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「難しい言葉」とどう向き合うか

こんばんは。防災士のゴリィこと後藤です。他にオルゴールアーティスト、カラーセラピスト、クイズサイト運営者などをやっております。詳しくは主宰サイト「轟RADIO」をば。

さて、今回は僕も含めて「専門知識を持った人」がどうしてもやってしまいがちな「難しい言葉をみんな知っているかのように使ってしまう」ことに対してのことです。

横取り40萬

ぜんぜん防災と関係のない話ですが、主宰する「轟RADIO」でやっているクイズ企画は、平成初期の「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」をベースにしています。30代後半の人くらいからなら分かるかな?

その中で、「横取り40萬」ってあったの覚えてます?

昔懐かし「横取り40萬」

これ、知っている人なら「他のパネラーから40萬奪えるカード」って知ってますよね。「轟RADIO」でもあるときまでは「当たり前にみんな知っている」ことを前提に進行していました。

しかし、「30代後半くらいでないと知らない」と気づいてからはサイトでは文面で、ツイキャスではテロップで説明を入れるようになりました。

「知ってて当たり前」はいつの間にか通用しなくなったりして、きちんと分かるように説明するのが丁寧な対応だと思っています。

「なんでそんなことも知らないの?」は言わない

まだ「避難勧告」があったころ、台風接近の緊急ツイキャス配信で「避難準備・高齢者等避難」「避難勧告」「避難指示」のどれが危ないか分からないと聞かれたことがありました。

何人かから「私も知りたい」とあったので、決して「常識」ではなかったのでしょう。「そんなことも知らないの?」と思いがちのことですが、「知らなくても普通」の知識だったわけです。

口で説明しましたが、「見た目で分かるようにならないの?」と聞かれ作ったのが当時のこの図です(配信しながら1時間で作成しました)。

【これは現在のものではありませんので転載しないでください】

当時この図はインディーズアーティストさんにもリツイートしていただいて、200リツイートくらい拡散されました。それだけ、右側の専門用語をみんな知らなかった、ということですね。

ちなみに現在はこちらです。

※こちらの画像は自由に転載してOKです。

「川の情報」はNHKさんがこの言葉を連発していたので追加しました(色テロップが警戒レベルの数字表示と合わせていたのでまだ分かりやすかったとは思いますが)。

感覚的に表現した方が分かりやすい

僕が防災用語を解説するときは、できるだけ「感覚的に」を重視しています。一般の人が災害の危機に直面しているとき、正確な定義は知らなくとも感覚的に「危険」と分かればよいからです。

例えば、「大雨特別警報」。「数十年に一度の過去に経験したことのないような・・・」というのが正確な説明なのですが、「死ぬかもしれないくらいの雨が降ってる」と説明します。

「氾濫危険水位」は「川があふれそうな水位」と説明しています。これについては確かそのまんまの説明だったと思いますが正確な定義を忘れています(笑)。

知らないことがあれば人は動きませんし、難しい説明をされると「拒否反応」を起こすのが人間です。なので、「感覚的に分かりやすい言葉」を重視しています。

テレビで聞く用語は用語とともに解説

テレビなどの報道で見聞きする「用語」はその「用語」自体の存在を知ってもらう必要があるので、「避難指示とは・・・」という書き出しで説明しています。

【数日前のツイート】※トドメガネというマスコットキャラのツイートです
「避難指示」はお住いの市区町村の首長が出してるけど、実際はその市区町村で一番防災に詳しい人が決めてるよ。
その人が「危ないところにいる人は逃げなさい」って指示しているんだから、どういうことか分かるよね? 決して脅しじゃないからね! 

「避難指示」が「危ないところにいる人は逃げなさい」という意味と、感覚的に事態の切迫性が伝わるようなツイートにしています。

テレビで聞かない用語は用語として説明しない

「正常化バイアス」という言葉はテレビでも使用しています。なんとなくこの言葉が「誰でも知っていて当然」のごとくテレビで多用されていることに心配するくらいです。

同じシリーズ(?)で、「同調性バイアス」という言葉があります。これは、感覚的には「みんなと同じだと安心だよね」という意味ですが、それが避難行動の遅れの原因になっていることは防災関係者の多くは知っています。

ただ、「同調性バイアス」という言葉は一般の人はあまり見聞きしません

なので、「みんなと同じようにしていると安心だけど、それで避難が遅れちゃったりして危険なことがあるよ」とだけ説明します。僕は、これで十分だと思っています。

変に、「このことを『同調性バイアス』といいます」と教科書のように付け加えることは意味が薄いどころか逆効果のような気さえします。

僕が一般の方向けに防災用語や知識の説明をするとき、用語を用いるかどうかは「テレビ等で見聞きする言葉かどうか」が判断基準です。ただ、それが正しいかどうかはもっと継続し、時々振り返りもしないと分かりません。

まとめ

防災を専門にする方には、やはり「知ってて当然」というスタンスの方もいらっしゃいますし、僕のように「知らなくて当然」というスタンスの方もいらっしゃいます。当然僕は後者の方と繋がりやすくなります。

僕が扱えるのは「言葉」だけです(図表はExcelでも作れないほどニガテ)。それがツイートだったりサイトクイズだったり動画クイズだったり、防災番組に化けたりするのですが、基本は「言葉」なんですね。

もしかしたら、「感覚的に」だけでは不十分なのかもしれません。それは今後補っていきながらも、「どんな言葉なら伝わり、どんな言葉は言い換えて伝え、どんな言葉は伝えなくてもいいのか」というのは永遠の課題だと思っています。なので、来年はその研究を重ねていきます。

「信頼を得て、うまく説明する」サポートカラーは「青」です。冷静に相手を見て、相手に伝えるということを意識していきます。

信頼・説明のサポートカラーは「青」

今回も最後までご覧くださいましてありがとうございました。

トドろき防災




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