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音楽のドキュメンタリーが楽しいです、という話

音楽というのは基本的にユースカルチャーだと思っています。学生時代には僕の周りもほぼ全員と言っていいぐらいの人に音楽を聴くことに時間と労力を割いていていましたが(音楽バブル期、カラオケ全盛期が学生のど真ん中だったのでそれも当然なのですが)、今この歳になって日常的に音楽を聞き続けている知人・友人というのはほとんどいません。

寂しいなーとは思いつつも、仕事が忙しくなったり、家庭を持ったりすることで、音楽にかける時間がなくなっていくのは理解できるのでしょうがないかな、とも思っています。

その一方で、音楽はコンテンポラリーカルチャーだとも思っています。

”コンテンポラリーカルチャー”というのは、コンテンツ自体とそれが生み出された時代背景に密接な関係がある文化という意味です。

それはすぐに風化してしまうという宿命を持っていますが、逆にいつまでも色褪せない記憶として保存されやすいのもコンテンポラリーカルチャーの特徴です。”懐メロ”という言葉があるのもおそらくそういった特徴の表れでしょう。

ただ、そういったコンテンポラリーカルチャーを理解する上で難しいさというのが追体験のしづらさだと思っています。

例えばですが、僕の場合ここ10年ぐらいにあったアイドルシーンでのあれこれについてはまるで見てきたかのように話すことができますが(←実際見てきたんですが)、その話をここ最近アイドルに興味を持ち出した人にしても、どこか遠い世界で起きていることのように聞こえてしまうのが普通ではないでしょうか。

僕にとってヒップホップはまさしくその代表例みたいなもので、知識や情報で当時の事を振り返ることはできても、当時の温度感や空気感も含めて自分のものとして理解するのは難しいんだろうなと思っていました。

そういう中で、この「Hip-Hop Evolution」というドキュメンタリーは、その時代の景色やその時代を生き抜いてきた人たちの言葉を映し出してくれるので、見ている方もまるでその時代の人として生きていたような感覚が得られるのでとても楽しい、だけでなくとても勉強になっています。

最近見た「アンユージュアル・サスペクツ」(「ユージュアル・サスペクツ」じゃないよ)というドキュメンタリー映画も、ハウスの歴史をたどる記録として大変勉強になりました。

ヒップホップもそうですが、アンダーグラウンドカルチャーでの出来事はメディアで公明正大に語りづらいことも大いに含まれている(というかそれによって支えられてた?)ので、こういった映画で語られているのはとても資料価値が高いものだと思います。

中でもハウスの黎明期は”ヒップ・ハウス”という呼称が存在し、ハウスミュージックがヒップホップの影響を受け、融合していたことは(個人的に)発見に近い新たな知識でした。

そんなことを考えているうちに「そういやダンスミュージックの歴史ってちゃんと勉強したことないな」ということに気づいて買ったのがこの本です。

僕の場合、90年代前半のデトロイト・テクノのシーンというのは、電気グルーヴのオールナイトニッポンで洗脳に近いぐらいの薫陶を受けたつもりでいるのですが、知っているのはそのコアな数年間の知識や景色だけで、その時代背景や前後の歴史についてはほぼ知りませんでした。

で、今まさに読み進め中なのですが、これが本当に面白い。僕にとって完全な追体験ではない部分もあるので、当時の記憶がまざまざと蘇ってきます。

もちろん知らなかったこともたくさんあるので、Googleさんをサブテキストにしているのですが、これを読み終わる頃には今まで頭になかったダンスミュージックの歴史を体系立てることができるのかな?と思うとさらに興味が尽きません。

ただ、こういうものを見つける時のほとんどが仕事に激詰められている最中だったりするので、誰かに怒られないようにこっそり読んでいるこの頃です。

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