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内間直子「小山町/滞在まとめ」

小山町での滞在を振り返って、これまで訪れたり、住んだ地域と比較してみると、相違点や類似点など様々な気づきがありました。

今年は7月にポーランド・ヴロツワフ市を拠点にワルシャワ、クラクフに約3週間のアーティスト・イン・レジデンスで滞在したので、そこでの経験とも比較しながら、地元の方のサポートがあり、国内外でのネットワークづくりにおいて大きな成果を得れたと思います。

沖縄のような離島遠隔地で映画や写真、現代アートなどのマネージメントを実践するには、外と繋がる手段が限られています。私は欧州とのネットワークを持っているので、沖縄を訪れる国内外の人たちを受け入れる(ホスト)側になることが多いので、自分が旅人になってホストしていただく過程で逆の立場になることでの気づきもありました。

パンデミック以降、コロナ禍が落ち着いてからは、欧州やアジアを中心に研究者やアーティストを受け入れる機会が急増し、国内他の地域との接点や人脈がどうしても乏しかったのです。

マイクロ・アート・ワーケーションはアーティスト・イン・レジデンスを現代の日本の様式に落とし込んだ和製英語として捉えていますが、ある程度実務経験のあるマネージメント側(アーツマネージャー)などにとっては、有意義な時間であると思います。私にとっても温泉を楽しむ休暇と国内でのプロジェクトに広げるためのネットワークづくりを兼ねて、良いリサーチ期間となりました。沖縄と静岡との共同プロジェクトを考える上で、小山町は第一候補になります。

また、地域との交流ではアートが一般の人には敷居が高くて、インディペンデントのキュレターや美術を専門にするコーディネーターなど、プロフェッショナルが育ちにくい環境は、沖縄だけの問題ではないということも、触れ合った人たちとの会話から知ることができました。

もっと国内のキュレーターや企画者に、このようなプログラムに参加してもらい、地域間での交流や連携を深められることは、それぞれの課題を共有したり、解決に向けた一つの道筋になるのではないかと考えました。

また、アーツカウンシル静岡のマイクロ・アート・ワーケーションを知り、身近に感じられたのは、これまでに沖縄関連のアーティスト安里慎くんや丹治りえさんが参加していて、彼らのnoteを参考にできたことも理由にあげられます。

私は滞在の振り返りとして、最後の意見交換会では滞在中に撮った写真でスライドショーを作り、街の景色や建物を見ながら、地元の方たちにあれこれ教えてもらうという対話的な交流を試みました。それは、皆さんの声を聞くのにとても良かったと思います。

数ある候補地の中から小山町を選ぶ決め手になったのは、写真で見た豊門会館に西洋と東洋の文化の交わるところを感じたことが大きな要因でした。パンフレットで見るよりも実際に訪れた印象の方が良くて、今回出来た小山町とのご縁に感謝しています。

洋館から外を眺める緑いっぱいのテラス
和館2階の廊下のスペースは景色もよく最高でした

そして、日々のnoteには詳しく書いておりませんが、別棟の洋館の2階にある資料展示室で小山町の歴史(富士紡績)はとても興味深く、現在の日本のどこにでもある共通の問題や課題を考えさせらる時間となりました。これは、来年以降に国内外で沖縄映画の上映会を企画しているので、大きなヒントになりました。

できれば来年、上映会を企画して小山町を再訪して地元の方との対話する場を作り、出来た繋がりを継続して発展させていくことが出来たらと考えています。また、私が関わる団体AIO(Art Initiative Okinawa)での「Soundscape(音の風景)」やCAMP-Oとコラボした「Art Camp」を小山町の皆さんと一緒にできると良いなと考えています。できれば近隣の市町村も合わせて訪れられるように、少し企画を練ってみたいと思います。

最後に、出会った皆さんとの貴重な経験と普段の日常とは異なるゆとりの時間をどうもありがとうございました。

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