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声に出して読みたいアイドルソング~好きすぎて同じになりたいという狂気~//ネコプラ//『ジコチュー超会議』

みなさん、心の中のメンヘラは元気ですか。

人は誰しも心の中にメンヘラを飼っています。
どんなときでも冷静沈着なスーツ姿のあの人も、
いつも誰にでも優しい人格者のあの人も、
心のメンヘラを隠して生きています。
世の中ではメンヘラ特化型で生きる人が目立っていますが、
ちょっとメンヘラな私たちは、いつだって心のメンヘラを必死で抑えながら生きています。

そんな私たちでも、心のメンヘラを全開にすることができます。
そう、アイドルソングを聴くことです。
アイドルソングの世界に没入して自分を重ねることで、
心の中のメンヘラチャクラを全開にすることができます。

特におススメのアイドルソングは、主人公の好きな人への気持ちが歌詞になった歌です。
こうした歌は、想いが強くなりすぎて、こじらせてメンヘラ状態になってしまうことがしばしば。
ここでご紹介したい曲は、//ネコプラ//(読みは「ネコプラパラレル」)の『ジコチュー超会議』です。

私だけの個性減点

この曲のパンチラインは、「私だけの個性減点」です。
全編通して、相手のことが好きすぎて、すべてを知りたいと願うだけでなく、同一化しようとする女の子の歌なのですが、その異常性を端的に表してるのが、「私だけの個性減点」です。
そう、相手と違うところは、減点なのです。
つまり、この女の子は、相手と全く同じなら100点で、違うところがあると減点していくという考えを持っています。
人間は当然異なる生命体なので、違うことが当たり前。
ゆえに、好きな相手と共通点があると嬉しくなり、喜びを「加点」していくものですが、この子は違います。
スタートラインが相手と全く同じ同一化した自分なのです。

君のお好みとご趣味まで
おそろい重ねでトキメキ?!
君のお好みとご趣味まで
全部同じならコンプリ?

偏差値教育の弊害を反省し、個性を伸ばそうとしてきた教育は負けました。
どんな高等教育を施して個性を伸ばしても、その子は好きな人ができたら、個性があることで自己評価を減点していきます。
それが人間です。
そんなことない、恋愛は対等なもので、それぞれの個性を尊重し合うものだ、と思ったあなた。
あなたは、本当に好きな人にまだ出会っていないのです。
個性を失いたいと思うほどの人に出会っていないあなたは、まだ本当の恋を知りません。

何がすき?って知ってるけれど
話題が尽きそうなの!
もっともっと君を調べなきゃ!

相手が何を好きか知っているのに、もっともっと君を調べなきゃと思う狂気。

あれもこれもどれも気付いてくれない!
バカなの?
なんで?神様より君を知り尽くしてるよ

「神様より君を知り尽くしている」という神を冒涜する思想。

ちょっとだけ不安なくもないけれど
超任務遂行だよ☆
気にして止まれば負けちゃう!

何と闘っているのかはわかりませんが、止まることは許されません。

これだけなら、女の子のただの妄想と片付けられてしまうかもしれません。
安心してください。
物理攻撃も仕掛けます。

寝癖つけて とぼけた君に
少しイタズラ仕掛けて
もっともっと君に触れたい!
両目こすって 寝ぼけた君に
今日もイタズラ実行!
もっともっと効果検証☆

好きな人を触りたいという野蛮な欲求に身を任せ、眠い人に物理的に攻撃を仕掛ける暴挙。
反応が悪いと効果検証という名目で攻撃を続ける身勝手さ。
メンヘラは心だけの問題ではないと教えてくれます。

プラン変更☆
君のお好みとご趣味まで
全部違うけどどうかな?
知らないこと全部を
共有するよ!

さらに怖ろしいのは、ここまで自分を相手に合わせることに心血を注いできたにも関わらず、うまく行かないと見るや、方針を180度変更し、相手の好みと全部違う自分をアピールしだします。
黒髪で読書が好きだと思っていた子が、急に派手髪でクラブに行きまくります。
そして、以前と同じ熱量でこんな私のこと好きでしょ、と圧をかけてきます。
メンヘラの目的は相手の心を支配することです。
目的のためなら、手段を選ばない発想のクリエイティビティにしびれます。

君の笑顔にシステムエラー( *_* )

この子は、自分の思考や行動を相手の笑顔のせいにして、システムエラーという自分の力ではどうにもできないもので表現しています。
この子が思い余って相手の子を殺しても、きっと男の子の笑顔のせいにします。
自分の意思が働いてない感じが素敵です。

最後にこの曲は衝撃の終わり方を迎えます。

本日も開幕!君と私結ぶ超会議

ずっと主人公の頭の中で相手のことを思って会議を開いていたのですが、ついに思いが余って、勝手に相手とつながって会議を開いてしまいます。
そう、今まさに社会問題になっているオンライン会議ハッキングです。
タイトルにある「『超』会議」の「超」の意味は、既存の会議を枠を超えてすでにこの世界は頭の中に勝手にアクセスして会議が開かれる時代になったことを意味していたのです。
もう私たちにプライバシーや人権はありません。
あきらめて、この子の所有物になりましょう。

どうでしょうか。
みなさんのメンヘラチャクラは開きましたか?

この曲の楽しみ方は2つあります。
1つは、この子みたいにメンヘラ全開の思考で恋をしたい!という楽しみ方です。
そして、もう1つは、この子の相手になった毎日を妄想する楽しみです。

自分好みのルックスのこの子に毎日迫られる幸せな日々。
そしてあるとき気づいてしまう、自分の言葉でこの子が容姿を変えたり、性格が変わっていく不気味さ。
色々なことで心が疲れてしまうこともあるでしょう。
そんなときも、この子は無邪気にいつもどおり接してくれます。
そんな心の隙間に寄り添ってくれるこの子とお付き合いをすることになります。
鳴り止まないLINEの通知。
どこで何をしてたかすべて報告することが国民の4つめの義務として課せられます。
デートに行けば、カフェで女性店員を見ただけで一日中不機嫌になります。
急に駅で泣いて騒ぎます。
別れを切り出すと自傷行為で応じます。

「病みカワ」というゆるふわなワードで想像していた幸せな日々とはほど遠い毎日を思いを馳せ、仕事と家の往復で時間が過ぎる平凡で退屈な日々を少しだけ愛おしく思えるようになるでしょう。

そんな素敵な『ジコチュー超会議』。
私はここ数ヶ月ほぼ毎日聴いてます。
仕事で理不尽に怒られたり、家族や友人と意見が合わなかったり、推しのあの子が自分の好みと会わない行動をとっていても、「私だけの個性減点」と声に出してみましょう。
きっと間違っているのは、相手ではなく、自分であることに気づくはずです。
そして、「本日も開幕!君と私結ぶ超会議」と声に出せば、あの子の頭と自分の頭を接続して超会議を開かれます。
みんなで素敵なメンヘラライフを送りましょう!

あと、ネコプラかわいいです。
そのお話は、また今度。

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