理容師ダービー in QBハウス
私が髪を切りに行く時、決まって行くお店は
QBハウスである。
QBハウスは¥1,350という価格で
短時間の間に髪を切ってくれる。
経済力がない且つ
理容室や美容院にこだわりのない且つ
経済力がない
私にとっては強い味方である。
ある日、
髪の毛が伸びて少し邪魔になってきたなと
感じたので、相も変わらず最寄りのQBハウスに向かった。
そこのQBハウスはいつ行っても混んでいて
だいたい15分は待つ。
QBハウスはどの店舗でも
理容師3人体制で回しており、
その3人の切り終わったタイミングの順番で
誰が誰に切られるかが決まる。
理容師さんもそれぞれタイプがあり、
愛想が悪い方方、
愛想は悪いが職人気質っぽい方、
愛想が悪いし髪の毛遊んでるけど少し古めの遊び方してる方、
愛想悪いのに腰パンしてる方、愛想悪いetc
色んな愛想悪い理容師さんがいて
少しドキドキする。
こういうと悪く言ってるように聞こえるが
悪くは言っている。
ただ、愛想の良い接客を¥1,350しか払ってない
経済力の私が言えないし求めていない。
髪を切ってくれればそれで本当に良い。
そして待っている間、私はいつもする事がある。
それは、この順番で、
このウェイティングの客数、ウェイティングの客の毛量等々を見て考えて、私の順番になった時どの理容師さんが僕を担当するのかを予想するという事をしている。
そう、超暇なのである。
その日も、待ち時間は超暇で誰が私の担当になる理容師ダービーを開催していた。
今日のこの理容師さん達のスピードと客数を加味して、
若め+愛想良い(珍しい)+手捌き良い一番左の理容師さんになるだろうと予想した。
私の髪を切る人は、若め+愛想良い(珍しい)+手捌き良いからそうであって欲しいという希望的観測も大きく働いたが、そう予想した。
そして私の順番が徐々に近づいてきた、
なんと私の予想通り、
このペースのままだと順番的に
一番左の理容師さんが私に担当する事になる!
やはり予想通り!!と思っていた。
しかし、そう思ったと同時に、
一番右の理容師さんが
さっき座ったばかりのお客さんの散髪を終わらせた。
順番的に次は真ん中の人が終わらなくてはならなかった。
しかし、真ん中の理容師さんが担当しているお客さんは、
毛量も多く、長さもあり、時間がかかりそうであった。
私とした事が、、、
このままでは私が切って欲しい理容師さんに当たらない。
しかも他の二人のうち一人は、
愛想悪くて腰パンしている香ばしさ全開メンズと、
もう一人は、
愛想悪くて古い髪の毛の遊び方をした新しいダサメンズである。
それでも順番は変動しない。
あとお客さんの順番が2回転ほどすれば自分の番になる。
そして
あと1回転で自分の番になる。
このままだと1番左の理容師さんにならない、、
その時!
なんと一番左の理容師さんが終わるはずのないスピードで
今切っていたお客さんを切り終え、次のお客さんを切る準備をし始めた!
「(よっっっっっしゃ!!!)」
心の中で全力のガッツポーズをした。
あの時の安西先生のように。
髪の毛に、こだわりはさほどないが、
この理容師さんに切られるなら何も問題なく終われそう!
何より愛想が良い過ぎるから、切られている時に緊張しない。
そして、その理容師さんが席を綺麗にし終え
私も荷物を持ち、
次のお客さんとして呼ばれた時のために
整理券見せる準備をしようと思った、その瞬間。
「シャッッッッッッッッァ!!!!」
と、ウルトラマン飛んできたのかと
勘違いするくらいの音で、
理容師専用の事務所のカーテンが開いた。
そして、そこからまさかの4人目の
スタッフが出てきた。
出てきたのは、
元柔道部の様な大男で愛想が抜群に悪く、
理容師さんであるはずなのに、
「ウニ??」
と言いたくなるくらいの寝癖をつけた大男が出てきた。
____まさか、、、
私の理容師ダービーは、
まさかのコース外から
差しウマならぬ差しウニが捲り上げてきた。
一番左の理容師さんではなく、元柔道部のウニが私の髪を切る事となった。
その元柔道部のウニは、私が持っている整理番号を確認する為に、私に向かってこう言った。
「ゴニョゴニョゴニョゴニョ」
もちろん、私は、
ゴニョゴニョゴニョゴニョ
としか聞き取れなかった。
ゴニョゴニョの後、整理券を見せ
席までウニに案内された。
ウニは、靴を鳴らしながら歩くタイプでもあり、
声も怠そうな上に声が小さく、何より愛想悪く、
あー、これは気使う時間になるなぁと思った。
順番通りに行けば、
一番左の理容師さんに切ってもらえたのに!!
という悔しい思いでいると、
元柔道部のウニが、私の首にタオルを巻き
その上からマントの様なものをかぶせた。
そして元柔道部のウニが私に向かって、
「ゴニョるしくないですかニョ?」
と言ってきた。
もちろんゴニョるしくないですかニョ?としか
聞こえなかったので、
私は「あ、全然苦しくないです!」と答えた。
すると、元柔道部のウニは私の髪を全体的に触りながら、私に向かってこう言った。
「それでは理容師来るまでお待ちください。」
_____お前誰!?
声を大にしてお前誰!?と言いたかった!!
お前理容師じゃないなら
俺の髪全体を触る時間必要だった?
間も無くして、
結局一番左で切っていた理容師さんが
私の所に来て、髪の毛を切ってくれた。
変な形で理容師ダービーは私の予想通りとなり終結した。ウニは研修中のウニで、まだ髪を切る事の許されていないウニだった。
みなさんQBハウス、安くて早いし、要望通りに髪を切ってくれるし、元柔道部のウニが見れるのでぜひ行ってみてください。
ちなみに、
一番左で切っていた理容師さんは
私の髪を切りながら
何回か首を傾げて、
「こんなはずじゃないのになぁ……」
という顔を繰り広げながら髪を切ってくれていた。