【過程公開】イラストを半年間本気で練習した話
こんにちは。Mido(ミド)と申します。普段はIT系の会社で働きつつ、空いた時間で映像を制作しています。
何かを作るというと普段は映像制作がメインなのですが、あるきっかけがあり半年前からイラストを本腰を入れて練習し始めました。
この記事ではその練習の過程や使用した教材などをお伝えしたいと思います。
今イラストを練習している方や、これから練習を始めようとしている方たちのお役に立てれば嬉しいです。
また、本記事はかなり長くなりますので、興味のある場所から読んでいただければ幸いです。
はじめに:どうして練習過程を公開するのか?
今の世の中にはイラストを練習するための教材がたくさんあります。
Youtubeには無料の高品質なイラスト講座動画がたくさんありますし、書籍でしたら、デッサンはもちろん、服や表情、パーツなど細かいところまで解説したものがたくさんあります。
ですが、いざ絵を描こうと思っても私のようなイラスト初心者は始める前からどの教材を選べばいいのかサッパリわからないという壁にぶつかります。
「自分のレベルを知ろう!」と言われてもわからないし、練習過程のマップみたいなものが欲しいと何度も思いました。
そこで、私が実際に半年間行った練習の過程を公開し、それぞれの場面で「こういう教材が良かったよ!」という情報を残すことで、今まさにイラストを練習している方やこれからイラストを始めようとしている方の役に立てるのではないかと思いました。
(そして、あわよくばイラストを作っている友だちが欲しいなどとも思いつつ……)
本記事では
・スケジュールの組み方
・モチベーションの管理
・どの場面でどの教材が最も効果が高かったか
などを可能な限り詳細にお伝えしようと思います。
前提①:どういう状態からイラストを練習し始めたか
まず練習の過程の前に、私がどういう状態からイラストを練習し始めたのかを公開しておきます。
私ですが、
・20代中盤の社会人
・大学は情報系。一応、美術部所属だった
・イラスト自体は1年に1回描けばいい方
という状態でした。
「なんだよ!美術部の人じゃん!」と思った方もいらっしゃると思いますが、作っていたものは下手な油絵や立体程度で正直作っていない時間の方が多かったです。部室ではソシャゲばかりやってました……
美術部自体も漠然と興味があっただけで大学が初でしたし、それまで絵を描くといっても教科書の落書き程度のレベルです。美大や専門学校などへの進学は考えもしませんでした。
これは個人的な意見でしかないのですが、学歴や年齢など関係なく、始めたいと思った時が始めるべき時だと思います。
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前提②:半年前のレベル
タイトル画像にも載っていますが、こちらが半年前、これ以上はないと本気で描いたものです。
ウマ娘プリティ―ダービーがリリースされ一気に広まり始めたころでしたので、流れに乗ってトウカイテイオーを描きました。
……が、ご覧の通り特別に上手いという感じでもなく、なんとも反応に困る感じです。
「本気でイラストを始めるのであれば」と思って参考資料などを色々用意して、キャラクターの体や背景まで手を伸ばしていますが、当時でも何とも満足のいかない印象がありました。
この時点である程度描けているという意見もあるかもしれませんが、これが商品になるかと言われれば、決してならないということはわかると思います。
●このイラストを描いて何がしたかったのか?
とにかく、現在の自分が抱えている課題を明確にしておく必要があるというのは感じていたので、とりあえずイラストを一枚完成させて、課題が何なのかをはっきりさせようとしました。
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練習の流れ①:本気で絵を描く
早速練習の過程についてなのですが、とてもシンプルです。
1. 本気で1枚、イラストを完成させる
2. ノートに反省点をまとめる
3. 反省点を基に、新しいイラストを完成させる
以上です。
デッサンや模写はしません。
理由としては、
1. デッサンはともかく、模写はSNSなどに投稿できない場合が多いから
2. デッサンや模写はつまらないから
3. デッサンや模写は課題がハッキリしていないと意味が薄いから
の3点です。
SNSに投稿できないというのは権利的な問題があるからです。
「絵が上手くなりたいけど、とりあえずデッサンや模写からですか……?」
という言葉をよく聞きますが、これはスポーツなどに変換して考えると割と分かりやすい気がしていて、
「野球が上手くなりたいけど、とりあえずバッティングからですか……?」
「水泳が上手くなりたいけど、とりあえずクロールからですか……?」
みたいなかなり漠然とした質問と似ている気はします。
正直こう聞かれて「野球とか水泳の何を上手くなりたいの?」「どの大会に出るとか決まってるの?」みたいな質問がポンポンと出てくると思います。
もっと細かく分けて練習を考えた方がいいということです。
絵でも全く同じで、例えば「観察する力を伸ばしたいからデッサンをする」というような目的意識があるのとないのとでは伸びが全く違うと思います。
……と、偉そうなことを言ってはいますが、私の練習方法がシンプルなのは「半年前の私が、自分が抱えているイラストの課題について何もわかっていなかったから」です。
ですから、デッサンや模写は練習のための練習になってしまうことは目に見えていましたし、そもそもやる気が全く起きませんでした。
そのため、まずは課題が何なのかを判明させるために本気でイラストを完成させ続ける必要がありました。
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練習の流れ②:課題をノートにまとめる
私は学習した事柄を紙のノートにまとめておくことが多いです。
理由はPCやスマートフォン上でテキストファイルやメモなどにまとめても見返さないからです。
実際に記録していたノートはこちらです。
現在6冊目ですが、こうやって成果が目に見えやすいのも紙のノートが好きな理由です。
このノートに記録していることと理由は以下の通りです。
1. pixivへの投稿日
日時でその時の流行などが分かる
2. pixivでの閲覧数、いいね、ブックマークの数
そのイラストがどの程度見てもらえたのかで出来を評価する
3. 色合いの傾向や背景の有無など
どういう絵柄が良いのか分からない時に、絵柄を探るために記録する
4. 良かった点
作品から良い点を見つける癖をつけるために書く
良い点がない場合は成長がないことがほとんどだと思います
5. 課題となる点
イラストを描いたことで見つかった課題を整理する
描く前に解決したかった課題がどうなったかを書いても良い
6. 課題を解決するために必要だと思うこと
課題を解決するために具体的にどういった知識や技術があれば良さそうなのかを書く
誰の作品のどの部分が参考になりそうか、どういう事柄を扱った教材があればいいのかを整理する
例えば、前提②で出した半年前のイラストでしたら、ノートには投稿の1週間後くらいに以下のような内容を記録していました。
1. pixivへの投稿日
2021年3月29日投稿
2. pixivでの閲覧数、いいね、ブックマークの数
閲覧:483,いいね:37,ブックマーク:50
3. 色合いの傾向や背景の有無
色合い:カラフル、色強め
背景:あり
4. 良かった点
ある程度背景を描いていて、コースによって顔に導線が作られるように設計した。
初めての投稿にしては伸びた方かもしれない。ビビッドで目につきやすい?
5. 課題となる点
キャラクターの絵合わせとして髪の長さが違う。
髪の塗り方が全然わからない。
どういったイラストが評価されるのかがハッキリしていない。
6. 課題を解決するために必要だと思うこと
キャラクターをもっとよく観察する。
髪の色塗りはYoutubeなどで講座動画を探す。
イラストの評価について、「状況」を描けているか、彩度はどの程度なのかという評価軸を持つようにする。
記録するときは、自分が描いたイラストをプリンターなどで印刷したものを一緒に張り付けると良いかと思います。
最初は恥ずかしいかもしれませんが、自慢でもしなければこのノートを見るのは自分だけなので大丈夫です。
ノートの書き方が分かったので、次から実際にどういった教材が役に立ったのかを1か月ごとに見ていければと思います。
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最初の1か月:髪の塗りが分からない
事はじめとして本気で描いたこの最初のイラストはラフもそこそこにしか描いていない状態でした。大体こんな感じ↓
このイラストを描いて最初に見つかった課題は以下の通りでした。
1. キャラクターの絵合わせとして髪の長さが違う。
2. 髪の塗り方が全然わからない。
3. どういったイラストが評価されるのかがハッキリしていない。
ご覧の通り、髪に対する苦手意識が強いように思えます。
3番目については抱えている方も多い問題だと思いますが、これは枚数を描いてある程度分析をしないとサンプル数が足りずどうしようもないので、一旦おいておくことにしました。
この時に一番役に立ったのはこちらの動画でした。
ももいろねさんによるイラスト講座動画のシリーズで、他にも目や肌の塗り方などのパーツごとに丁寧に解説をしてくださっています。
ツールはSAI2ですが、使用しているブラシや合成モードが基本的なものばかりなのもありがたく、クリスタやPhotoshopでもすぐに取り入れて練習することができます。
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また、こちらの動画も参考にさせていただきました。
こちらはまさるドット子さんによる髪の塗り方講座です。
特に髪の影塗りやハイライトの配置について、どういった工程が必要なのかを丁寧に解説してくださっています。
特にライティングの工程や空気感の演出の点でお世話になりました。
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自分の求めている絵柄アニメ塗りで、ちょっと違うかな…という方はこちらもオススメです。
言わずと知れたお絵描き系ユーチューバーのさいとうなおきさんによる髪の塗りの講座です。
個人的にはご本人がYoutubeを始める前から名前を知っていたので、講座動画などを投稿されていることを知ったときはすごく驚きました。
この動画では、
・髪の影のディテールをあげていくとどうなっていくのか
・影色による演出方法
などの視点を獲得することができました。
動画内で比較検討の工程があることによって、
自分の絵柄に合わせるのであればどうしたらよいかを考えるアドバイスとして受け取ることができます。
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また、髪の塗りに関して最後にもう一つ絶対にオススメしたいのはこちらの動画です。
ののまろさんによる髪の塗り方の講座です。
この動画は半年たった今でもかなり影響を受けている動画で、特にハイライトと2影の塗り方はこの動画の考え方をかなり活用させていただいています。
髪の塗り方については実を言うと半年たった今でも色々模索はし続けていますが、紹介させていただいた動画は何度も見返して練習をしています。
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2か月目:肌と服の影の塗りがわからない
2か月目の最初の時点では「どうやら状況がハッキリと分かるような絵作りをした方がよさそうだ」ということを感じていました。
こちらは4枚目ですが、そういった課題に取り組もうとしていることがわかります。
確かに状況を伝えようとしていますが、この絵で新たに以下のような課題に気づきました。
1. グローが邪魔で顔が明るすぎてのっぺりしている
2. エアブラシで顔の明るさを調整するのは避けた方がいい
3. フィルターでごまかそうとしていること
当時は主に明暗差に関する課題があると考えていました。
(今見ると、各パーツのサイズがあっていなかったり、手が生々しすぎて気持ち悪かったりと、もっといろいろ課題はありますが……)
明度差は明るい部分と暗い部分のコントラストをどう設計するかという問題なので、2か月目では影に関する練習を取り入れることにしました。
ちなみに、この絵を描いた時に感じていたのは以下の2点でした。
1. 肌の影塗りが分からない
2. 服の影塗りが分からない
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この課題の解決にはまず分析が必要でした。
1. 肌の影は何色が多いのか?
まずわからなかった点は、影にはどういった色を使うのが適しているのかということでした。
そこで、Twitterやpixivに投稿されている良いなと思ったイラストを拝借して、スポイトで影の色を取ってみることにしました。
【注意!!!】
ここで入手したイラストをトレースして自分の作品に使用したり、手を加えてネット上などで公開したり、そのまま頒布したりするような行為は決してしないようにしてください。著作権侵害となります。
私の場合は分析に使用したのは8枚と少なめでしたが、塗りや彩度のパターンに合わせていくつかイラストをピックアップして色を調べました。
最初は同じようなものなどないと思っていましたが、調べてみると面白いことにちゃんと傾向がありました。
まず肌の影ですが、
1影はこの付近
2影はこの付近
自分がいいなと思うイラストはそのほとんどが、上記の画像の色の付近で肌の影色を塗っていました。
もちろん夜や水中のシーンだとライティングの影響で色は変わってきますが、ちょっと調べるだけで共通の色使いをしているというのはとても面白い発見でした。
また、全体的な影の選択では、
濃い影になるほど色相環での位置は紫に近づき、色はそれより1つ明るい色から右斜め下にある色を取っている
ということが分かりました。
文字で見るとわかりづらいですが、この内容を解説してくださっている動画としてはこちらがあります。
焼まゆるさんによる色の選択についての講座動画です。
個人的には色の選び方の講座動画ではトップレベルにわかりやすい内容でした。今でも教訓にしています。
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また、色使いはわかってもブラシをどう使って塗るのか分からないとうまく塗れません。
これは私が水彩塗りのイラストが好きだったからというだけなので、絵柄が違うとあまり参考にならないかもしれませんが、私はこちらの動画の方法を活用して今も描き続けています。
同じく焼まゆるさんの動画ですが、私の場合はこの動画で「どうやって塗ってるの?」という疑問が全部解決しました。
正直、ここで紹介した2本の動画の内容を忠実に実践して練習するだけで絵が格段に上達します。数千円もするような「~の塗り方」みたいな本を買わなくても良くなってしまったというのがありがたすぎます……(それでも本は好きなのでちょくちょく買っていますが……)
もちろん、より細かいところで違いを出したいなどの思いがあればイラストを完成させ続けて自分に合った塗り方を探す必要はありますが、基本的な部分はこの2つでカバーできてしまいます。
本当に良い時代です。
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3か月目:構図がわからない
さて、3か月目に入り、最初に描いた絵はこちらです。
正直言うと、この時点でかなり上達したと思っていました。
この頃からラフの重要性に気づき始めていて、ある程度しっかりとラフを描くことを意識しています。
こんな感じのラフを作っていました。
この絵でも良かった点と課題点をまとめています。
【良かった点】
1. ラフをある程度までちゃんと準備したこと
2. 顔のバランスに違和感があまりない
【課題】
1. 手の書き方が分かっていない
2. 肩回りがガッシリしすぎている
3. 髪の質感やディテールが上手く描けていない
4. 表情やポーズが硬い
当時の視点でまとめたものはこんな感じでした。
大体がバランスやポーズに関係する課題になってきています。
この時点では塗りは安定しないものの、どういう工程で塗るというのが段々と固まってきている段階で、ラフの重要性も理解し始めてきている頃です。
そこで、課題を「どうシチュエーションやポーズを設計するか」という部分に設定して、意識して絵を描き続けることにしました。
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この課題を解決するために一番役に立ったのはこちらです。
よー清水さんの「絵がふつうに上手くなる本」という本です。
個人的には絵をメインとした書籍では5本の指に入るくらいの名著でした。
こちらは絵の技術兼ビジネス本ではあるのですが、この本で本当に勉強になったのは「テーママップ」という概念でした。
詳細は是非とも本を読んでいただければと思います(ダイレクトマーケティング)が、簡単に言うと「絵に共感してもらうためのテーマの作り方」がしっかりページを割いて書かれている点が素晴らしかったです。
シチュエーションやポーズは、どういった絵を描きたいかという根本のテーマがあると自然と固まってきます。
「どうシチュエーションやポーズを設計するか」という課題を設定した当時の私には、「何をどう描いて、どう感じてもらいたいのか?」という視点が全く足りていませんでした。
イラスト表現の主軸を決めるための方法を教えてくれたこの本には感謝してもしきれません。
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そもそもの構図のお話ですが、実を言うと構図に関連した動画ってあまりない気がします。(探していないだけかもしれませんが……)
パッと思い出したもので印象に残っているのはこちらでしょうか
さいとうなおきさんの初心者講座の構図の回です。
タイトル通り、初心者向けの基本的で便利な構図について解説をしてくださっています。
動画中で出てくるキャラクターは頭身が低いちびキャラですが、頭身が高くなってもこの構図法はもちろん使えます。
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より構図について細かく知りたい場合は、やはりしっかりとまとまっている書籍がお勧めです。
私が今でも名著だと思って人にもオススメしている本は以下の2つです。
まずは秋田麻早子 著「絵を見る技術」です。
本の内容としては、ガッツリ美術館で観るような絵画の技法などのお話なのですが、デジタルイラストにもしっかり応用できます。
画面の引力や構造線、ラバットメント、ルート矩形など、画面の設計に使える要素が盛りだくさんになっている素晴らしい本です。
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続いては、
グスタポ・メルカード 著「filmmaker's eye 映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方」です。
私自身がそもそも映像を制作しているので参考にしている部分もありますが、画面にどうモチーフを配置するのかなどの構図の話がしっかりとページを割いて解説されている上、「イメージシステム」という概念について日本語でしっかり読める珍しい書籍だと思います。
こちらは連作や漫画などを制作する方には大変オススメです。
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また、この頃にpixiv プレミアムに登録しました。
このような有料のサービスは手が出しづらいと思いますが、私の場合、登録に踏み切った理由はこの4つです。
1. 人気順ランキングで良いイラストに出会える機会が増える
2. 予約投稿のおかげでスケジュールが組みやすい
3. アクセス解析でどういった層に見てもらえているのかがわかる
4. pixiv senseiが使える
この決断によって参考資料の収集や分析が捗るようになり、練習効率が上がったと感じています。
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4~5か月目:「絵で伝える」を意識して描き続ける
さて、今まで1か月ごとだったのに突然まとまったのはなぜかというと、
4~5か月目はずっと同じ課題を抱えていたからです。
もちろんそれぞれの絵に対する細かい課題はあるのですが、すべてに共通する課題のテーマはこの「絵で伝える」でした。
「絵で伝える」って何だよという話ですが、難しい話ではなくシチュエーションの設計を通して、「どういう状況なのか」を伝えるということに重きを置いていました。
この期間ではテーママップを作り、ラフで画面をどうするかを時間をかけて考え、わからないものは資料をしっかり見るということをとにかく繰り返しました。
丁寧に準備をして、イラストに向き合うということを重視した結果、
FGOの2部6章の妖精騎士ランスロットを描いたこちらのイラストで、pixivの閲覧数が初めて3,000を超えるなど、目に見える成果が出ました。
この期間はとにかく制作するイラストすべてに初めて描くものを選択するなどして、積極的に新しい事柄に挑戦するように意識しました。
ちなみにこのイラストの良かった点と課題点はこんな感じです。
【良かった点】
1. エフェクトに挑戦できた
2. 動きやシチュエーションなどをしっかり考えられた
【課題】
1. 顔のバランスと目線がおかしい
2. 様々な角度から見た機械的なパーツを上手く描けていない
3. より豊かなエフェクト表現を目指す必要がある
その後、本業が猛烈に忙しくなって一時期絵のクオリティが下がりまくる闇の時期がありましたが、それでも諦めずに絵を描き続けました。
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6か月目:突然「絵が描けるようになった」と感じる
さて、ついに6か月目です。この直前までかなり本業が忙しくなり絵にかけられる時間が激減していましたが、その時は突然来ました。
当時の絵はこちら
月姫リメイクが発売するということで記念にと思ってイラストを描いていた時に本当に突然、今の自分が求める絵に限りなく近いものが描けるようになりました。
よく「絵は突然伸びます」という説を聞いて、「そんなバカな」などと思ったりしていましたが、アレって本当っぽいです。
どういうことなのかを考えましたが、私の場合はどういったイラストの作り方が自分に合っているのかが分かったという状態だと思います。
この絵でも明暗差や背景のディテール、奥の腕から肩にかけての体の形、服のシワなど課題がたくさんあるのですが、顔などは満足できるものが描けるようになった瞬間でした。
ここからは確変みたいなもので、絵を描くのがどんどん楽しくなってきます。
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現在
半年間、毎週1枚ずつ絵を完成させ続けることができました。
pixivに投稿を始めた当初はせいぜい続いて1か月くらいまでだろうと思っていましたが、半年間続けるという最初の目標を達成できたのがとても嬉しかったです。
毎週投稿すると、ステータスでお知らせしてくれるのが嬉しいですね。
pixivに投稿を始めた半年前の自分との違いを確認する意味も込めて、ウマ娘プリティ―ダービーのトウカイテイオーをもう一度描きました。
半年前にテイオーを描いた時はラフもボロボロでしたが、今ではラフから線画までの工程に一番時間を使うようになりました。
ちなみにこの絵のラフはこんな感じ↓
工程は下記のような感じで進めています。
1. 資料の収集
2. 大ラフ
3. 下書き(上のモノクロの画像)
4. 線画
5. 塗り
6. 線画上から塗り
7. 色トレス
8. 加工(主にグラデーションマップとノイズの追加)
絵を描き続けた結果どんどんと目が肥えていき、この絵でも課題がたくさん見つかるのですが、半年前の自分に「ここまで描けるようになるよ!」と胸を張って言えるようにはなったと思っています。
半年間続けるという目標を達成でき安心しているところではありますが、これからも絵は描き続けていきます。
今後はオリジナル作品などにも手を出していけるように頑張りたいですし、また半年後に同じように経過を記事として残したいなと思います。
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ここまでのまとめ
ここまで半年間の流れを書いてきましたが、結果としては「絵をちゃんと完成させる」ということが一番効果の高い練習だと実感しています。
練習方法は半年間ずっと
1. 本気で1枚、イラストを完成させる
2. ノートに反省点をまとめる
3. 反省点を基に、新しいイラストを完成させる
という、完成させる→反省点をまとめるというサイクルでした。
反省点は紙のノートにまとめて、いつでも気軽に閲覧できるように準備しておくと「あの描き方どうだったっけ……?」などというときにすぐに振り返ることができます。
課題をどう解決するかの方法についてですが、今は講座動画がYoutubeにたくさん投稿されていますのでそれらを活用し、カバーできない部分があると感じたときには本も活用します。
そもそも完成させるということ自体がなかなか大変かもしれませんが、「これ以上はどうしたら良いか本当にわからない」というラインまで描ければどんな作品でも素晴らしいと思います。
具体的な練習の過程が薄い気もしますが、「自分もイラスト制作を頑張ってみよう!」と思っていただければ嬉しいです。
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補足①:スケジュール管理のお話
そもそも社会人だと絵を描く暇が全然ないという悩みがあると思います。
そこで、参考までに私の一日の流れについて補足させていただきたいと思います。
1. 通勤があったとき
正直一番キツかったです。なぜ会社に行かなくても仕事ができるのに通勤が必要なのかと何度も思いました。
スケジュールはこちら
休憩込みで9時~18時のスケジュールで、残業は極力しないように仕事を進めていました。
自由時間があれば制作のために使った方が良いので、Twitterの運用などが疎かになりがちなのが痛い点でした。
ちなみに、仕事の休憩時間や通勤の時間など
1. 次はどういった絵を描くのか
2. 現在描いている絵があるならどのように修正をしていくのか
3. 現在抱えている課題に対して有効な教材がどこにあるか
などを調べたりしてスマホのメモ帳にまとめていました。
かなりストイックに行動をしていたと思いますが、そうでもしないとなかなか新しいことに挑戦ってできないですよね……
===
2. リモートワーク中(現在)
リモートワークは人類が編み出した英知の結晶です。
正直もうずっとこのままでいいと思います。
現在のスケジュールはこんな感じです。
通勤時間が消滅した結果として主に家事に充てられる時間が増えたので、夕飯に使えるものなどを休日に作り置きするなどして制作時間を増やせるように工夫しています。
結果として、通勤時間分がまるっと制作時間に姿を変えました。
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3. 休日
休日はボーナスタイムです。
基本的に起きている間はずっと制作をするか、
制作のための勉強や分析、予定調整などをします。
そのため、食事、風呂、睡眠、制作しかありません。
人間的な生活を送りつつ作品制作を限度いっぱいまでやろうと思うと私の場合は1日に13時間くらい制作をする時間ができるので、とにかく作品制作に関連することに時間を注ぎます。
……さて、再現性のなさそうな時間配分が出てきましたが、実際は早く制作に区切りがついたらゲームだってしますし、もっと穏やかに他のことに時間を使ったりもします。
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補足②:モチベーションの管理のお話
モチベーションの管理は何かを頑張ろうとするときの大きな課題ですが、私は以下の3つを意識していました。
1. 自分へのご褒美を用意する
2. どうしてもやる気が出ない時は作らない
3. 絵を描き続ける自分だけの理由を持つ
以下から、それぞれを解説していきます。
1. 自分へのご褒美を用意する
人間は報酬があることでまともに動く生き物だと思っています。
(実際そういう研究があるのかは知らないので思っているだけ)
なので、モチベーション維持のためには意図的に自分にご褒美を与え続ける必要があると思っています。
私の場合は、努力した結果が数値として現れるのが嬉しかったので、意図的に閲覧数や反応が伸びやすい二次創作イラストのみを練習として描くようにしていました。
個人的には二次創作イラストには以下のような利点があると考えています。
1. 閲覧数や反応を貰いやすい
2. すでに商品として出回っている絵のデザインなどを描いて学べる
3. 比較による分析がしやすいので自分の持つ課題が分かりやすい
4. 様々な絵柄で描かれた同じキャラクターを見て表現の技を盗める
5. 作品の権利関係について調べたり、学ぶ機会ができる
独学でこれほど利点の多い練習ができるのは、二次創作イラスト制作の大きな利点だと思います。
一点注意があるのですが、コンテンツによっては二次創作を禁止しているものもあります。
そのため、イラストを描く前に二次創作を描いて公表してもよいかを確認するようにしてください。
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2. どうしてもやる気が出ない時は作らない
厄介なことにやる気というものはやり始めないと出ないものなのですが、それが分かっていてもどうしてもやる気が出なかったり、作りたいものが思い浮かばなかったりするときはやってきます。
私自身、何度もその瞬間は訪れましたが、この場合の解決方法は簡単です。
一切、制作に関する活動をしません。
とにかく、絶対に作りません。
「イラスト描かなきゃな…」とか頭に浮かんだりしますが、極端にやる気が出ないのに無理に制作しても中途半端なものしか作れないので絶対に制作しません。
このような時は大体何かしらに感動する瞬間やインプットが足りていないか、単に疲れていることがほとんどなので、映画を観たりマンガを読んだり、散歩してみたり寝たりするのが正解だと思っています。
絵を描かなくても絶命するわけではないですし、一気に努力が水の泡になるようなこともないので安心して休憩するという選択をしてください。
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3. 絵を描き続ける自分だけの理由を持つ
練習を始めるにあたってイラスト制作の練習を続けるために何かしらの目的を持つのは有効な手段だと考えていたので、以下のような「作り続ける理由」を持つことにしました。
1. イラスト制作の経験を通して、イラストレーターへの敬意を実感として持てるようにする
2. 取り組んでいる映像制作にも活用できるようなイラストのスキルを身に着ける
3. ストーリーの構想も好きなので、漫画などの媒体にも挑戦できるようにしたい
このような「何のために絵を描くのか」、「絵が描けるようになって何がしたいのか」という目的を持つと、「絵が描けるようになる」という漠然とした目標でストップしないので比較的やる気が続くのではないかと思います。
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補足③:役に立った他の教材など
練習過程では1か月に1つずつ問題を解決しているような書き方になっていますが、もちろん他の部分の課題の解決にもたくさん挑戦していました。
この補足では、それぞれの課題を簡単にカテゴリ分けします。
1. 目の描き方
2. ポーズや構図
3. 体の構造
4. 絵の意図や演出
5. 塗り全般
6. 線画
活用させていただいた教材や道具などを紹介したいと思います。
1. 目の描き方
顔の中でも特に目が描けていると、かなり良い絵に見えたりするので目だけ分けています。
ひもの さん「瞳の描き方」
●良い点
必要な要素が多すぎず、シンプルなので様々な絵柄に応用しやすいです。
練習を始めた初期の頃に大変お世話になりました。
さいとうなおき さん「【完全版】かわいい目の描き方講座」
●良い点
様々なタイプの瞳の塗りを紹介してくれます。また、遠くから絵を見たときにも見映えがする、すぐに使えるテクニックが紹介されています。
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2. ポーズや構図
ボディちゃん
●良い点
フィギュアを動かしているだけで楽しいです。とれるポーズの自由度が高く、とても便利です。
ワイヤーフレームバージョンのボディちゃんを購入して使用しています。
家電量販店などでは大体売ってないので、購入するときはネットで。
秋田麻早子 著 絵を見る技術
本記事上で2回目の紹介。構図を考えるのであれば本当に読んでおきたい一冊です。
ディープブリザード さん ポーズが思い浮かばないのは●●が原因!
●良い点
ポーズで悩んでいる理由がどこに起因するものなのかを教えてくれます。
課題設定のための道が絞りやすくなる点がありがたいです。
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3. 体の構造
ソク・ジョンヒョン 著 ソッカの美術解剖学ノート
●良い点
書籍としては高額ですが、得られるものがとんでもなく多いです。
作例や図解が豊富で頭に入ってきやすく、それぞれの筋肉の描き方を順を追って知れるのも素晴らしい。
正直これ一冊で十分だと思います。
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4. 絵の意図や演出
残りの5割 色のはなし -簡単な色の選び方-
●良い点
色を用いた演出の方法について知ることができます。
再現性が高く、イラストのデザインにすぐに取り入れることができます。
残りの5割 デフォルメのはなし -物理現象さえも超える、禁断の術-
●良い点
自分絵ポーズをとり、それを写真に撮ってイラストにするという機会はかなりあるのですが、その際にこのデフォルメの考え方がとても役立ちます。
西洋美術史オタク、シャニマスのイラストについて考える
●良い点
西洋美術の知識を使ってシャニマスのイラストの意図を分析するとても面白い記事です。レンブラントの「夜警」やベラスケスの「ラス・メニーナス」などの名画を例に出しているのも素晴らしく、絵そのものに興味を持てる記事になっています。
焼まゆる さん 【お悩み相談】右の絵が評価されない理由は?
●良い点
絵の評価にどういった要素が関わってきているのか、イラストを見ているときに私たちが自然にどういったところを気にしているのかを言語化している点が素晴らしいです。
些細な違いがイラストの完成度に与える影響を考えさせてくれます。
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5. 塗り全般
塗りに関しては様々なイラストの分析がメインですが、こちらで紹介するものは大変オススメです。
ももいろね さん 妥協しないイラストメイキング【シリーズ】
●良い点
全工程の紹介を通してどういった描き方をしているのかがハッキリわかり、イラストの見方や分析に役立つ上に、自分の制作にも活用できます。
ここまでしっかりしたメイキングは珍しいのではないでしょうか。
Tiv さん 【イラストメイキング】making of 「3 emotions」
●良い点
タイムラプスのイラストメイキングですが、様々なモチーフを扱っているためかなり広い幅で参考になります。
赤みを入れる場所や髪の塗りなどで参考にしていました。
モ誰 さん Drawfest - モ誰 - 臨場感あふれる光の表現の描き方
●良い点
100日連続投稿で知られるモ誰さんの講座です。
塗りの工程で意識していることを丁寧に解説してくださっています。
Drawfestのアーカイブは素晴らしいコンテンツがそろっているので大変オススメです。
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6. 線画
かんざきひろ さん イラストメイキング ラフ~線画まで
●良い点
ラフとは?と思うほど完成度が高いです。
プロの線画工程までの力の入れ方を知ることで、自身のラフ工程などの見直しをするきっかけになります。
さいとうなおき さん 【超重要】使ってますか!?『線画の優先度』
●良い点
「線画の太さ」についての解説があるとても珍しい講座動画です。
線の入り抜きはよく聞きますが、そもそもの線の太さも絵の印象に大きく関わっていることが分かるようになります。
===
これ以外にも素晴らしい教材はたくさんありますが、私がイラストの上達を目指すにあたってメインで活用していたものをピックアップしてご紹介しました。
シリーズものの一部を抜き出しているものもありますので、再生リストなどから他のコンテンツを探してみてもいいかもしれません。
現在は動画コンテンツが豊富すぎるので講座動画などは無限に見続けることができますが、描かないと決して上手くならないので注意してください……!(自分も見るだけになってしまいがちだったので……)
===
終わりに
長い記事にもかかわらず、ここまで読んでいただきありがとうございます。
様々伝えたいことがあったためかなりとっ散らかったような文章になっているかもしれませんが、今まさにイラストを練習している方やこれからイラスト制作を始めたいという方、単純にイラスト制作に興味がある方などに読んでいただけたのであれば嬉しいですし、お役に立てたのであればもっと嬉しいです。
===
本記事を通して興味をもっていただけましたら、ぜひTwitterとpixivのフォローをしていただければ嬉しいです。
Twitter:@mido_lf31
ご覧いただきありがとうございました!
よろしければサポートをお願いいたします! サポートは今後の情報発信のための学習代として活用させていただきます。