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関口彩「吉田の芋づる(6日目)」

吉田町、滞在6日目。

終盤に入り、お会いする方々からよくお聞きする言葉があることに気付きました。
「アーティストさんに何をお伝えしたらいいか分からない」

なるほど、そんなふうに思われるんですね!どうも日本人は(外国人は知らない)、アーティストが特別な職業と思いがちで、特別なことを知りたがっていると思うようです。そんなことは全くなくて、知らない土地に行き、知らないコトやモノに出会えば驚き感動するのは、心の振れ幅は違えど誰しも同じことだと思うんですね。

「心の振れ幅」というところがポイント。
アーティスト、クリエイターの多くは振れ幅が大きな人が多いです。その大きな中から、他の人には見えない何かを発見し、表現する。
表現とは何も絵や音楽に留まりません。会話の中で生まれる感情の共有かもしれないし、ハッとしたときに生まれるアイディアかもしれない。ただ、それだけのこと。せっかく出会うことができた方たちには、ぜひそれを知っていただきたいな。そして、もしアートが側にない場合はこの機会にぜひ近寄ってほしい!

そんなことを思いながら、私が本日近寄った吉田のキーパーソンたちを、今回もダイジェストでお届けします。
(昨日お会いした遠藤さんのおかげで、芋づる式に出てくる吉田の有名人たち…)

スタートは松浦食品さん。
「芋まつば」が主力商品の地元企業さんです。

代々作っている「芋まつば」は、いわゆる芋かりんとう。

お話を伺ったのは、先代社長の奥さま。今はかなり少なくなったそうですが、吉田町では昭和60年ごろまでさつまいもの生産が盛んだったそう。収穫したさつまいもを直接農家さんが持ち込み、秤にかけ、お金を支払う。そのいもで「芋まつば」を作る…というのが、創業当時のやり方だったそう。今では生産者が少なくなり、九州のさつまいもを仕入れるなど、時代と共に変革を余儀なくされたそうですが、小商いから始まったものが今では大きな工場が立ち、商品も豊富に展開していて、進化し続けられている様子が伝わります。

「ポテトチップは、うちは割と先駆けですよ」
なんとカルビーより先にポテトチップを作っておられた!通常は色んな味が添加されていますが、松浦食品さんは海洋深層水の塩と、素材の味のみのシンプルなもの。ご当地ポテトチップも展開されているそうで、必ず買って帰ります!

お次はNK設備株式会社さん。
昨日裕子さんから「オシャレなトイレ作ってるの〜」とお聞きしていました。オシャレなトイレ…とは…?

会社にお邪魔して、ようやく理解しました。水道配管工事屋さん!オリジナルの介護用トイレや椅子、3Dプリンターを活用したグッズなども開発しておられて、「まちの水道屋さん」とはちょっと一線を画す様子です。

これがオシャレトイレ!イベントや災害現場で使うことができる。地元の会社が得意分野を持ち寄り作った、こだわりのトイレ。
介護用トイレ。手洗いがついているトイレはNK設備さんのオリジナル。
部材を作るための3Dプリンターを応用したパズル。障がいのある子どものために作られたとか。
これは水鉄砲。竹で作った昔ながらのおもちゃでよく遊んだ!3Dプリンターだとカラフルでオシャレに。

代表の中村功尚さんからお話を伺いました。
いわゆる「弱者」、老人や障がいのある方への配慮、災害時の対応をすごく考えておられることが伝わります。

日本は高齢化が深刻ということや災害大国という問題がありますから、商戦としてそこに目を向けるということも一つのやり方と思います。しかし中村さんが、とてもイキイキと私たちに説明してくれる様子は、心から「人のためのサポートをしたい」というもののように感じました。

ライフラインを裏側からサポートする、まさに地元のスーパーマンは、アイディアマンでもあるようで「吉田の良いところは、人だよ」と言われた中の、間違いなくおひとりなのでしょう。


さぁ、ここまでが午前の部。
お次は夜の部、行ってみましょう。


会う人たちが「やえい」って言ってるけど、何それ?は、「吉田野営」というキャンプイベントのことでした。商工会青年部が主催し、これでもう8回目!だそう。なんと商工会青年部のコンペで関東大会を勝ち抜き、次は全国大会に行くイベントだって!すごい!

青年会部長の高橋大吾さん(左奥)にお話を伺いました。

運営は全て青年部ボランティアというところで、このクオリティを保って継続できるのすごくないですか?という質問に対し、「吉田は祭りが盛んな町で、それがあるから横のつながりや団結力がある」というようなお話をお聞きしました。

青年部の部員数も60人!ということで、町の人口(3万ちょっと)に対して尋常ではない数…。数日前の投稿で、私は日記に「何もないと言ってもこれだけ豊かな町なのだから、間違いなく文化があるはず」ということを書きましたが、祭りを通しての土地への信仰心や、人との繋がりが、現代版祭りの「吉田野営」などに繋がっていってるんだろうな。

全ての準備を、青年部のみなさんが分担して対応している。熱い思いが伝わる。
目が合ってしまった「ウレシ丸」。商工会のゆるキャラ。


お次は、高橋さんが「すごい人がいる」と、なんとその場で繋いでくださった方の元へ。
株式会社SAKANE代表の、坂根哲博さん。

坂根さんは板金屋さんですが、イベント用の「コンセプト屋台」とでも言いましょうか、とにかくかっこいい屋台をチーム“CADENS CRAFT”で作っておられるそうです。言葉では伝わらないから、ここは写真で!

博多の屋台から着想を得た、これは「戦国酒場」。他にも海賊酒場などコンセプトはさまざま。
移動式なのでレンタル可能。全国で需要ありそうだー
ここで飲みたい。

この屋台は、先日のイベントで初めてお披露目されたそう。あいにくの雨模様でしたが、お客様にとってはとても楽しい記憶になったんじゃないかな。

吉田でお会いした人たちは、とにかくアイディアマン!という印象で、それってほんとにすごいことです。アイディアが浮かんだとしても、実現するにはちょっと自信がなかったり、経験がなかったりすると実行に移せないことは往々にしてあると思いますが、ここに滞在中何度も言われる「吉田は、人がいい」

これは、縦横に繋がりがあり、応援し合える環境だ、ということのようです。夢やアイディアを実現するために、支え合える人たちがいる。煩わしく思いがちな地域のつながりは、自分の見方・受け止め方によっては大きな宝になるんだなと、深く感じた1日になりました。

急な連絡にも関わらず、ご対応いただいた吉田のみなさまには、最大の感謝を。

【おまけ】

「これを食べなきゃ、吉田を知ったとは言わない」と藤枝人に言われた、「カレーショップきしばた」のドライカツカレー。

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