いていましたが、チャントの選択をすることもあったんです。次の曲を選んだり。彼なりの考えがあったんだと思います。広げていこうとしたのか、育成を考えていてくれたのか。

――予定になかったですけど、会話に入ってきたので(笑)。小松くんの切っ掛けも教えてくださいよ。

小松 今はクラブスタッフになっている笹川さんと同じです。信州大学の橋本ゼミ経由です。山雅のボランティアが足りないのだけど、興味がある人はいないかって。2005年のGW過ぎあたりです。松本山雅の存在は知っていました。大学にビラがあって。辛島啓珠さんが監督で鏑木享さんがいる。アルウィンって専用スタジアムもあって、Jリーグを目指している、ってことで気にはかけていたんですよ。
Jリーグエキサイトステージっていうスーパーファミコンのソフトでも、辛島さんを使っていました(笑)。 Jリーグチップスのカードでも持っていたあの辛島さんだ、みたいな(笑)。

新関 キラキラカード?(笑)

小松 普通。ぱっつぱつの恰好をしてた(笑)

――本人に伝えた?(笑)。 喜んだと思うよ(笑)。
――リズム班とコールリーダーの系譜って、なんだかんだでクロスしているんですね。

古池 コールリーダーとリズム班は切っても切れない、一蓮托生ですからね。良い関係を作れています。

■ ホーム開幕 浦和戦

―― こちらの公開は、川崎戦の前になる予定なので、新鮮味はなくなっちゃいますが、リーグ戦のホーム開幕となった浦和戦の事を聞かせてください。スタンド的にどういう感想を持ちましたか?

新関 開幕でしたからね。期待感もあってスタンドの雰囲気もよかったと思いますが、風が強い状態でしたので、ピッチにどう伝わっていたかは気になるところです。風上に立てたこともありますし。チケットも完売した状態でしたから、いろんな人が見に来てくれていたのだと思います。次のホームからが大事になりますね。

古池 試合直後に色々な意見が届けられました。応援したいと思う人が、声の届きにくいところになってしまい、思うように応援できないもどかしさ。Howlingに任せるだけでなく、リズム班としても外にも盛り上げを伝えていくことを考えていかないといけませんね。

小松 珍しく信濃の国をやってたけど、何か意図はあったの?

新関 ちょっとしたエピソードがあるんです。
選手アップ前のタイミングで小学生くらいの子が来ました。それだけでも勇気がいることだと思うんです。ここに来るということは。選手アップ前ですしね。耳を傾けると、お願いがありますって言うんです。信濃の国を歌ってほしいと。「○○を歌って欲しい」というのは、良くある話なんですけどね。
どうして?ってきくと、僕のおじいさんとおばあさんが来ています。信濃の国を歌いたがっています、って言うんです。もしかしたら、言わされて来ただけなのかもしれませんけど、ここに来るだけで勇気がいること。小学生が思いを伝えてきた。ホーム開幕戦で、チケットも完売。この子のおじいさんやおばあさんの様な気持ちの人がもしかしたら他にもいるのかもしれない。今日は、そういう方が多く来ているのかもしれないと思いまして。
自分の中で、あれを歌って・これを歌って、というのはあまり聞かないようにしています。カラオケじゃないですし、意図のない選曲はありません。毎回、何かしらの意味を込めています。完売した開幕戦、いろんな人が見に来て、関わっている。勇気をもって伝えに来た小学生がいる。
今日くらいはそういう日にしてもいいのかなと(笑)。急遽受け入れることにしました。

―― 試合前に描いていたものじゃなかったんですね。天皇杯では良くやりますが、リーグ戦のホームでは初めてですか?

小松 ヴェルディ との煽り合戦でやったり、隣県との対戦ではやったりしたことがありますね。それにしても久しぶりだったと思います。

―― これから一杯来るぞ、少年からのお願いが(笑) 行列ができる(笑)

新関
 開幕戦でチケット完売という背景も大きいです(笑)。この日くらいいいかなって。

■ 今年、ULTRAS MATSUMOTO が大事にしていくこと

―― ようやく、本題なんですけれども。今日は、エドゥアルドのチャント選考会でしたが、新しいコールの採用も決まりました。新しいコールというのは、久しぶりのような気もしますし、拍手・手拍子を強く意識したものになっています。また、ホーム開幕戦で配布された ULTRAStyle ( pdf )では、「声」と「手拍子」にこだわることが書かれていました。この辺のことを教えてください。

小松 拍手・手拍子に関しては、地域リーグの頃から推しています。「日本一、拍手に満たされたスタジアムへ。」と銘打って展開してきました。始めたのは2009年。松本で地域決勝が行われることとなり、ホームで出来ることとなった時に、何が一番の武器となるかを考えて手を打ちました。

新関 翌年に甲府にパクられましたよね(笑)

―― あれ、フロントに進言した方が「すみません」って言ってきたから、忘れてあげなさいよ(笑)。

新関 2009年以降、ポイント・ポイントで訴えることはしてきました。段ボールを使ってメインやバックに出向くことをしてきています。ただ、継続的な活動をしてきたわけじゃなかった。今年はのっけから1年間推していこうと思っています。多くの方が自主的にやってくれるのが理想ですが、そこに届くまで、ずっとやっていけばいいと思っています。来年になったって、再来年になったって。
誰でも手拍子ができるところまでは、できていると思っています。頭の上で打てるようになる・タイミングや意識的な部分を含め、より伸ばして行けたらと考えています。

小松 拍手・手拍子は、ホームで闘う時の最大の武器です。
2009年にPMAを投入しました。前奏部分であえてドラムを入れず、手拍子にしています。

ゴールキック時に手を前に出して振る人が多いのですが、有効なものに変えたいと思い、手を叩くように変えていった経緯もあります。手を叩く機会を増やしていきたいなと考えました。
あとは、アップ時のタイコに合わせた手拍子ですね。アップ前に計画的にやったのは、僕らが初めてだと思います。

古池 あの時間が好きだと言ってくれる人は、非常に多いです。
2013年の最終節、愛媛戦から始めたんですよ。朝来たら、急にやりたいって言いだして。こういうことをやりたいんです、って。

小松 古池さんのストレス発散にもなるかなって(笑)。 リズムは自由にやってくださいとオーダーをしました。

― 山雅サポ史に残せる発明だと思っていますよ。あの熱量は魅力があります。とはいえ、最近は、タイミングも難しくなっているんじゃないですか?

新関 選手のあいさつに合わせて、「オーー、オイ!」ってやりたい人もいるんでしょうけど、そんなにこだわってはいません。個々が声援を送ってくれれば気持ちは届くと思っています。アルウィンは選手との距離も近いですし。
そうはいってもタイミングが難しくなったのは事実です。フィジカルコーチの考え方で、大分変わってくると思うんですけど、エルシオコーチの時は、アップエリアの様子を見ながらできたんですが、今はそうはいかなくて。様子を見ながらやってはいるんですが、なかなか難しいです。選手優先は当たり前ですので、うまくやっていきたいなとは思っています。

―― 最後に、新しいコール 「 松本山雅 オイ! 」 の意図と、ここまで読んでいただけた方へお伝えしたいことがあれば教えてください。

古池 立場的に、多くの方の意見を聞くことがあります。そのなかで、お年を召された方から、歌物はしんどいというお話を聞きました。それならば、手拍子で参加してもらえるものを増やせないかと考えました。
手拍子や手バモリ(手を扇ぐように振る動き)の揃え方を研究しに、他クラブへ視察に行ったこともあります。他とはスタジアムの違いもありますから、すべてが参考になったわけではありませんが、得られるものもありました。
スタジアム全体で手拍子をそろえるのは、なかなか難しいことだと思います。ですが、今のアルウィンであれば、このレベルのものであれば揃えられると考え、投入を決断しました。

新関 万能型のコールだと思っています。いままでにないパターンのものですし、いろんなところで使っていけるイメージがあります。
チャントやコールは長い目で見て育てていきたいなと思っています。昨年は「頂」というチャントを投入しましたが、シーズンを戦って最後に J2 の頂を掴んだことで、意味や物語が込められたものになりました。「頂」は「雷鳥は頂を目指す」のダンマクを出し続けることと同じ志をもって、J1 でも歌っていきたいですし、今回の新コールも同じように、みんなで育てていき、長く愛されるものにしていきたいです。

小松 久々のチーム単位での新コールの投入となります。皆さんに受け入れてもらえたら、ありがたいです。
最近は、どういったものを投入すると期待した効果が出るのか、想像するのが難しくなってきました。新しいものを投入すると、様々なご意見をいただき、時には叩かれることもあります。多くの方に受け入れてもらえるように、議論を重ね、慎重を期して対応をしていますが、うまくいかないこともあります。ウルトラスのメンバーもより良くすることを目指し、勇気をもって新しいチャレンジをしていることは、ご理解いただければと思っています。もちろん、僕らも受け入れてもらえるように、努力していきます。

古池 一人一人の拍手はスタジアムの雰囲気を大きく変え、強力な武器となります。歌物のチャントは潤沢にある事から、この拍手、そして手バモリを主においたものを投入します。
拍手は頭の上で。『マツモトヤーマーガ!』『オイ!』は叫ぶように。スタジアム全員で合わせて大きな武器としましょう。

新関 スタジアムの一体感が作れることを期待しています。是非皆さんも雰囲気を作りに来てほしいです。一人一人が拍手で作り出す、スタジアムの空気感。みんなでつくるものだと思っています。スタジアムに来たみんなが一つになれれば、声にしても拍手にしても、選手の後押しとなり、勝たせることに繋がってくれるのではないかと思っています。

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新しいチャントやコールを覚えようと、音源をリピートしていると、新しいシーズンが始まったなと思います。季語みたいなものですかね。

こうなってほしい、という、期待を持って投入したチャントが、敗戦や失点のスケープゴートになってしまっている。受け入れていただけるものをリリースする責任は送り出す側にありますが、理不尽な理由で評価がなされないのは、どうにかならないものかと考えていました。
過去、送り出す側から、きっちり意図をお伝えしてこなかったのではないか。そんな反省から、今回のインタビューを行いました。
多くのファンやサポーターに愛され、クラブや選手が紡ぐ歴史と一緒に育って行って欲しいと願っています。

古池さんのお話にありました、今回の投入意図。

歌物はしんどいというお話を聞きました。
それならば、手拍子で参加してもらえるものを増やせないか。

インタビュー公開前に、こういう感想をいただけているのは、大変うれしいです。

そうそう。この日に決まった、エドゥアルド選手のチャントにコール。これも、なかなか試されている感がします。ホーム 川崎戦までに復習しておきましょうか。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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