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【前回の反省】KORG prologueのある生活1週間目、ちゃんとレビュー

よくよく前回の記事を読んでみると、prologue自体のインプレッションを全然書いていないことに気づいた。1週間じゃなくて5日目なんですが、いっぱい触ってちゃんと書けると思うので書きます。

前から気になってた人は、いま新品は安値に到達していると思うので、間違いなく「買い」だと思います。ただ海外のシンセの値上げも控えているので、単にアナログシンセ欲しいって人は、色々吟味して購入した方がいいでしょうね。ただこのKORGのアナログシンセのラインナップ気になってる人で、プレイヤー志向の人にはminilogue xdにもう少しお金を足してprologueをオススメしちゃおう。

ということで、ここからは具体的なインプレッションを。。。

アナログシンセに関しては、当然、たくさんのシンセサイズ能力を持たせれば、価格も高くなるわけで、フラグシップ機種とは言え、海外のシンセみたいにふんだんに設計者の好きなように作るのとは別に、採算なども考えた上でスペック等は決められたのだろうと推測する。となると、どこを活かし、どこを削るかになってくると思う、それを個性と捉えて考えてみる。またminilogueの基盤がベースにあるだろうから、それらを活用したものにもなっているはずなので、大胆にイチから作るというよりは、ここ何年かのコルグのアナログラインの集大成と考えたほうが良さそうだ。

音の傾向は、Roland系のスカッと明るい感じではなく、往年のコルグらしいややダークな深みのあるPolysixなどの系譜を感じた。もちろん現代っぽさはあるのだけど、オシレーターの素の音が最近のアナログシンセの中でも地味目に感じた。MOOGはノコギリ波が、バリバリするくらいに倍音が立っているし、最近のSEQUENTIALでも現代っぽく味付けされた印象だが、それらよりも大人しい印象。できればもう少し派手めな味付けで、EDMっぽい音も作れればと思ったが、そういう音色は中途半端になってしまう。EDM系の音作りはソフトシンセの音色には及ばないだろう。(それっぽい音色はプリセットにも入っているが、EDMにそのまま投入するには実践的でない。もう少しオールドなジャンル、SYNTHWAVEみたいなジャンルの方が相性は良いだろう。)

オシレーターのSHAPEに関しては、最近流行りの無段階でAからBの波形に変化するタイプなので、バリエーションは作れると思う。ただその変化の方向がオーソドックスなシンセ音を作るのには少し向かない飛び道具的な波形が多いかなという印象。波形のSHAPEを変えていくと、上の倍音が出てきて中低域が減ってしまって、SEとかに向いてそうな感じなんだよねー。

あと音色づくりのバリエーションに寄与するものとしては、オシレーターシンクやリングモジュレーターもできるし、フィルターにドライブも付いていて、複雑な音も作れるようにはなっている。なってはいるけど、EGがフィルターと共用、LFOも1系統だけなので、複雑な変化を得るためには、LFO2系統、EGもMOD用に独立して欲しかった。これすると価格がさらに上がってしまうので仕方ないところであるが。
なので、複雑なパッドサウンドというよりは、素直なパッドサウンドが得意で、それは非常に気持ちよく鳴ってくれる。プリセットの最初がパッドサウンドなのも納得で、prologueの特性を象徴するサウンドになっている。

音作りが素直な音になりがちなところを、エフェクターが上手く補ってくれる。特に「Chorus」と「Ensemble」エフェクトをパッドにかけると、非常に気持ちよくなれる。金属っぽい波形を作って、これらのエフェクトを掛けると、とても雰囲気のあるファンタジーなベル系音色になる。

と、ここまで、内蔵のアナログオシレーターに、ちょっとイチャモン付けてしまった感はあるのだが、xd以降に搭載された第3のオシレーター「マルチ・エンジン」のユーザー・オシレーターである。この存在により、一気にprologueの利用価値が高まるのである。自作のオシレーター・プログラムを取り込むことができるというものだが、世界の同志たちが作ってくれた優秀なプログラムの中でも、SUPERSAWに特化したhammondeggsmusicさんの「Souper」とその後継「Souper2」を入れることで、ワタシ的には、今年手放したSYSTEM-8以上の存在となった。

SYSTEM-8のSUPERSAWよりも、こちらのSUPERSAWのほうがJP-8000のそれに近しい印象かつ音楽的であり、前述の「Chorus」や「Ensemble」エフェクトとの相性もよく、何とも美しいSUPERSAWサウンドが作れた。それも第3のオシレーターひとつだけで作れてしまうので、これにOSC1と2でアナログのSAWTOOTHを混ぜてあげると、さらに芯のあるSUPERSAWサウンドになる。
ローランドシンセ以上にSUPERSAWなシンセの誕生である。それもデジタルとアナログのハイブリッドでのSUPERSAWが作れるというリッチな仕様。OSC1と2でDUOにすれば、アナログの方だけでもSUPERSAW的な音色は作れるんだけど、そこにユーザーオシレーターでSUPERSAWをぶつけるという、たまらん状況なのだ。それにprologueならではのレイヤー機能を使うと、発音数は半減するが、SUBレイヤーにて、さらにデチューンを重ねた音色を作ってレイヤーさせて、もう、、、ヤバイっす。。。

これが、イチかバチか、私がprologueを買った最大の動機だったのだけど、見事にアタリだった!!、いま最高にSUPERSAWなシンセは「prologue-16」であると自信をもって言える。

OPSIXでのSUPERSAWも考えたんだけどね、prologueにして良かった。

私が作ったSUPERSAW音色も、後日、ご紹介したいと思う。。。

ほぼ、オシレーター部分の事しか書いてないですけど、音色づくりのバリエーションや好きな音が出せるかどうかって、オシレーターが大事ですよね。第3のオシレーターがなければ僕は買ってなかったです。ただアナログシンセってだけの特徴もない割には高いシンセという評価ですが、使う側の工夫で使いこなしてやるぞというチャレンジ精神のある製品だとは思う。パッと分かりやすく良い音が出るMOOGやシーケンシャル、OBなんかよりは、頑張って使ってあげようという感じ。

ちなみに、フィルターはマイルドな印象の2ポールLPFで、価格相応のフィルターって感じで、特に特徴的な感じはありません。(ハイパスもあるけど固定だし) 

またアナログシンセって、いつ壊れるか分かんない。以前 JUNO-106を所有していた時、6ボイスのうち1ボイスが壊れて音が出なくなったりした事もあった。まぁ、昔よりは強固なのだろうが、デジタルものよりも故障のリスクが高いわけで、その点、長く使おうと思ったら、修理費用なども念頭に入れておいたほうがいい。
この点についても、ワタシ的に考えがあって、ボイスがおかしくなっても、マスターキーボードとして使えるんじゃないかと思ったんですよね。見た目とサイズ感、キーボードのタッチが良さそうっていう。ライブなんかで、このシンセをマスターキーボードに、DAWで演奏するとか、かっこ良さそうとか思ったりしてw (prologueの内蔵音源は鳴らさなくてもいい。)

実際に家にprologueがやってきての感想だが、伝統的な雰囲気と未来的な佇まいが上手く同居したフォルムと、キーボードのタッチは、シンセ鍵盤としては最上級ではないだろうかと思う。シンセ鍵盤に関しては、ヤマハやローランドのような光沢のあるツルツル滑る感じではなく、マットで手に吸い付くようなタッチが非常に心地よい。鍵盤のタッチは、個人的にY社・R社よりもコルグの上位鍵盤が気に入っている。

おそらく、いま prologueは中途半端な位置づけとなってしまったため、在庫が捌け次第、生産終了になるであろうと推測する。再生産は無いんじゃないかな。

もともと、USで $2300くらいで発売したものの、僕も欲しい Prophet Rev2と、ほぼ同価格。シンセシスで言えばRev2のほうがより強力なため、おそらくそちらを買うだろうし、いまProphet5 Rev4という最高のシンセが発売されてしまったため、アナログシンセを欲しいマニアたちは、多少高くてもみんなそっちに行ってしまうだろう。ということで、日本でも海外でも、完全に旬な売り時は過ぎてしまったため、値下げ断行中である。底値になりつつあると思う。
で、シンセに限った話ではないが、不人気の機種であっても、在庫が尽きると、その後に一定数欲しい人が現われて、そのうち値上がったりするもんである。

売って・買ってを繰り返してきた私ですが、この「prologue」に関しては、現時点で最強のSUPERSAWマシンだと思っているし、見た目やキータッチも気に入っているので、長くずっと使っていこうと思っている。。。
と言いつつ、同じように思ってたnordlead4も売っちゃったし、さらに魅力的なシンセが現われた時は、またその時である。。。

デジタル系でいうと、Waldorfの「Kyra」もすごい良さそうだし、年数は経ってしまったけど手ごろに買えるなら、もう一回 Access 「Virus」欲しいくらいだったが、海外の製品って修理大変なんですよー。それがトラウマだし、海外のシンセの値上がりに付いていけないし、日本の企業も応援したいし、、、ハードシンセに関しては日本のメーカーで良いよなと思っています。


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