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PRESIDENT(2022.3.4号)の感想

こんにちは。ゴリィです。色々やりながら「複業」を目指していますが、精神疾患と身体疾患色々と持っていて、どちらの障害者手帳も所有しています。

今回は「精神科・心療内科のウラ側」と大々的に表紙に文字打ったこの雑誌を買い、読んだ感想を「双極性障害」を持った人間の視点から書いていきます。

「5分診療」の裏事情を見事に暴露

以前から、精神科の診療時間の短さは問題視されていて、「5分診療」と揶揄されてきました。この理由は実は僕は知りませんでした。

「30分以上診療しないと、診療報酬は変わらないため」
「精神科・心療内科を受診する人が増え、多くの人を診察するため」

というたいへん納得のいく説明でした。この結果として「薬物療法」に偏向している精神科領域の実情も分かりやすく説明しています。

さらに、この実情の中でも「いい先生の上手な選び方」(3ヶ月は主治医を変えない等の新しい視点も)や患者側がいい医療を受けるために努力すべき事項なども紹介していて、通院をしている人、今通院を考えている人には分かりやすい説明でした。

「森田療法」への偏向傾向

かたや、カウンセリング領域については「森田療法」と呼ばれる手法と、「認知行動療法」との比較をおこなっていましたが、この内容には納得がいきませんでした。

「森田療法」は素晴らしく、「認知行動療法」には欠点がある、と「森田療法」の素晴らしさに偏向した内容になっていたためです。最後には「持田療法」を受けられる全国の病院一覧もついているほど。

それぞれがどういったものなのかは、是非雑誌を手にしてご覧いただきたいところですが、「認知行動療法」で病気が改善した身としてはちょっと主観的過ぎやしないか、と批判的な目で見てしまいました。

社会問題への重大な見落とし

「会社にいたら嫌な4つのタイプの人間」という面白い記事もありました。こちらも是非雑誌を手に取りご覧いただきたいです。とても共感できる内容でした。実際にそういう人いましたから(笑)。

ひとつ残念だったのは「若者」に関する記事。近年、若者が社会人になり会社で自分の思うようならずメンタル不調に陥る、という例があるのは知っていました。今回の雑誌記事ではこういう若者がなぜ生まれたのか、そしてどう接したらいいのか、という視点で書かれていました。

しかし、逆の見方をするとこういった若者が「不定型うつ病」(新型うつ病)という形で精神科を受診する例が増えている(冒頭の「精神科受診者の増加」の一因)であることには触れていませんでした。

紙面のページ数の制約とかでカットしたのかもしれませんが、これは社会問題になっているだけあり、ここに触れていないことは大変残念に思いました。

「自己肯定感を高める」ことの危うさ

実は、「自己肯定感を高める」ということ自体の効果は自分のサイトの「トドメガネのメンタルヘルス」でも記事として取り上げているので、この部分はタイトルの斜め読みでした(あとでじっくり読みます)。

面白い実践内容もありました。書いちゃうとアレなんで雑誌を手に取ってご覧ください。

で、気になったのが「この雑誌記事は誰向けに書かれているのか?」という疑問。雑誌の表紙タイトルからして精神疾患の患者が手に取るのは明らかです。

病気の程度にもよりますが、「自己肯定感を高める」という行為は実はけっこう疲れる行為で、例えばうつ病の「底」にいる患者には向いていないのです(こういった場合とにかく「休養する」が重要)。

回復期にあっては「自己肯定感を高める」ことは重要ですし、ふだんの予防としても効果はあります。

まとめ

全体を通して、非常に興味深い記事でした。精神疾患をお持ちの方は表紙を見て買うと思いますし、他にも記事はあるのでふだんのプレジデント読者の方、他の記事に興味のある方もご覧になると思います。

精神疾患をお持ちでない方には、ぜひこの雑誌を通して精神科領域の医療の実態や精神疾患の予防に役立てていただければと思います。

精神疾患をお持ちの方やそのご家族など身近な方は、各セクションで「誰向けに書かれているのか」ということを意識しながらご覧いただくことを強く推奨します。どん底のうつ病の人がこの雑誌を自分で手にすることはないとは思いますが、身近な方が記事を読んでその内容を安易に患者さんに奨めるのはちょっと危険です。

以上のことを踏まえて読むと、一般の方にも、精神疾患の患者さんやそのご家族の方にもとても面白い内容になっています。

是非ご覧ください。こういった知的好奇心をくすぐるのは「黄色」です。そういえば雑誌の表紙も「黄色」でした。

それでは、本日も最後までご覧くださいましてありがとうございました。


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