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「圧死」から命を守れ!~寝床を安全にする

「40点の防災」はテーマに関して「やらないよりはやっておいたほうがマシ」(知らないよりは知っておいた方がマシ)という防災対策を紹介するものです。

とかく私(防災士)の立場からすると理想を掲げがちですが、そういったものは面倒くさく、やろうという気にならなかったりするものです。安全性は下がっても「何もしないよりはマシ」という行動を紹介することが、次のステップのきっかけになると考えています。

と、初回なのでこの連載の趣旨を紹介したうえで、第1回のテーマは「圧死から身を守れ!」です。


阪神・淡路大震災の死因の9割を占める

阪神・淡路大震災は午前5時46分、多くの人が就寝している時間帯に突然起きました。当時は緊急地震速報なんてありませんでしたし、あったとしても「真下」で起きた地震なので間に合わなかったでしょう。

亡くなった方の何割かは、何が起きたか分からないままお亡くなりになってしまった方もいらっしゃるかもしれません。就寝中はそれだけ「無防備」だということです。


「寝床」の安全を最低限保つ

キーワードがひとつ出てきましたね。「就寝中」という言葉。もちろん、家じゅうを万全にするのが理想ですが、ホントに最低限ここだけは落ちてくるもの・倒れてくるもので命を落とさないようにする場所が「寝床」です。

ここに的を絞るだけでも、かなり変わってきますね。ここの対策を考えなければ、就寝中に何かの下敷きになり命を落とすことを覚悟しなければなりません。

「寝床だけは安全にしなきゃ」、これに気付いただけでもまずは前進です。


家具の安全対策、「100点」は?

ちょうどこれから新しく部屋を借りて独り暮らしの生活をスタートする、という学生さんは100点の対策が取りやすいと思いますので、先に紹介します。

背の高い家具を置かない、これが100点です。

仮にその家具が倒れてもベッドに届かない、中身も降りかかってはきません。

背の高い家具には転倒対策をしましょう」は、背の低い家具に買い替えられない場合の次善の策です。転倒対策をやったからといって転倒しないとは言い切れませんし、中身がシャワーのように降りかかってきたらやっぱり危険です。

岩手・宮城内陸地震では本で圧死した方がいらっしゃいました。家具だけでなく、中身の落下も考えないとなりません。


「40点の防災」は「重いものを下にする」

重いものが下にあれば、「重心」が下になるので家具の安定具合はだいぶ高くなります。また、重いものが落下すればそれ自体が危険ですよね。

また、重いものが落下して重大なケガをする可能性もほぼなくすことができます。

なので、例えば「本棚」なら重い本は下にし、小さい本を上に入れ替えるなどの対策ができます。


ついでにできる対策「家具を壁側に倒す」

そして、せっかく家具の中身を入れ替えるために一度家具から出すのであれば、ついでにやってもらいたいことがあります。

家具の手前に段ボール2枚分くらいの厚みを持たせたものを脚のところに敷き、家具をちょっとだけ壁側に倒すのです。家具は基本手前に倒れますから、手前に倒れづらくする対策もやっておいた方がマシですね。

合わせてやったら50点~60点くらいになると思います。


家具の配置を工夫するだけでこうなる

これは実際2021.02.13の福島沖の地震で震度5強を体験したときの話です。私の部屋はいっさい家具の転倒対策はやっていませんが、事前に「ベッド上にはモノが倒れてこない」ように家具を配置していたので、何も被害がなかったという紹介です。

「家具の配置」がいかに大切か、これから新生活を迎える方は最初が肝心です。ぜひ100点を狙ってください。


危ないと分かっていたらできることを

今回、「寝床」にものが落ちてきたり倒れてきたりするのがいかに危険か、ということを取り上げてみました。

もちろん「40点の防災」をやったからといって命の保証、安全の保証はできません。ただ、何もやらなければ地震が起きたときに被害に遭う可能性はかなり高いわけですから、「やった方がマシ」でもやってもらえたら嬉しいです。

そして、それでも不安だと感じた方には、低い家具への買い替えをおススメします。無理な場合は、「説明書をよく読んで」転倒防止金具やポールの使用をしてみてください。

2021.3.1 防災士 後藤 智之(片耳の歌う防災士ゴリィ)

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