ぼーっと

 何にもまして重要なことは、もしも貴方がこの世界で自分しか知らないような、感じられないような、素敵な秘密を持っていたら、それを決して言葉にしてはいけないということだ。君だけが知っていて、自分との秘密の約束をして欲しい。そうしたら、自分の事を少し好きになれるから。夕焼けが綺麗だったり、満月が切なかったり、雨の音が優しかったり。誰にも見えないところにホクロがあったり、下着に綺麗な薔薇の刺繍がされていたり、ギターがほんの少しうまくなったり。そんな事を、とてもとても小さな事を、大事にして欲しいんだ。もちろん、好きな人がいるのなら、しばしば教えても良いと思う。今日の夕焼けがとっても綺麗だったって。それを、とても大切に聴いてくれる人なら、僕はその人は素敵なパートナーだと思うよ。
 人間が自然を愛しているのはね、この世の全てのものから自由だからなんだ。僕たちが泣いても笑っても、たとえ死んだとしても、明日も明後日も太陽は登って、雨は降って、風が吹いて、星が瞬く。僕たちはそれを美しいと思うし、羨ましいとさえ思っているのかもしれない。
 この前、僕は水族館にクラゲを見に行きました。入る前から少し緊張していて、本物のクラゲを見て、ぐすぐす泣いてしまいました。アマクサクラゲというクラゲが、とてもゆっくりふわふわと泳いでいました。ミズクラゲがたくさん泳いでいました。僕はそれを1時間半くらい見てから帰りました。クラゲは水の中をまるで無重力の中にいるように、ふんわりと泳ぐ、漂うと言った方が良いかもしれませんね。漂っていて、僕は宇宙を感じました。そして、こんなに綺麗な生き物が偶然生まれるわけない、かみさまがいるんだ!って本気で思いました。お願いがあります。僕は、この文章を読んで馬鹿にしたり笑ったりしないでほしいのです。僕は、言葉を大切にしています。本気で思ったのです。本気で宇宙を感じて、かみさまがいるって思ったのです。それくらい、本物のクラゲは素敵で魅力的で、不思議で可愛くて、僕には衝撃的なほどでした。一緒に水族館に行ってくれたあの人。本当にありがとうございました。僕は、本当に良い経験ができました。
 なんの話をしたかったのか分からなくなってしまいました。僕が伝えたかったのは、この世界を決してみくびったり過小評価してはいけないという事です。この世界には沢山の人がいて、僕や貴方を好きになったり嫌いになったり、一生出会わない人もいます。そんな世界に、僕は片想いしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?