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声に出して読みたいアイドルソング~意味が分かると怖い歌~リルネード『恋愛ちゅー』

12月29日にリリースされたリルネード初のフルアルバム『Rirune!Rirune!Rirune!』。

そのリリースに先行してMVがYoutube公開された新曲『恋愛ちゅー』は、抜群にポップでエレクトロなトラックに、女の子の片想いの気持ちをかわいく表したリリックが乗っかる、極めて中毒性の高い楽曲で、「あくまでNHK内の話ではあるが、2022年の紅白歌合戦の出演が全アーティスト最速で内定している(業界関係者)」と噂される一曲です。

まずは、MVをご覧ください。

「あなた」のことを思うと涙が出たり、嬉しくなったり、そんな片想いの気持ちの楽しさと、早くこの気持ちに気づいてほしい女の子のかわいい心の動きが歌われた名曲です。

しかし、聴けば聴くほど、最後のフレーズが引っ掛かります。

ずっとここにいるね 
だからここにいてね
どうか I Love you.

リルネード『恋愛ちゅー』

「ここに来て」ではなく、「ここにいて」なのである。

つまり、相手はすでにここにいて、私もずっとここにいるから、あなたもずっとここにいて、と言っているのである。

隣にいると何故だろ泣き出しそうだ

リルネード『恋愛ちゅー』

1番のサビでは、相手が隣にいるときに、泣き出しそうになってしまった感情の変化に自分も驚いてしまい、

まさか恋愛中?

リルネード『恋愛ちゅー』

と、自分に問いかけていたはずである。

現在 過去 未来
すべてを投げ出したいな
そっか恋愛中!

リルネード『恋愛ちゅー』

そして、2番のサビでは、さらに気持ちは強くなって、「!」とあるとおり、自分が恋愛中であることを受け止め、現在過去未来の全てを投げ出したいほどの感情に至っています。

この感情の変化が、恋愛関係にない2人がたまたま一緒にいた数時間のうちに起こることは難しく、すなわち、この曲は、ある瞬間の感情を歌っているわけではなく、曲中で期間が進行していることが示唆されています。

そうであるならば、ラスサビは、主人公の女の子と想いを寄せていた相手が、恋仲になって一緒にいることが自然ではありますが、その描写が一切描かれていません。

では、恋仲にならずに隣に相手がいるとは、どういうことなのだろうか。

そう、この主人公は、相手を監禁しています。

改めて、MVを見てほしい。

MVの冒頭1秒も満たない時間、一瞬だけこの主人公の女の子の部屋が映っている。

赤・青・黄色のランプが光る部屋。
ラベルの剥がされたペットボトルだけが入っている開けっ放しの冷蔵庫。
部屋中に散らばる毛布やタオル。
黄色に光る魚焼きグリル。
そして、部屋の中なのに靴を履いて、黄色く発色する輪っかに顔を突っ込んでいる女の子。

右側のカーテンに注目してほしい・・・

そう、女の子は、まともな人間ではないのである。

そして、お気づきになられただろうか。

右手に映るカーテンが不自然に大きく広がっていることを。

ここにこの女の子が想いを寄せる人が意識を失って監禁されています。

MVの最後に、部屋がもう一度映るのですが、カーテンのふくらみがなくなっている代わりに部屋の中央にソファが置かれており、床に誰かが倒れていても見えないようになっています。

また、女の子が3人に増えているとともに、冒頭では、すべてのランプに明かりがついていたのに、明かりが消えているランプが3つあります(キッチンの丈の低いスタンドライト、ソファ左手後ろの丈の高いスタンドライト、画面左手の床にある丸いライト)。

ソファの後ろが見えないことの意味・・・

そう、明かりの消えたランプは、想っていた相手が死んでしまったことを意味しています。

彼女たち3人は、恋愛中という楽しい時間を永遠にするために、それぞれの大切な人を殺めてしまったのです。

なみなみ注がれたグラスのソーダ
覗ぞけば目が回りそーだ!
隣にいると何故だろ泣き出しそうだ
まさか恋愛中?
包み込んであげる 
ときめきってなんか気付けば癖になりそーね!
ずっとここにいるね 
だからここにいてね
どうか I Love you.

リルネード『恋愛ちゅー』

そう考えると、落ちサビ、ラスサビの意味がだいぶ変わって聴こえます。

1番の『泣き出しそうだ』と落ちサビの『泣き出しそうだ』では、全く意味が異なり、1番では、感情の変化に戸惑いながら流してしまう涙ですが、落ちサビでは、自ら手をかけてしまった人の隣で呆然としながら、運命にあらがえなかった自分の愚かさへの絶望と大好きな人とずっと一緒にいられる興奮に耐え切れずにあふれてしまった涙になっています。

ラスサビでは、そんな愛する人を包み込んであげるという永遠の愛を誓うとともに、大好きな人が手元にいることに「ときめき」を感じてしまうあたりに、第2第3の被害者の予感させます。

そして、体温を失った愛する人に、もたれるように彼女は、「(私は)ずっとここにいるね。だから(あなたも)ここにいてね。どうか(これからも)I love you.(と言わせてね)」と語り掛けるのです。

恋は人を狂わせてしまう。

歌詞では「恋愛中」と表記されているのに、タイトルの「恋愛ちゅー」の「ちゅー」が「中」ではないのは、よもやまっとうに漢字表記することすら、考えられないような精神状態で表していることを意味します。

リルネードに所属する蔀祐佳(しどみゆうか、しどみん)、桐原美月(きりはらみづき、きりちゃん)、栗原舞優(くりはらまゆ、まゆちゃん)の3人は、そのかわいさ、美しさ、魅力の全てで、たくさんのファンを魅了し、愛する人を家にコレクションしていく、美少女アイドル殺人鬼として、このダークファンタジーの世界で輝いています。

そして、私たちも、たとえ殺されてしまうとわかっていても、彼女たちに近づいて行ってしまう運命にあります。

そのことを『恋愛ちゅー』と呼ぶのでしょう。

あと、リルネード、かわいいです。
そして、楽曲制作のmekakusheさんとkabanaguさん、MV制作のZUMIさんは天才です。
そのお話は、また今度。

(資料画像)

ぐったりしている蔀
毒の入っていない方の水を飲む桐原
可動式の壁の圧力を確認する栗原

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