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高野ゆらこ「14665歩・予言(1日目)」


朝6時すぎに起床。
昨日は11月に映像で出演する舞台の映像撮影日でマダムの役をやっていた。
何年か前から「文句を言うマダム」という謎でしかないニッチな役のオファーを続けていただく。多分わたしから滲み出る何かがそうさせるんだろう。そんなに怖くないと思うんだけど。
俳優の高野ゆらこです。

MAWに参加するのは2022年に続き2度目。
前回は河津町に滞在し、今回は裾野市。
静岡県は本当に広い。今回も事前にストリートビューであちこち見て予習。軽率にピンをつけたらどんどん増えてしまった(行ってみたい場所)。ていうか裾野市も広い。笑った口の形に似てる、裾野市。

全部行けるだろうか

わたし自身ははせっかちな人間だけど、人生においては短距離でたどり着く必要はまったくないと思っている。
むしろ「仕事に必要そうだから」とか「将来のために」ではない出来事、まったく無駄でしかなさそうなことが思いがけない伏線となってのちにいい感じに回収されていくことが多いな、という感覚がある。
なので、今回の滞在も意味がなさそうなことをどんどんやっていくつもり。
「マジで意味ねえ〜!」はだから、超イケてる、最高、ってこと。

お昼前に裾野に到着。
御殿場線は思いのほか混雑していて、老人が乗ってきたとき入り口近くに座っていた若者が席を譲ろうとしたら「大丈夫大丈夫。ありがとう、ハバナイスデイ」と言っていた。いいね。

駅前でシェアサイクルを借りて裾野市役所へ。
Googleマップでチェックをつけていた「レストラン花麒麟」でランチ。
市役所といえば、前回のMAWでは意見交換会の場が町長室で、町長と話したな……。懐かしい、町長さん他役場の皆さんはお元気だろうか。あれは例えようのない、かなり忘れがたい時間だった。町長、その日が誕生日だったな。

すそのんアート

待ち合わせの時間までざっと2時間弱あるので屏風岩を見に行くことに。
一人で行ったのを若干後悔するくらいにはなかなか怖い。
「ここ降りるの?」と不安になる造りのハシゴを降りて、近くまで岩場を歩いて行くのだけど「もしここで何かあったら……」と思うと、心臓バクバクだった。でも景色はかなりすごい。
素晴らしい景色から何かインスピレーションが湧くようなアーティストではないのが残念。

怖い、暑い、すごい

戻りがてら観光協会があったので立ち寄ってみると、すごく狭い上、会社?会議?みたいな感じでおじさんたちが普通にお仕事しててびっくり。でも確かに、絶妙に駅から離れたこの場所で観光を案内することはあるのだろうか……。わずかばかりのお土産コーナーに、絶対裾野で購入すると決めていた「すやまうどん」を見つける。嬉しい!「これください!」と言うと、「食べたことある?」とおじさん。「ないんです、初めてです!」と言うと、「これはね、今の季節冷やしがおすすめ。あと、お子さんいる方とかはね、これでナポリタン作ってもいいの。」と教えてくれた。き、き、気になる〜〜〜〜〜!お子さんはいないですけど、やりたいです!大人もナポリタン、好きだよ!

これがすやまうどん

午後からは、ホストの小田さん、旅人ゆりさんかづみさんと合流して裾野市東小学校の下校見守りに。今年度で近くにあったもう一つの小学校が廃校になり東小に合併するらしく、そうなるとこれまでと通学のルートが変わる。子供たちが来年から自分たちだけで登下校できるように今日はその練習をする日だそう。
あくまでも子どもの下校練習なので、後ろから安全を気遣いながら着いて行ってくださいと言われる。地域の方々や、保護者の方と一緒にゾロゾロと歩く。
低学年の男の子がふいに「クワガタがね、」と話しかけてくる。そうなんだ、へえ〜と相槌を打つ。なるほどクワガタにも色々あるんだね、と言ってお別れ。
最後に「誰ママ?」と聞かれ「誰ママでもないよ。」と言うと、「先生?」と言われる。「先生でもないよ。」と答えると、それ以外の人間を初めて見た、みたいな顔でこっちをみるので「遊びに来ただけ。」と言っておいた。
しばらくすると別の男の子がまた「コクワガタが一番多い、たまにヒラタクワガタ。」と話しかけてくる。わたしにクワガタの知識を伝えるよう誰かに指示でもされてるんだろうか。その男の子は「ここにいるんだよ。」と言って公園の木の根元におもむろに手を突っ込むと超ちっさい、まさに「小クワガタ」を見せてくれた。

夜はホストの小田さんのお宅で食事会&人狼大会。
初めて食べたルーマニア料理も美味しかったし(ありがとうございました!)、初めての人狼ゲームをまさか演劇の現場でなく裾野でやるとは!(なぜか演劇人は人狼好きが多い)
ルールは完璧には把握しきれなかったものの、情報や表情を『受け取る』と『与える』で駆け引きするゲーム性はなるほど、こりゃハマるのもわかるなあ。
推理を重ねる中でピンとくる瞬間が何回かあって、しかもどうやらそれがことごとく当たっていたらしく、俳優ではない新たな道が開いたかもしれないと思った夜……。


ガチ預言者の異名を得た

1日目からだいぶ濃かった。
ナポリタン、クワガタ、ガチ預言者。
こういう会話が絶対に未来のわたしへの伏線になる。
これは預言じゃない、予言。




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